今回は、小説の人外との入れ替わりを10作品紹介していきます。
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もくじ
内なる獣
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『内なる獣』 著者:マーガレット・マロン 訳:山田順子 | 入れ替わり体質のメス猫に、中年女性が入れ替わる。 | ●ポプラ社 『ホラーセレクション10 猫』 ●二見書房 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション 『魔女のオレンジ猫』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
夫のクラレンスに浮気された中年女性・テッサは、偶然出会ったメス猫と交通事故に巻き込まれて入れ替わってしまう。
実はそのメス猫の中身は若い女性で、同じく身体を奪われたというのだ。
テッサ(身体はメス猫)は、浮気相手のリン・ヘリックの若い身体を狙って入れ替わろうとする。
↓テッサの身体を手に入れた若い女性は、メス猫の身体よりはマシなようで喜びます。
メス猫の身体は化け物なようで、早く別の肉体に移らないと正気を失うらしい。
若い女性(身体はテッサ)は、テッサ(身体はメス猫)を追い払い、テッサの金持ちの身体を持ち逃げしてしまいました。
ころころ太った、白髪まじりの中年女が、震える両手で顔をはさんでうめいている。
「よかった!うれしい!」
テッサは初めて鏡の逆転効果抜きで自分の顔を見ていることに気づき、ショックを受けた。
テッサ(身体はメス猫)は猫の俊敏さで逃げ出し、状況を理解。
↓メス猫の身体は入れ替わり体質で、今まで何人もの人が被害者になってきたようです。
テッサの身体を奪った若い女性は、計算高い何者かに、若くて美しくて健康な身体を奪われていたらしい。
新しい脳に、この肉体を所有していた、いくつもの人格のなごりの痕跡が宿っていることを発見した。
どれがいちばん最初の所有者の痕跡なのか、そもそもの始まりはどうだったのか、それもわからない。あまりに深く探りをいれすぎて、完璧に異質の動物の本性が出口を求めているのを感じ取り、テッサはあわてて撤退した。テッサが借りている肉体本来の持ち主の猫の意識が、いちばん根底に存在しているのだ。
↓入れ替わり体質のメス猫の身体を手に入れたテッサは、老いたテッサの身体になった若い女性に同情し、もっと若くて条件の良い身体を手に入れようと決意します。
あの女のいったとおりだわ、とテッサは思った。なんてお粗末な肉体。あれなら、彼女が持っていればいい。
その瞬間、テッサは自分のもっとも個人的な所有物を盗んだ、その若い泥棒女に対し、ほとんど哀れみに似た気持ちをもつことができた。
↓そして、テッサ(身体はメス猫)は、付きまとってきたオス猫と交尾。
テッサは妊娠したであろうメス猫の身体を、クラレンスの浮気相手で子供を身ごもっているリンに、復讐して押し付けることを思いつきます。
メス猫の身体に流されて、別のオス猫とも交尾したくなるのを我慢する描写が良かったですね。
雄猫がテッサのくびすじをつかみ、のしかかろうとすると、埋もれていた未知の生きものの意識がはじけるように浮き上がり、雄猫のひと突きごとに、なまなましくセクシャルなうねりがあとから押し寄せてきて、テッサの意識を飲み込んでしまった。耐えがたいほどのエクスタシーを覚えながら、二匹の猫は三度以上つがい、
しかし、リンのことをよく知らないテッサは、リンになりきる自信がなく断念。
仕方なくテッサ(身体はメス猫)は、クラレンスにリンを紹介した張本人である義妹のアリスンの身体を狙います。
上手にアリスンと入れ替わったテッサは、元のテッサの身体(中身は若い女性)を心配するアリスンの夫・リチャードと仲良くしておしまい。
アリスン(身体はメス猫)は、動物愛護施設に送られることに…?
↓性格の悪いアリスンが更生したように振る舞うテッサ(身体はアリスン)が最高でした。
ちゃっかり、パニックになってクラレンスを殺してしまった?若い女性(身体はテッサ)を保護する約束も取り付けたのでしたw
わたし、生まれ変わりたいわ。そうしてもいい?たったいま出会ったばかりで、あなたのことをなにも知らないんだってふりをさせてもらえる?
ぼくは猫になりたい
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ぼくは猫になりたい』 著者:桑原一世 | 少年が猫と呪文で入れ替わる。 | PHP研究所 『ぼくは猫になりたい』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
ひねくれた性格の少年は、退屈な毎日を水に流したくて、つい野良猫の尻尾を引っ張ってしまう。
するとその猫が話しかけてきて、お互いの希望が一致したため呪文で入れ替わることになった。
↓少年の身体になった野良猫が、ヒゲも毛も尻尾もなくて落ち着かない、耳が遠いと言っているところが萌えました。
「ずいぶん人づかいがあらいな。ところで、おれって、そんなに小さかったっけ?ネズミより小さいんだな。それにヒゲも毛も尻尾もないのはなんだか落ち着かない。耳も遠くなったようだし、こんなからだで、よく生きてこられたもんだな」
↓野良猫(身体は少年)が二足歩行に慣れていない描写も好き。
少年の容姿はあまり良くないようで、少年(身体は猫)はあまり見たくないようですw
ふん、そうか、と帽子を頭にのせると、「ぼく」は背中をかがめ地面に手をついた。そうじゃないよ、とさけぶと、いけねぇ、やりにくいな、と今度は両足をいっぺんに出そうとして、あやうく転げそうになった。
野良猫(身体は少年)は、塾に行く途中に魚屋や肉屋で盗みを働きそうになるところも興奮しました。
野良猫(身体は少年)を塾へ送り出した少年(身体は猫)は、さっそく猫の身体能力を楽しみます。
排泄シーンがなかなか良かったです(笑)
身体が勝手に動くタイプで、少年がお腹が空いたら猫の身体が勝手に動き、餌をもらいに行きます。
↓少年(身体は猫)は、肉や魚が苦手で食べられませんが、猫の身体が勝手に食べ始め、酷い目に…
「ほら、お食べ。きょうのは新鮮なアジだからおいしいよ。」
山のように大きなおばさんはにこにこ笑ってしゃがみこんでいる。からだはよだれをたらしているが、心は血のにおいから一目散に逃げだしたい気分。
ぼくは帰ろうとしたが、口と前足はその意思にさからった。前足は皿をおさえこみ、口はオエッ、頭にかぶりついた。その瞬間のややこしい気持ちはとても説明できない。あごが骨をかみ砕く快感にふるえると、気を失いそうになり、舌が血のしたたる内臓に満足そうなピチャピチャ音をたてると、一生吐きつづける予感がした。
顔を洗い終えると、おばさんは満足げに目を細めて、巨大なイモムシのような指をぼくの首すじにのばした。ぞっとして身をひきかけたが、首は五本のイモムシを求めてぐぐいとのび、ゴロゴロと喉を鳴らしはじめた。
↓少年(身体は猫)が元の自分の家に帰ると、そこには猫(身体は少年)が少年が苦手なはずの刺身をモリモリ食べ、家族が驚く姿が…
少年の身体の刺身が苦手よりも、猫の精神の食欲の方が強いらしい。
