今回は、小説の男同士入れ替わりを10作品紹介していきます。
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もくじ
ラブちぇん
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ラブちぇん』 著者:あすか | 警視とヤクザが転落して入れ替わる。 | 心交社 ショコラノベルス 『ラブちぇん』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
堅い性格で本庁を追い出された警視の萩原倫太郎は、成果を上げるために石動組若頭の石動琢磨に近づいた。
倫太郎と琢磨が行為をした直後、追っ手の殺し屋が現れ、慌てて窓から逃げた二人は転落した衝撃で入れ替わってしまう。
視力は身体準拠で、眼鏡ネタが良いですね。
琢磨(身体は倫太郎)は、琢磨にお尻を犯された直後の倫太郎の身体に入ります(笑)
唖然としている倫太郎に、倫太郎の顔をした誰かが叫んだ。
「……わーーーーっ!どないなっとんねんっ!俺が……俺が伸びとるやんけっ!」
その言葉遣いはまさに琢磨のものだった。ただ、声や容姿は倫太郎のものだ。
倫太郎は自分の手を目の前にもってきた。
手の平は大きく指は太い。腕の筋肉も立派でシャツを盛り上げている。
これはどう見ても自分の身体ではない。
石動組の仲間には入れ替わりを信じてもらいます。
関西弁の倫太郎(中身は琢磨)と標準語の琢磨(中身は倫太郎)のギャップにメンバーは信じざるを得ませんw
何度頭をぶつけても元に戻れず、琢磨(身体は倫太郎)は倫太郎として警視の仕事、倫太郎(身体は琢磨)はヤクザの仕事をすることに…
「倫太郎」は左遷されて初出勤だったので、琢磨(身体は倫太郎)が関西弁を喋っていても問題ありません(笑)
楽観的な琢磨(身体は倫太郎)は警視として成果を上げて楽しみ、真面目な倫太郎(身体は琢磨)はヤクザの内部情報を知るためと渋々入れ替わり生活を送る感じですね。
倫太郎(身体は琢磨)が借金で潰れそうな石動組を立て直そうとするのも良いです。
↓イケメンの倫太郎に惚れている琢磨(身体は倫太郎)は、倫太郎の身体を探索します。
「何遍見てもほんまに、べっぴんさんやで」
倫太郎の目を細めてみたり、微笑んでみたりする。細い顎を撫でるように輪郭をなぞり、瑞々しい唇に触れた。
心と身体が入れ替わってから、腰の痛みや身体の軋み、さらには自分が穿った場所を恨んだ。それでもバスルームで倫太郎の身体を弄り回し、倫太郎が知ると激怒しそうなことまでしてしまった。
倫太郎(身体は琢磨)と琢磨の彼女?の周防真名との絡みも良かったです。
真名は、中身が琢磨の琢磨の方が好きなようですが(笑)
琢磨を追っている殺し屋は、真名と仲の良い琢磨を消そうとしているようです。
倫太郎(身体は琢磨)は、敵対する柏木組に連れ去られてしまい…
琢磨(身体は倫太郎)が元の自分の身体が逮捕されてしまうから摘発できないと悩むシーンが良かったです。
二人は現場から逃げ出す途中で元に戻ります。
元に戻った倫太郎が、琢磨が築き上げたキャラを元に戻すのが大変そうでした。
元に戻った二人はカップルになり、ハッピーエンド。
第2話は、倫太郎が真名の弟・竜紀と倫太郎の身体で精神同居する話でした。
倫太郎が構わずに琢磨とイチャついたり、寝ている間は倫太郎の身体の主導権は竜紀に移り好き勝手されたりと美味しかったです。
マジで恋する千年前
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『マジで恋する千年前』 著者:松雪奈々 | 現代の男子大学生が平安時代の安倍晴明に方術で入れ替えられる。 | 幻冬舎コミックス リンクスロマンス 『マジで恋する千年前』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
大学生の立石真生は、友人の岸谷に連れられて平安時代の展示会にやってきた。
そこで突然、真生は陰陽師の安倍清明に方術で入れ替えられ、平安時代へタイムスリップしてしまう。
清明(身体は真生)は現代生活を気に入ってしまい、真生(身体は清明)は3カ月間の身代わりをすることになった。
↓平成から平安時代にタイムスリップしてしまった真生(身体は清明)。
真生は気弱な普通の大学生、清明は冷静沈着なタイプなようです。
真生は着物を着ていた。模型展でも展示されていた、ゆったりとした白い狩衣である。そして着物の袖から伸びる手が、自分の手ではなかった。大きさはおなじようだが、指が長く、やや荒れている。
これは自分の手ではない。それなのに、意思に従って動いている。
「……え」
愕然として漏らした呟きもまた自分の声ではなく、驚いて口を閉ざす。
清明の式神・佐久に清明の身代わりになれと強要され、真生(身体は清明)は訳も分からないまま清明として仕事をすることに。
人ならざる佐久は、人間の感情を読み取るのが苦手なようで、真生(身体は清明)が困っていることすら理解してくれませんw
真生(身体は清明)は根が真面目なため、ちゃんと清明になりきろうとします。
平安時代の衣食住に関しての描写や、真生(身体は清明)が知っている史実の知識でピンチを脱出するシーンが良かったですね。
真生(身体は清明)はあまり歴史は得意ではないようでしたが。
真生(身体は清明)が清明を性的な意味で狙っている保憲に襲われかけるシーンが好きです。
↓飲酒ネタもありました。
昨夜飲んだ感じでは、真生自身よりも飲めそうな感覚だった。早く暖まりたいという気持ちがあり、つがれるままに速いペースで飲んでいたら、知らぬ間に酒量を過ごしていたらしい。
(中略)
「いつもはもっとゆっくり飲むくせに。今日は、どうしたんだよ、本当に……」
ゆっくり飲むなんて、知らない。そういうことは事前に教えてくれと、潜んでいるはずの式神へ言いたかった。酒を飲むペースまで思い至らず、確認しなかった自分が悪いのだが。
三か月の間、清明として佐久と一緒に時間を過ごした真生(身体は清明)は、佐久と相思相愛の仲に。
真生(身体は清明)は佐久と泣く泣く別れ、元に戻って現代に帰ります。
↓真生の身体になった清明は登場せず、元に戻った真生が岸谷から話を聞く形になります。
清明(身体は真生)は、現代生活を大変気に入り、色々なことに興味を持って行動していたらしい…
真生が平安時代へ行っていたあいだ、真生の肉体には生命の魂が宿っていたわけで、その事情を岸谷は清明から聞いていた。
清明は自分の正体を岸谷にしか明かさなかったらしい。そのため清明が現代で過ごすための手助けは、岸田ひとりが担っていたという。
この後もう一度、真生は清明と入れ替わり、真生(身体は清明)は佐久と一緒にいるために、元に戻ってから平安時代に来ることを決意。
佐久は真生の性別を知らなかったようですが、男性同士でも問題ないらしいw
清明は真生のせいで佐久との関係が変わってしまい、不快に思った様子…
しかし、現代を気に入った清明の方が佐久と一緒に現代にやってきて、最後は現代で皆仲良く過ごしておしまいです。
元に戻った状態が初対面の真生と清明のやりとりや、本当の真生の姿を見た佐久の反応が良かったです。
シャッフリング・デイズ!