「ぼく」は口いっぱいに刺身をほおばっている……。
みんなの驚いている顔が目の中をかすめる。「ぼく」は刺身の大皿を自分の前に引き寄せて片手でおさえこみ、もう一方の手ですくってぱくついているんだもの。
猫(身体は少年)は、人間の生活は楽じゃなかったようですw
ちなみに、入れ替わった二人は近くにいればテレパシー?で会話が可能。
翌朝、目が覚めると元に戻っていました。
猫が少年の身体にいたときの奇行を聞かされたり、猫の身体だったときの癖が抜けなかったりする少年が良かったです。
夜の神話
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『夜の神話』 著者:たつみや章 絵:かなり泰三 | 男の子がうさぎに入れ替えられる。 | ●講談社 『夜の神話』 ●講談社 講談社文庫 『夜の神話』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
急な引っ越しで田舎で暮らすことになった小学生の鈴木正道(マサミチ)だが、周囲に馴染めず過ごしていた。
ある日、ツクヨミの神様・お方さまから貰ったサトリまんじゅうを食べたマサミチは、動植物の声が聞こえるようになってしまう。
一方、マサミチの父親が働く原子力発電所で事故が発生し、マサミチが兄と慕っている父親の同僚・須賀清(スイッチョさん)が被爆して生死の危機に陥ってしまう。
マサミチはスイッチョさんを助けるために、お方さまの手下(?)の月うさぎが持っている万能解毒薬を貰おうとするが、見返りに月うさぎに身体を入れ替えられてしまった。
↓月うさぎが欲しいものがまさか「母親」だとは思わず、適当に返事をしたマサミチは、突然身体を入れ替えられて呆然(笑)
月うさぎの正体は、生まれてすぐに捨てられた人間の子供らしい。
ちなみに、入れ替わるのは第6章「うさぎ印の特効薬」からです。
「マサミチ、もらった!」
その瞬間、いったい何がおこったのか――。
気がつくと、ぼくは、草の葉っぱのあいだから〔ぼく〕を見上げていた。
「おいら、かあちゃんがほしかったんだ」
毎日、歯みがきのときに鏡の中で会う〔ぼく〕が、月うさぎの口調でいった。
「じゃあな、お方さまのお手伝い、まじめにやれよ」
「ちょ……っと……ええっ?」
↓マサミチ(身体は月うさぎ)が、うさぎの身体能力を楽しむシーンが良かったですね。
祖母の家の飼い猫のコトラに食べられそうになるシーンも好きでした。
「でも薬は、そのうろの中だって……。うさぎじゃ木に登れないよう」
いってるうちに、ぽろっと涙がでてしまった。ゆらんゆらん重い耳を伏せて、ぼくはしくしく泣きだした。
<まあまあ、泣きなさんな。うろにはいるには跳べばいいんじゃ>
長者どんの声に、せみたちが合唱した。
<ぴょんと跳べ、ぴょんと跳べ>
「と、跳ぶって……ぼく、十メートルなんて跳べないよ」
<できるさ。おまえさんは月のうさぎになったんじゃからの>
タッタッタッと十歩走って、思いっきり地面をけった。
ぴょ~~んとぼくの体は跳びあがった。
ぐんぐんくすのきのふとい幹が近づいてきて……うろ!でも、ちょっと届かなそう!
ぼくは必死でばたばた空気をかいた。前足の爪がうろのふちにかかった。がきっとしがみついて、四つ足でかじりついた。
ぼくは全力で走った。月うさぎの体はほんとに軽くって、おもしろいほど速く走れた。口には大きな荷物をくわえてるのに、ぜんぜん楽々ですごいスピードがだせるんだ。
この後は、原子炉の爆発を食い止めるためにマサミチたちが奔走します。
大事な局面でも、マサミチが月うさぎの身体能力を活かしていて良かったです。
問題が全て解決し、第15章「すべて正常」で元に戻ります。
マサミチのままでいたがって泣く月うさぎには心が痛みました。
マサミチになった月うさぎは今までほとんど登場していませんでしたが、元に戻ったあとに他の登場人物の話から何をしていたか判明します。
マサミチの成長物語としても良い話でした。
俺がうさぎでうさぎが俺で
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『俺がうさぎでうさぎが俺で』 著者:栗城偲 | 男性が神様にうさぎと入れ替えられる。 | KADOKAWA/角川書店 角川ルビー文庫 『俺がうさぎでうさぎが俺で』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
子供の頃から幼なじみの真船舜也に片思いしている兎山八尋だが、大人になってからは接点がなく、ずるずると思いを引きずっていた。
ある日、神社でカラスに襲われている白兎の姿をした神様・因幡さんを助けたお礼に、八尋は舜也が飼っているウサギのうさ太郎と入れ替えられてしまう。
元に戻るには、舜也と結ばれたいという八尋の願いを叶えなければならなくて…
↓うさ太郎の視点から見る八尋のシーンが良いですね。
八尋(身体はうさ太郎)は、人の言葉を喋ることができるため、舜也と話したり、誰かと電話で話したりできます。
――……あーびっくりした。
ふう、と息を吐き、目の前に広がった景色に違和感を覚える。
やけに天井が高い。
それだけではない。色々なものが巨大に見えるし、やけに視野が広い。転んで遠近感が掴めなくなったのかと目を瞬かせ、立ち上がった。はずだった。目線の高さがおかしい。
周囲に目を配ると、眼前に巨人が座り込んでいた。
――……な、なに!?
しかもその巨人は、自分と同じ服を着ているだけでなく、顔までもそっくりだ。じっとこちらを凝視していて、色々な意味で怖くなって身が竦む。
うさ太郎(身体は八尋)も人の言葉を喋り、考え方はウサギな感じですが、かなり意思疎通を図ることができます。
↓うさ太郎(身体は八尋)はご主人様である舜也が大好きで、スキンシップを図ります。
「ご主人!」
ハートマークが乱舞していそうなくらい嬉しげな声を上げて、舜也似の巨人に彼は抱き着いた。とっさのことで受け止め損ねたのか、舜也似を押し倒す形になっている。サイズ感はだいぶ違うが、自分と想い人にそっくりな二人の様子に、八尋は叫び出したくなった。
八尋はうさ太郎になれば舜也と仲良くできる、うさ太郎は人間になりたいと思ったため、ちょうどいいと思った神様に入れ替えられたようですw
実はうさ太郎の名前は、八尋と同じ「やひろ」で、舜也も八尋を好きで二人は両想いなのですが、二人とも遠慮して気持ちを言い出せない状態が続きます(笑)
困った八尋(身体はうさ太郎)が神様に頼むと、元に戻してくれた…のではなく、太陽が出ている間だけ元の身体に戻り、太陽が沈んでいる間だけ入れ替わるという謎の体質にされてしまいました。
しかも、うさ太郎は完全に元のウサギの姿に戻りますが、八尋の方は人間に戻ってもウサギの耳と尻尾がつき、さらに丸いものを見ると5分間だけウサギの姿に戻ってしまうという不便すぎる体質に…
一時的に、うさ太郎の身体が二匹存在する…みたいなこともあります。
↓ウサギのうさ太郎(身体は八尋)は暴走して、舜也とベタベタした挙句発情し、舜也に処理してもらうことにw
それを見ている八尋(身体はうさ太郎)がかわいそうです(笑)ウサギは耳が良いので、耳をふさぐこともできません。
――……一体今なにが起きてんだ……?
後ろ脚だけで立ち、八尋はぽかんと口を開けた。
うさ太郎が、舜也の口に吸い付いている。
客観的に見れば、八尋が舜也に、ディープキスをぶちかましていたのだ。
「……ご主人」
猫撫で声を出し、目をとろりとさせながら、うさ太郎の腰が動く。前後に擦るような動きに、うさ太郎の目的を察して八尋はぴょんと飛び跳ねた。
舜也も察したようで、その頬が朱を刷く。
「ちょ、待て、うさ太郎っ」
「ご主人、俺、体熱いの……お願い」
「ぅあんっ」
甲高い、嬉しそうな声があがって、八尋はびくんと飛び上がった。
舜也に性器を触れられたらしいうさ太郎は、「ふああ」と声を震わせる。
「あん、ご主人、そこ、もっとして。ぐりぐりして……ぇ」
「……ここか?」
「ぅあっ、あ……すき、そこ強くされるの好きっ」
――そこってどこだよ!
己の痴態に、耐えきれず部屋の隅に逃げ出した。耳をきゅっと押さえたものの、うさぎは聴力が良いらしく、舜也の指を汚しているであろう卑猥な水音までが、よく聞こえてしまう。
八尋(身体はうさ太郎)は、舜也と一緒のベッドで寝られてちょっとラッキーです。
人間の自慰行為の気持ちよさに目覚めたうさ太郎(身体は八尋)は、所かまわず自慰をして舜也を困らせたり、自慰をし過ぎて身体を壊したりします(笑)
うさ太郎が痛めた八尋の身体に戻る八尋がかわいそうでしたw
↓八尋とうさ太郎は、変身で入れ替わるようですが、本人そのものの身体になるようです。
ウサギの習性ネタも所々にあって美味しいですね。
昨晩因幡さんが言っていた通り、今朝の八尋の姿は、うさぎではなく人間に戻っていた。精神が入れ替わるのではなく、自分の体そのものが変化するらしい。
色々と検証した結果、変身したら服だけが残って裸になるというパターンではなく、必ず変身前の状態で元に戻ること、円形と球形、どちらでも変身するが、円柱の場合は面の部分を見なければ大丈夫であることが判明した。
魔法のように一瞬で体が変わるし、うっかり円形のものを見てしまったときはうさぎが二羽いる状態になるのだが、やはりこれは相手の体であるらしい。舜也に触れられると懐かしいと思うし、うさ太郎の体の気持ちいいところがわかる。
ちなみに、八尋とうさ太郎は、元に戻った状態でも二人だけで意思疎通を取ることができます。
うさ太郎(身体は八尋)は恋敵である八尋(身体はうさ太郎)を敵視していて、少々当たりが強め…
ゲイ友達の木根真古刀に入れ替わりがバレるシーンもありました。
秘密の入れ替わり生活を共有した八尋と舜也は距離が縮まっていきます。
↓八尋の代わりに用事を済ませることになったうさ太郎(身体は八尋)が、ナンパしてきたゲイと関係を持ってしまうところが良かったです。
うさ太郎(身体は八尋)が無知なのが最高ですね。
「……それって、俺と交尾したいってこと?」
熱っぽい吐息を漏らしながら直球の科白を吐いたうさ太郎に、男が目を瞑る。
けれど、すぐに唇を歪め、うさ太郎の腰を抱き寄せた。今はうさぎの体だけれど、欲情した見知らぬ男に自分の体を触られているのかと思うと、鳥肌が立つ。
時間にして二十分少々だ。その間に多少なりとも体が汚れたことは間違いないはずである。もしかしたら、知らない男の体液が付いているかもしれない。
「いいから、風呂に」
舜也に腕を引かれ、風呂が好きではないらしいうさ太郎は泣きながら嫌がる。
「なんで!?俺汚れてないよ!だってさっきのオス、毛づくろいが好きだったみたいで……そればっかりだったもん」
「……毛づくろい?」
鸚鵡返しに問うと、うさ太郎が頷く。
「ぺろぺろするのが好きって言うから、それしかしてない……」
ちょっと不満げな声が気になるものの、うさ太郎の説明から察するに先程の男は奉仕好きのようで、うさ太郎にずっと口淫などを施していた、ということらしい。念のため、うさ太郎もなにかしたのか訊いてみたが、幸いなにかをする前に間に合ったらしい。
ほっとしたが、自分の性器を散々吸われて舐められたのかと思うとやはり気持ちが悪くてぞっとする。
「一杯舐められて、一杯出したから、綺麗だよ?」
その発言に、舜也と八尋は固まった。
最後は、真尋と舜也が両想いになって呪い?が解けて元に戻ります。
家出青年、猫ホストになる
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『家出青年、猫ホストになる』 著者:水島忍 | 男性が猫と入れ替わる体質になる。 | 集英社 集英社オレンジ文庫 『家出青年、猫ホストになる』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
新卒で入社した会社が倒産し、家族とも上手く行かない近藤渚は、家出して神社で夜を明かすことになった。
そこに現れた迷い猫・チャーを見て、猫になりたいと願ったら、本当に入れ替わってしまう。
チャーを探しに来た猫カフェの店長・上小路遥一に拾われて、渚は猫として猫カフェで働くことに…
起き抜けに気づいたのは、誰かの腕の中にいるということだった。
誰かの…って誰の?
首を回して、自分が誰に抱きかかえられているのかを見た。
えっ……?
渚はまばたきをして、よく見てみた。見間違いかと思って、もう一度よく見てみた。
目の前に見慣れた男の顔がある。中性的な顔立ちで、朝だというのにろくに髭も生えていない。髪も少し長い。
そうだ。オレがいつも洗面所で歯磨きしながら見ている顔だ。
(中略)
するりと己の腕の中から抜け出してみて、渚はまたショックを受ける。目の前に広がる世界そのものが違う。
なんか……オレの目線、低すぎじゃないか?
きっとよつんばいだからだ。立ち上がろうとしたものの、上手くバランスが取れずにふらふらしている。しかも、まだ目線が低い。
不思議でたまらないけど、とにかく自分が本当に死んでいるかどうか確かめないといけない。渚は横たわる自分に近寄り、揺り起こそうとして腕に手をかけた。
だが、手に毛が生えていることに気がつく。
毛が茶トラなんだけど!
渚が願ったのは「一日の半分だけでいいから猫と入れ替わりたい」だったので、午前8時から午後8時までの12時間だけ精神が入れ替わる体質になってしまいました。
渚(身体はチャー)は猫語しか喋れず、人と意思疎通を取ることができません。
↓チャー(身体は渚)も猫語しか喋れず、行動も動物です。ちなみにチャーはオス猫。
上小路は、そんなチャー(身体は渚)を見て訝しがるものの、二人とも家に連れて行きます。
『渚』の目はきょとんとして渚を見つめる。そして、戸惑うような表情で辺りを眺め、身体を起こした。
そして、自分の身体を見下ろす。それから途方に暮れた顔で再びこちらを見つめてきた。
『渚』は喉を鳴らすような奇妙な声を出した。
まるで猫の鳴き声に聞こえた。
ちょっと待て!
まさかと思うが……。
『渚』は猫が座るときのポーズを取り、手を舐め、それで顔を撫でた。何度かその仕草を繰り返した後、自分の手を不思議そうにしげしげと眺めた。
彼が『渚』に食パンを見せた。すると『渚』は急に喜びの表情になり、ソファの背もたれから飛び降りると、彼に身体を擦り寄せた。
ああ、もう見てられない!
自分が男に擦り寄る姿なんて見たいわけがない。しかも、相手は明らかに引いている。いや、嬉しそうにされても困るが。
(中略)
『渚』は返事もせずに、身を屈めてパンに食いつこうとしている。上小路はギョッとしたが、パンにバターを塗り、『渚』の手に持たせてやった。『渚』はにっこり笑い、パンを食べて、満足そうにしている。
これ以上、自分のこんな姿は見てられない。もし他の人に見られたら、首尾よく元の身体に戻ったときに、恥ずかしくてこの辺ではとても生活できなくなりそうだった。
↓渚(身体はチャー)は、水で文字を書くことで何とか上小路に入れ替わりを伝えます。
猫の本能ネタが良かったですね。
渚は水入れに前脚を突っ込んだ。水で文字を書こうと思ったのだが、気がつくと、その前脚をペロペロ舐めていた。
はっと我に返る。なんて恐ろしい。心は人間だが、身体に猫の習慣が残っているのだ。このままだと、本当に猫そのものになってしまう。
↓渚(身体はチャー)は、成り行きで上小路が経営する猫カフェで猫として働くことに。
もちろん渚(身体はチャー)は人間の言葉がわかるので、思い通りに接待をして人気を集めます。
何しろ渚は真面目なのだ。猫ホストとしても真面目に仕事に励んだ。
それに客は女性が多いし、カフェのスタッフも女性だから、だんだん満更でもなくなっていた。柔らかい胸に抱かれたり、膝に乗せられると、あまりの気持ちよさに、ついつい眠くなってくる。
もしかしたら、猫って、やっぱりいいかもしれない。
昼間は猫カフェで猫ホストとして働くのも、渚にとっては大事な日課だ。客に喜ばれるような可愛いポーズを考えている自分が少しおかしくなってくるが、それも仕事のうちである。渚がそうやって頑張っていれば、店も儲かるし、上小路の手助けにもなる。
最初はこうした仕草を意識的にして、客を喜ばせていたものだが、最近では猫のおもちゃを目の前で振られると、身体の方が先に反応してしまう。なんだか本当に、自分の身も心も猫になっているようで、少し怖い。
一生、まともな人間に戻れないような気がしてきて……。
↓上小路は、中身がチャーの渚も、中身が渚のチャーも大事にします。
チャー(身体は渚)はずっと動物的な行動をしているわけではなく、徐々に人間らしい行動ができるようになり、言葉も片言で喋るようになります。
上小路はスプーンでアイスクリームをすくって、食べさせてやる。『渚』はよほど気に入ったのだろう。目をトロンとさせて、アイスクリームを味わっていた。
これじゃ、二人が変な仲みたいじゃないか!
だが、上小路にはそんなつもりは一切ないらしい。何故なら、彼にとって『渚』は可愛い茶トラ猫のチャーなのだから。飼い主だから、世話をするのが当然だと考えているはずだ。
その後も、渚とチャーは一日に12時間入れ替わる生活が続きます。
渚が夜に働いて疲れた渚ボディを、昼にチャーがバトンタッチで受け取ってしまうシーンが良かったですね。
チャーは人間の食べ物を気に入って人間ボディになりたがり、渚はチャーに自分が乗っ取られるのではないかと心配します。
チャーの方も、渚が猫生活を気に入って身体を返してもらえなくなると心配になっているのですがw
猫カフェの常連のマダムとの絡みや、上小路の過去話を中心に話が展開されます。
マダムは、渚と同じように猫と入れ替わった男の子を知っているようで、入れ替わりを信じてくれます。
最後は入れ替わり体質は治らないままおしまいです。
ドラゴンと王子の結婚生活
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ドラゴンと王子の結婚生活』 著者:新山サホ 絵:麻先みち | 令嬢がドラゴンと頭をぶつけて入れ替わる。 | KADOKAWA 『ドラゴンと王子の結婚生活』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
婚約者に浮気され、婚約破棄となった貧乏令嬢のニナ。
ニナは帰りの馬車に乗っていたところ事故を起こし、その場にいたドラゴン♀と頭をぶつけて入れ替わってしまう。
ドラゴンの身体になったニナは、王国の第二王子・アスランにプロポーズされ、結婚することになった。
↓ニナ(身体はドラゴン)は、捕らえられて遠くの地へ送られそうになりましたが、変人のアスラン王子にプロポーズされます。
ニナ(身体はドラゴン)は獰猛な鳴き声しか発せず、意思疎通は取れません。
ドラゴンボディは力も強いので、少し動いただけで暴れたように見えてしまいます。
彼らが一心に見つめる先には頑丈な檻が置かれていて、ニナはそこに入れられていた。
いや、正確にいうと、中身がニナのレッドドラゴンが、である。
一対の大きな翼と太いしっぽ。短い手足の先には長くとがった爪。いかつい顔とキバと、見すえられたら震え上がるほど鋭い眼。背丈はニナの倍くらいだが、数いるドラゴンの中でも特に狂暴と名高いレッドドラゴン。それが今のニナの姿だ。
(どうして、こんなことに……)
ということで、ニナ(身体はドラゴン)はドランと名付けられ、アスランと新婚生活を送ることに。
状況自体は絶望的ですが、ライトでギャグなテイストの文章のため、かなり面白いです(笑)
「種別は違いますが問題ありません。俺は男で、このドラゴンはメスです。だよな?」
確認するような視線を股に感じて、普段から大股のドラゴンは慌てて足を閉じて照れた。
「違うか。じゃあドラゴンだから――ドランはどうだ?」
ニナは「ドラン」になった。
ニナ(身体はドラゴン)は、夫のアスランのために料理を作ったり、アスランのベッドの横で丸まって眠ったり、洗濯をしたり…
慣れないドラゴンの身体で力加減がわからないネタや、ドラゴンの身体のせいで怖がられてしまうネタが多くて非常に良かったです。
↓小さいエプロンをつけ、下手な鼻歌交じりでシチューを作るニナ(身体はドラゴン)を見て驚愕する周囲の反応がおいしい。
「うわあ、ドラゴン!?」
「こっちへ来るな!」
ニナは困った。彼らに危害を加える気はないし、シチューを作りたいだけなのだ。
「ギシャ、ギシャー」と壁にかけてある鍋を指し示し、短い前足としっぽと頭まで振って一生懸命、身振り手振りで説明するが、伝わるはずもなく。
(中略)
ニナはジャガイモとニンジン、タマネギを土の中から引き抜いた。令嬢の姿だとかなり力をこめないと抜けないのに、ドラゴンだと簡単に収穫できる。おかげで勢い余って後ろへ倒れ込んでしまった。
(中略)
次は鶏肉だ。鶏舎に向かい、暴れる鶏を一羽仕留める。さすがドラゴン、瞬殺である。毛をむしり血抜きした。鋭い爪は便利だ。
徐々に、危害を加えず人間らしいドラゴン(中身はニナ)は周囲に受け入れられていきます。
特に、騎士コンビのルークとトウマ、ハンネス隊長のキャラが好きですね。
ドラゴンボディにも慣れてきて、上手に活用して家事を終わらせます(笑)
「湯加減はどうだ?」
慌てて振り向くと、すぐ後ろにアスランが立っていた。反射的に足を閉じ、胸を両手で隠してから、そうだったドラゴンの姿だったと気付く。
↓ドラゴンボディは飛行ができるようです。
背中にそっと神経を集中してみた。頑張って翼を動かしてみると、ゆっくりと体が宙に浮いた。
(やった!)
嬉しくてますます力を込める。徐々に体が浮かんでいき、森の木々を眼下に見られるくらいまで上がった。
(……でも疲れる)
成長途中で翼が発達しきっていないからか、自分の体を支えて前に飛ぶのは体力がいった。
↓中盤で登場するドラゴン(身体はニナ)の方は、ニナの身体でニナの家族と暮らし続けていましたが、行動がただの野生のドラゴンで、ニナの家族は崩壊直前に…w
ニナ(身体はドラゴン)がドラゴン(身体はニナ)を呆然と見るシーンや、暴れるドラゴン(身体はニナ)を止める使用人たちのシーンが悲惨で好き。
ニナ(中身はドラゴン)は、浮気をした婚約者に婚約破棄されたことで頭がおかしくなったと思われているようです。
確かに自分だ。間違いない。
けれど一番の自慢だった、背中の中ほどまであるツヤツヤの長い髪は、からみ合ってほつれている。母親ゆずりの白い肌も泥で汚れ、着ているワンピースのスカート部分にも卵の黄身のような、何かをこぼした跡がそのままになっている。おまけに胸元の細いリボンが引きちぎられたようにない。靴もはいておらず裸足である。
まるで、やんちゃ過ぎる小さな男の子のようだ。
そして何より、立ち姿がちょっと怪しい。がに股で若干背中を丸め、両手をゆるく前に垂らしている。きょろきょろと常に周りを警戒していて、視線も落ち着かない。
(中略)
(何、これ……)
ぼう然とするしかない。令嬢と猫が互いの爪を繰り出して真剣にケンカをしている。どう見てもおかしな光景だ。体格も種別も大きく違うのに、同レベルの戦いを繰り広げているのだから。
そして真剣に猫と引っかき合っているのは、残念なことに自分自身である。
「ニナお嬢様、おやめください!人に噛みついてはいけません!」
「うわあ、爪で引っかかれた!やめてください、お嬢様!」
「落ち着いてくださ――きゃああ!こっちへ来ないでください!」
「シャーー!!」
(何なの、これ……)
↓大人しくて従順な性格だったニナ(身体はドラゴン)が、クズな元婚約者を最強のドラゴンボディで威嚇して怖がらせるシーンが最高でした。
傷ついて泣いていた以前のニナではない。今は最強のドラゴンだ。ドラゴンになったからこそ、できることがあるのだ。
婚約者として幼い頃から慕っていて、似合う女性になろうと一生懸命だった。それなのに立ち直れないほど傷つけられて、二度と会いたくないとまで思った。トビアスの顔を見るのが怖かった。
ニナの中でトビアスの存在は、不気味なほど大きく消えない刻印となっていたのだ。それなのに――。
(こんなものだったんだ)
ニナは大きく息を吐いた。
目の前にいるトビアスは、大きな存在でも、怖がる対象でもなかった。
そしてようやく、ニナ(身体はドラゴン)は文字を書くことでアスランたちに入れ替わりを信じてもらえました。
元に戻るために、ニナ(身体はドラゴン)とドラゴン(身体はニナ)は色々と試しますが、戻ることができません。
↓ニナ(中身はドラゴン)の奇行に周囲が怯えるとか、ドラゴン(身体はニナ)を手懐けるニナ(身体はドラゴン)が良かったですね。
「ドランは安全なのに」
「そうそう。そこの令嬢よりもよっぽどな」
ハチミツがなくなっても、まだ皿をなめ回している令嬢をちょっと薄気味悪そうに見つめながら、騎士コンビが言った。
「畑の作物に水をやっていたら、突然この令嬢が走ってきて泥の中に飛び込んだんだ。後は見ての通り。俺はこの令嬢の中身がドラゴンだってわかっているからいいけど――」
言葉をにごしたトウマの視線の先には、気味悪いを通り越し、怯えたように顔を引きつらせる他の騎士隊員の姿があった。
泥の中を喜々として転げ回る十八歳の令嬢の姿は、確かに恐ろしいだろう。
↓ニナ(身体はドラゴン)とドラゴン(身体はニナ)が一緒にお風呂に入るシーンもあります。
ドラゴン(身体はニナ)が文中で「令嬢」と呼ばれているのがポイントが高いです。
令嬢の着替えなどはニナが行っているが、何しろすぐ逃げ出そうとするので手早く着替えさせなければならない。ゆえに元の自分の裸をまじまじと見るのも久しぶりだ。
(少し、やせた気がする)
腹や太ももなどが以前よりも引き締まっている。常にじっとしていないドラゴン令嬢の動きのたまものか、それともそこら辺に生えている草や何やを食べて腹を壊すからなのか。そう考えると、あまり嬉しくない。
そして日焼けした顔や腕。足についた細かな傷は、気づくと靴をはかせてはいるが窮屈なようで、すぐに脱いでしまうからだ。
↓色々あって、二人は再び頭をぶつけて元に戻ります。
「私じゃない」
言葉が出た。驚いて口元を押さえた手は柔らかかった。続けてさわった頬も。ドラゴンの硬いうろこに覆われた皮膚ではない。
(戻った……の?)
慌てて髪の毛や肩や腰を触る。見下ろすと、スカートのすそから二本の白い足がのぞいていた。
人間だった。元の令嬢の姿だ。
↓ニナが元に戻ったのに、中身がドラゴンだった時の凶暴さのせいで怖がられるシーンが最高でした。
「おい、あの令嬢が来た!」
「逃げろ!噛まれるぞ!」
と大声をあげて。
(私、本当に元に戻ったよね!?)
↓元に戻ったニナの行動を見て、周囲がドラゴンの身体だった時のニナと重ねるシーンも最高でした。
アスランは、逆にドラゴンの姿ではないニナがしっくりこない様子w
ニナがドラゴンボディの癖が抜けず、丸まって寝てしまうところも良いですね。
やがて満足したのか、ニナがほうきで廊下を掃きながら鼻歌をうたい出した。以前ドランがうたっていた鼻歌と同じ曲のようだ。しかも同じように調子が外れている。はっきり言って音痴だ。その歌を聞いていたら、掃除をする後ろ姿が似ても似つかないのに、なぜだか、かぶって見え――。
「「ドランだ!」」
目の前の令嬢とおかしなドラゴンが完全に一致して、トウマはルークと顔を見合わせて叫んだ。
この後は、まだ子供のドラゴンを育てて野生に返し、ニナはアスランと結婚してハッピーエンドです。
ニナが野生に返したドラゴンの身体に入る夢を見るシーンもありました。
ヤジまん!オヤジ心は満員御礼!
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ヤジまん!オヤジ心は満員御礼!』 著者:佐藤正義 | 宇宙人と男子高生が入れ替わる。 | 創芸社 クリア文庫 『ヤジまん!オヤジ心は満員御礼!』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
中年親父の桜田政宗は、偶然出会った宇宙人のキンキンが持っていたウイルスをばら撒いてしまい、美少女戦士に変身して回収作業をすることになった。
正宗の息子の中村欣也は、キンキンを助けようとしてキンキンと入れ替わってしまっていた。
ということで、メインストーリーはイケオジの政宗(45歳)が美少女戦士の桜子に変身して怪人と戦うTSFです。
↑画像1枚目の中年男性が、心身ともに画像2枚目の美少女になります。
桜子は実在する人物?なのか、キャバクラで働いて3日目のようです。
↓キャバクラで接待中の桜子になった政宗は、まだ酔っていると思って色々とやらかします。
「桜子ちゃん?どうしたの~?呼ばれてるよ~。ほら、立って立って」
「ちょっと~、そんなフラフラして大丈夫なの~?ったくも~、しょうがないな~。私がヘルプについてあげるからさ」
完全なる女装。当然、周りのキャバ嬢に合わせたものなのだろう。
首筋にまとわりつく、明るめな栗色のロングウィッグ。身にまとったスパンコール付きの鮮やかな紫色のロングドレス。ご丁寧にブラまで着用しているようだ。
(よくこのオレに合うサイズがあったな……。)
↓勘違いからの桜子の身体になっていることに気がつくシーンが最高でした。
政宗は離婚した妻の元で暮らしていた息子の欣也(実は中身はキンキン)の用意した「桜子菌が大量に入った味噌汁」を飲んだせいで桜子に変身する体質になってしまったらしい…
「フンッ!このおれがそれくらい払えないとでも?おれが、毎日どれだけの金動かしてると思ってんだよ!お前らは、おれが金で買ってんだよ!」
「こっちは、お前じゃ濡れねーって言ってんだよ」
言い切った……。
政宗は、言い切った。普通はここまでバッサリ言えない。しかし、やっぱり言い切った。
政宗だから。
「こんなんに付きまとわれるんじゃ、たまらないよな。なぁ?桜子さん」
と、政宗が桜子へと目線を送った瞬間……。皆の空気が一斉に固まった。
「え?あの……。桜子ちゃん……?何言ってるの?」
実は政宗、大きな勘違いをしている。ありえない勘違い。勘違いだから、ありえない。そして未だに、そのことに全く気づいていなかったのである。
「桜子は……あなたでしょ……?」
(中略)
「オレが……桜子?」
政宗のセリフに、全員が頷いた。
「てことは、お前……。まさか、オレを口説いていたのか!?」
鬱陶しく首にまとわりつくウィッグを、外そうと生え際のピンを探すがなかなか見つからない。毛束を引っぱってみても、地毛ごと引っ張られるためか、痛みが走るだけで一向にびくともしなかった。
「何なんだ、何で外れない!」
ほとんどパニックだった。こんな事でイライラしている自分にも、外れないウィッグにも、この状況にも……。
(ちょっと待て。オレとこいつは、ほとんど同じ体格のはずだ。それが何故、こんなにもスッポリこいつの腕の中におさまっているんだ?)
どうして今まで、そこに気づけなかったというのだろう。どれだけ鈍感なのだろう。
むしろこの男、ドSでネジ曲がっている以上に、案外ド天然なのかもしれない。いやド天然なのだ。
政宗は、恐る恐るやっと自分の体を改めて確認した。
手が細い。腕に余計な筋肉がない。一回り以上、小さくなった気がする。
そしてなによりも、胸が……ある。本物の胸が……あったのだ。
↓ちなみに股間部分は、大事なものが無くなっているというお約束描写と…何故かモザイクがかかっているという謎仕様です。
○○○がない……。男性の大事なものが、あるべきところにないのである。かといって、女性のものがそこにあったわけではない……。そこにあったのは、モザイクだった。
「オレの股間に、モザイクがかかってる……」
触ろうとしても、モザイクの中に突っ込んだ手は、全く目的の物を探し当てることは出来なかった。
モザイクの中の感触は、一昔前に流行ったスライムのようでもあり、連日続いているあの夢の中の自称宇宙人の微妙な生物のさわり心地にも近い気がする。
↓胸を揉んで感じるというおいしいシーンもありました。
百六十センチ弱と思われる身長、くびれた腰、肉付きがよく形も色もパーフェクトな胸。推定でD~Eカップってとこだろう。目の前にいたら、間違いなくかぶりついている。
そんな雰囲気のある女だった……。自分なのが恨めしい。
触ってみる。
「あん……」
聞きなれない女の感じる声が漏れた。自分の口から……。
この際、揉みしだいてみる。
「んんあぁ……。女ってのは、こんな風に感じるものなのか?まぁ……、とにかく胸は見れるし……ん……。あ……触れもする……」
政宗は桜子に変身すると、徐々に精神が女性化し、女言葉で話すようになります。
↓勝手に動く身体に戸惑う政宗(身体は桜子)の描写がおいしいです。
「逃げるの……?クスクス……」
唐突にそんなセリフが、口をついて出た。
(オレは何を言ってるんだ……?)
「どうして、逃げるの……?私のこと、抱きたいって思ってるくせに……」
(よせ!何を言ってる?俺の親友だぞ?オレは男だ……オレは……男……)
桜子は裸体のまま、ゆっくりと歩き出し、徐々に和也に近づいていく。
(中略)
何かが全身を、自分の全てを支配していく感じがして、政宗としての思考が止まっていく。それこそ桜子という名の興奮が、脳天に突き抜ける。なんという絶対力。
この女、危険だ!
「もっと、私に触れて……」
そんな一言が、自然と漏れた。背中に寄り添い、親友の匂いを楽しむ。男だった時には、気づきもしなかった力強く温かい背中。
↓キャバクラの更衣室で、政宗(身体は桜子)を女同士だと思った他のキャバ嬢との絡みもあります。
政宗(身体は桜子)は精神が女性化しており、スケベな気持ちは起きないようですが…
ドレス下のキャミソールも大胆に脱ぎ去り、下着姿で背筋を正した。女同士だからこその無防備な状態。そこに危機感は無い。一応男がいるというのに……。
しかし、政宗の男としてのいやらしい感情は、何も反応しなかった。
(オレ、このまま不能になるんじゃないだろうな……?その前に、男に戻れるのか?)
↓政宗が桜子に変身する過程もエッチでした。
敵を感知すると自動的に変身してしまう不便な体質で、政宗はまともな社会生活を送れなくなります。
すっかり精神女性化した政宗(身体は桜子)は、地の文で「桜子」呼びです。
そうか、そんなに狩って欲しいのか……。狩れというなら狩ってやろう。うずき始めたこの全身で……。
んん?
全身……?全身って、何だ?うずき始めた全身?
そして、上半身の興奮とは相反する急激な委縮感が、政宗の下半身を襲った。
やはり例えようのない快感と喪失感!
「んん……んあぁはぁ……」
これって、まさか!
政宗は、ゆっくりと胸に手を当てた……。
「アアーーーー!!」
政宗は、駆け込んだトイレの個室で激しく身をクネらせると、明らかに自分のものとは違う、だが確実己の口から漏れ出る吐息を必死で抑えこんだ。
「んん……ンアァ……アアァン……」
急激に体温が上昇し、動悸と連動するかのように胸がその膨らみを増し、上半身の興奮とは相反する急激な委縮が下半身を襲う。
例えるならば、それはまるで……。まるで……。ああ……、こんなの例えようがない!
太く黒かった髪の毛は、淡い栗色の艶のあるストレートヘアへと生まれ変わり、不精ヒゲもはなはだしいイカツイ顎のラインは、ツルツルお肌のシャープなラインへと変わっていく。そして品のある適度な大きさの乳房には、これまた美しい色合いの……ゴニョゴニョ……。
政宗の変身が終わった。
そしてこの瞬間、美少女戦士として桜子として生まれ変わったのである。
(中略)
「普通、こういう時って、その場の状況に合わせた服に勝手に調整されるものじゃないの!?」
思わず口をついて出た女言葉に、政宗……、否、桜子は戸惑った。
↓政宗(身体は桜子)は、体力の無い桜子の身体で敵に苦戦を強いられたり、後半ではすっかり女性化して男子生徒に初恋をしてしまったりと、おいしいです。
突然の変身に驚いたのか、何度も激しくうなずき桜子を上から下まで舐めるように観察するターオジサンの視線が、非常にイヤラシい。
「な、何、見てんのよぉ!ここで会ったが百年目!アンタ達怪人なんかのせいで、こっちは何かと色々大変なんだからねッ!覚悟しなさい!」
そう宣言し、華麗なるポーズを決める。
アレほど嫌がっていた男が……、アレほどネジ曲がってた男が……、アレほど無感情無感動主義だった男が……、人間ってば、やっぱ奇跡ダネー!
そして、本題のキンキンと欣也の入れ替わりについて。
↓父親と息子の再会シーンが、入れ替わっているため非常にシュールです。
「おい、異星人。この生物の中身は、偽息子のお前の本体じゃなくて。まさか、まさか……」
「そう……。正真正銘アンタの息子や。なぁ、欣也はん」
キンキンは、そう言って抱きかかえている金色の異生物をうながした。
「パパ……。久しぶり……」
「っ……!!」
見た目的には完璧な息子の偽物が抱きかかえる、息子とは似ても似つかない本物の息子の心を持った金色の異生物……。
↓天邪鬼な欣也がキンキンを助ける際に悪戯をしてしまったため、ハプニングで入れ替わってしまったらしい…
ちなみに、キンキンはリスやウサギに似たコスモスーツを着ており、本体は金色に光る人型のようです。
その一瞬の間に、キンキンの精神的な中身はあっちの方に飛ばされて、欣也の精神的な中身もまた同じようにこっちの方に飛ばされて、とにかく両者は飛ばされながらからみ合った。
「僕の顔……?何で、僕の顔が目の前にあるの!?」
「ワイのスーツ?おまっ、なんでや!?」
あろうことかこの二人、まだまだ冷たい風が吹き抜けるうっそうとしげる森の中で、『元美少年の異生物』と『元異生人の美少年』という姿に替わってしまったのである。
欣也は息子ラブな政宗を虐めるのが大好きな変な性格?でした(笑)
全体的に登場キャラクターは妙に腹黒い性格をしていましたが…
宇宙人のキンキン(身体は欣也)が、慣れない地球での生活を強いられるシーンが好きですね。
欣也(身体はキンキン)がキンキン(身体は欣也)に誤った知識を教え込んで面白がるのも良いです。
最後は「戦いはまだまだこれからだ!」という感じで、政宗が桜子に変身する体質は治らず、キンキンと欣也の入れ替わりも戻らずにおしまいでした。
きゃっと・キャット・CAT
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『きゃっと・キャット・CAT』 著者:姫野百合 | 高校生男子が猫におまじないで入れ替えられる。 | ハイランド ラキアノベルズ 『きゃっと・キャット・CAT』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
高校生の尾田翔は、近所に住む独身のおじさま・四方さんに片思い中。
ある日、四方さんの飼い猫のしっぽ♂に羨ましいと話したら、猫の国のおまじないで入れ替えられてしまった。
翔はしっぽとして四方さんに飼われる生活を喜ぶが…
↓しっぽがダークな性格で、入れ替わり直後が非常においしいです。
薄れゆく意識の中で、翔は誰かが自分を見下ろしているのに気づいた。
誰だろう?なんだかとてもよく知っている誰かなのに、初めて見る気がする。
じっと目をこらして見てみると、そいつは、くすり、と薄く笑って、言った。
「俺と替わりたいって言ったよな?」
俺って、誰?
「俺もおまえと替わりたかった。よかったな。お互いの利害が一致して」
誰が誰と替わるって?
翔は、大きく目を見開いてその声の持ち主を認めた後、静かに意識を失った。
ほんの一刹那だけ、網膜に焼き付いた姿。
あれは、自分……。
翔、自身だった――――!!
↓目が覚めたら、翔はしっぽになっていて、四方さんの腕の中。
自分の視界には四方の胸がいっぱいに広がっていて、そこに、ちょこん、と黒猫の前足。
――――あれ?なんで……?
訝しさのあまり手を引っ込めると、その猫の前足も引っ込む。
翔が右へ動かせば、猫の手も右に動く。左に動かせば、やっぱり左に付いてくる。思い切って、今度は口元に手をやれば、まっ黒な肉球がどんどん近づいてくるではないか。
――――これって……、つまり……。
↓翔(身体はしっぽ)は、四方の晩酌の相手をしたり、四方にキスや手○キをしてもらったりと、猫ライフを満喫。
動物の身体でエロいことをするシチュエーションはレアなので興奮しましたw
――――マズい……。俺、勃っちゃったよぉ……。
泣きそうな思いであわてて隠そうとするけれど、へろへろの身体はうまく言うことを聞いてくれない。じたばたしているうちに、翔のちょっと恥ずかしい姿は、四方に見つけられてしまった。
「おい。こら、しっぽ。おまえ、何考えてるんだ……?」
(中略)
だが、そんな気持ちをよそに、四方はなんの戯れか、翔のそこを、ちょん、とつつく。
《ひぇ……》
翔は悲鳴を上げた。猫の口からは「ぅにゃ」と間延びしたような声が飛び出る。
もちろん、そんなところを他人さまに触られるのは初めてだ。恥ずかしいやら怖いやら情けないやらで、とても言葉にはできない。
「しっぽ……」
四方の長い指先が、翔の短い毛並みに包まれた睾丸をくりくりといじった。その横から、まるで芽のように、ツン、と突き出たピンク色の部分が、刺激に合わせてぷるぷると揺れている。
↓幸せなので戻れなくてもいいやと思い始める翔(身体はしっぽ)が最高ですね。
高校生の翔は、これから厳しい社会を生きる方が未知で不安のようです。
もしかしたら、このまま人間には戻れないかもしれない。
猫の一生って、何年くらいあるんだろう?十年くらいかな?最近は長寿の猫も増えたけど、でも、十五年生きたらかなり長生きのほうだろう。
どっちにしたって、人間よりはずっと短い一生だ。
自分の人生(猫だから猫生か?)の終わりがぐっと近づいてきた上に、やけにリアルになったような気がして、なんだか少し怖い。
だけど、と翔は考える。
だけど、その短い一生は、きっと、自分にとっては、とても穏やかで豊かなものになるに違いない。
しかし、四方の愛はしっぽに向けられたもので、翔(身体はしっぽ)は寂しくなります。
しかも、実は四方が「翔」を好きだとわかり…
翔(身体はしっぽ)は猫語しか喋れませんが、しっぽ(身体は翔)と意思疎通を取ることができます。
しっぽ(身体は翔)は、近所の幼稚園の先生♀が好きで、アタックするために人間の身体が欲しかったようです。
しかし、先生♀は仕事を辞めて結婚式を挙げる予定で…
最終的には元に戻り、翔と四方が結ばれてハッピーエンドです。
続編は入れ替わりませんが、入れ替わっていた時の話題は出ていました。
チェンジ(星月夜の夢がたり)
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『チェンジ』 著者:光原百合 | 女性が人形に入れ替えられる。 | ●文藝春秋 『星月夜の夢がたり』 ●文庫 『星月夜の夢がたり』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
新婚6ヵ月のカオリは、恋人時代のマメさが無くなった夫のヒロシにイライラしていた。
ある日、いつものように夫への愚痴を言いながら掃除をしていたら、結婚祝いに親友のサエコがくれたピエロの人形が話しかけてきて、カオリと強引に身体を入れ替えてしまう。
↓ピエロの人形の人格は女性のようです。体格差ネタが良いですね。
『そんなに嫌なら、あたしと替わってくれてもいいわよね』
一瞬、何が起こったかわからなかった。目の前になにかがにょっきりそびえている。それが人の足だとは、しばらく信じられなかった。ましてそのはるか上から笑って見下ろしているのが自分の顔だなんて。どうやらカオリはピエロになって床に横たわっているらしい。それじゃ、カオリになって立っているのは……あのピエロ?
カオリになったピエロは、ピエロになったカオリを拾い上げて棚に座らせた。
「それじゃ、おとなしくしてて」
↓ヒロシのことが大好きな人形(身体はカオリ)は、カオリの身体でカオリに成りすましてヒロシと仲良くします。
喋れずに身動きも取れないカオリ(身体は人形)は、ただ見ているだけ…さらに、棚の奥へ入れられてしまいました。
「あなた、今朝はごめんなさい」
「え、何が。ああ、忘れてた。けんかしたんだっけ」
ええ、あなたはそーゆー奴よ。いつもあたしの一人相撲で。
「でも珍しいな、こんなに早く誤ってくるなんて」
「当たり前じゃない。あたし、あなたのこと、とっても愛してるんだもの」
カオリ(身体は人形)が元に戻りたがるのに対し、当然人形(身体はカオリ)は元に戻りたがりません。
↓人形(身体はカオリ)がカオリ(身体は人形)に別の身体を入手することを提案するところがヤバくて好きですねw
人形(身体はカオリ)は、全てを捨ててでもカオリになりたいと思っているらしい…
「それじゃあ、人形じゃなかったら、どう。人間だったら、今の暮らしをやめて別の人になって、あなたの望む自由な生活をやり直せるんだとしたら、どう。それなら替わってくれる?」
最後にはカオリはちゃんと元に戻してもらえます。
真相は明らかになっていませんが、ピエロの人形の人格はサエコのようでした。
カオリが、「独身のサエコには主婦のことはわからない」と言っていたのは伏線だったようです。
犬は書店で謎を解く ご主人様はワンコなのです
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『犬は書店で謎を解く ご主人様はワンコなのです』 著者:牧野修 | 青年と犬が落雷で入れ替わる。 | KADOKAWA/アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫 『犬は書店で謎を解く ご主人様はワンコなのです』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
エリートで人を見下す性格の青年・伏部萩兎は、柴犬のハギトの散歩中に落雷に遭い、入れ替わってしまう。
幼馴染の書店でバイトをすることになったハギト(身体は萩兎)に、次々と事件が舞い込んできて…
↓病院で目が覚めた二人は、入れ替わっていました。
人間ボディになったことで、鼻は利かないが目は鮮やかに映るという描写が良かったです。
ストーリーは、主にハギト(身体は萩兎)の一人称視点で進みます。
ハギトはベッドから乗り出し床を覗き込んだ。自分そっくりの柴犬と目が合った。びっくりした。何より同類がいるのに、今までニオイで気がつかなかったことに驚いていた。そして今もそのニオイを感じ取れないことにも。確かに犬のニオイがかすかにするのだが、今までハギトの感じていたそれとは段違いに希薄だ。今まで世界の輪郭はニオイで出来ていたのに、それが霧に包まれたように曖昧で嗅ぎ分けられない。その代わりよく見えた。遠くも近くも、そして鮮やかな色彩も。目がチカチカするぐらい鮮やかだ。
↓ハギト(身体は萩兎)は精神年齢が幼児程度ですが、人語を喋ることができます。
萩兎(身体はハギト)は、犬語しか喋ることができませんが、テレパシーでハギト(身体は萩兎)と会話をすることができます。
また、ハギト(身体は萩兎)は犬とは喋れず、萩兎(身体はハギト)は犬と喋れます。
「あれ、君は」
そう言って驚いた。
人の言葉を喋っていたからだ。
――黙って俺の話を聞け。
柴犬が鳴いた。それは馴染みの犬の言葉だった。
「それって、あの……」
――そうだ。俺は伏部萩兎。おまえの主人だ。
目の前の柴犬はそう言った。
「ご主人!ご主人!ぼくのご主人様!」
ハギトは嬉しそうに連呼し、ありもしない尾を振った。
――わかったから、はしゃぐな。
ひねくれている萩兎本人とは真逆の、純真無垢なハギトが入った萩兎に、家族も幼馴染も驚きを隠せません。
萩兎(中身はハギト)がハギト(中身は萩兎)を「ご主人様」と呼んでいるのが好きですね。
中身が犬だからか、萩兎ボディの傷はすぐに回復し、数カ月~半年のリハビリによりハギト(身体は萩兎)はだいぶ人間らしくなって退院。
ハギト(身体は萩兎)は幼馴染のハル子の家が営んでいる書店でアルバイトをすることになりました。
この後は入れ替わった二人が、町で失踪した人物を捜索したり、放火事件を解決したりします。
↓徐々に犬化していく萩兎(身体はハギト)と、徐々に人間化していくハギト(身体は萩兎)が最高です。
「いやあ、こうして見ると柴犬の顔ってなんだか笑ってるみたいに見えるんですね」
――はあ?
「そんな顔で凄い真剣な話しているからおかしくて。それにしても自分がこんな間抜けな顔してるとは思いませんでした」
――うるさい!お前の間抜け面の責任まで取れないが、中身が俺になった時点でかなり引き締まった顔になっているはずだぞ。だいたいおまえは……。
何が気になるのか、喋りながら萩兎は何度も後ろを振り返る。
何を気にしているのか訊こうと思った矢先、いきなり萩兎はその場でグルグルと回りだした。
自分の尾を追っているのだ。
――止めろ。
コマのように回りながら萩兎は言う。
――早く止めろ。
「凄いその気持ちわかります」
言いながらハギトは萩兎に覆いかぶさるようにして抱きしめた。
「知ってますよ。自分のしっぽが無茶苦茶気になっちゃうんですよね。確かめたくて気持ちがむずむずして仕方がない」
その日ハギトと萩兎は、夕方になって駐輪場で待つゴトのところに出向いた。すでに何度か出会っていたのだろう。二匹は互いにニオイを嗅ぎ合うと、すぐに親しげに話し始めた。犬同士の言葉はハギトにもさっぱりわからなかった。彼がわかるのは萩兎が話しかけてきたときだけだ。
――ハギト、こっちだ。
えっ、と声のした方を見ると、そこにいるのは萩兎だった。萩兎はハギトに尻を向けていた。近づくと、庭のフェンスの隙間に首を突っ込んでいた。
「な、何をしているんですか」
――隙間が魅力的で、ついつい顔を……。
「わかる!わかりますよ。穴とか隙間って良いですよね。そういえば人間になってすっかり忘れていたなあ。ぼくも横に」
――馬鹿野郎!人はそんなことをしない、っていうかだな、ここから頭を引っこ抜いてくれ。
事件を解決していくうちに、入れ替わりを信じてくれる人物も現れます。
色々あって、スタンガンを使用する真犯人♀との対決中に、再び落雷に遭い元に戻ります。
↓幽体離脱シーンが良かったです。
たとえ衣服に五センチの厚みがあったとしても、高いパルス波は身体の中を激痛とともに突き抜けていく。
ぽん、と弾けるような感覚があり、身体が宙に浮き上がった。いや、身体が浮いたのではない。飛び出したのは魂としか呼べないものだ。魂となったハギトは天井近くから萩兎の身体を見た。犬の身体に被さるように、人の姿が見える。
↓元に戻った萩兎が、真犯人♀を捕まえるシーンが特に好きです。
真犯人♀は病んでて怖かったですw
「……おまえ」
「そうだよ。おまえのおかげで元に戻ったんだ。言っておくが、こっちの萩兎は話し合いには応じないからな」
今回は、小説の人外との入れ替わりを10作品紹介しました。
読んでいただいてありがとうございました!