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『シャッフリング・デイズ!』 著者:愁堂れな | 父親と息子がぶつかって入れ替わる。 | 集英社 コバルト文庫 『シャッフリング・デイズ!』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
美少年の北見郁は、取り巻きに囲まれて我儘放題な高校生。
ある日、転校生の東条健一郎に告白して振られた郁は、ショックを受けて自殺を図る。
それを止めにきた郁の父親・征と郁はぶつかって入れ替わってしまった。
主人公&語り手は征(身体は郁)です。
↓郁は非常に我儘で子供っぽい性格で、征の身体で泣きじゃくります(笑)
「ねえ、僕、死んじゃったの?」
この甘ったれた喋り方――もしや、と征は『征』の手を振り切ると、すぐ傍にある洗面台の鏡に自分の顔を映した。
「か、郁ーっ」
「うわあん、僕、死んじゃったのお?」
泣きじゃくる『征』を振り切った征は、自分がわんわんとみっともなくも声を上げて泣いている姿を、呆然と見やった。
うわあん、と泣きじゃくる郁の外見は征本人である。経営のカリスマとまで言われた自分が、子供のように――まあ中身は子供なのだが――涙を零し、手足をばたつかせている姿は見るに耐えないと、征は郁の肩を掴んで動きを止めさせると、
「いいか?」
厳しい顔で郁の顔を――あまりに見慣れた自分の顔を覗き込んだ。
「まずは落ち着け。泣き喚いたところで、また中身が入れ替われるというものでもないだろう」
「郁」はサボりすぎて出席日数が危うかったので、仕方なく征(身体は郁)は学校へ行くことに。
「征」の方も、社長としての仕事があったので、郁(身体は征)は仕事へ行くことに。
男性が好きな郁(身体は征)は、好みの秘書・松本に近づけると喜んでいますがw
↓郁(身体は征)を刺激しないように言葉を選んで接する征(身体は郁)がかわいそう…
早起きすら嫌がる郁(身体は征)の甘え具合に、征(身体は郁)は呆れ果てます。
「わかった。じゃあ僕から。ええと、今、僕は寮では一人部屋なんだけどお」
「……郁」
説明を始めた郁の言葉を征が遮る。
「なに?お父さん」
「わ、私の顔でその喋り方はやめてくれ……」
「そんなに変かなあ?」
口を尖らせた郁に、その顔もよせ、と征は怒鳴りつけそうになったが、まずは打ち合わせが先決だとぐっとそれを飲み込んだ。
この後は、征(身体は郁)が学校へ通うシーンがメインです。
↓社長としての仕事が忙しく、郁と接する時間が少なかった征(身体は郁)は、郁が酷い我儘だと知って落胆する感じですね。
郁の代わりに郁の身体で謝ったり、郁の身体で郁の言動に怒ったりとシュールでおいしいです。
「なんだってそんなことを許可するんです。ありゃ高校生の部屋じゃないでしょう」
「き、北見君?」
(中略)
「一体何を考えているんだ。すぐ撤去させなさい」
「撤去って、ありゃもともと、君がごねて運び込んだんじゃないか」
(中略)
「ええ?私が?」
「そうだよ。こんな殺風景な部屋じゃ勉強もできないし、眠れもしない。自宅の部屋とおんなじようにしたいって泣いて頼むから、仕方なく特例を認めたんじゃないか」
「……あ、あの馬鹿…」
「なんだか気持ちが悪いなあ。いつもやってもらうのが当然って顔して、礼なんか言ったことないじゃないの」
「……え……」
自分の息子が、礼儀も弁えない子供だったとは――愕然としながらも、母親なきあとそれは父親の自分の責任だと征はさらに深く荒木主事の前で頭を下げた。
さらに、ノンケの征(身体は郁)は、郁がホモで健一郎に告白してフラれたショックで自殺を図ったと知ってしまい…
征(身体は郁)は、息子の性的嗜好を頑張って理解しようとする良い父親ではあります(笑)
健一郎は、郁の告白を受けて征(身体は郁)と付き合いたいと言い始めます。
↓中身が征の郁を見直した健一郎は、征(身体は郁)と一緒に過ごすようになり、仲を深めていき…(行為シーン有り)
郁(身体は征)は健一郎に好かれる征(身体は郁)に嫉妬w
「君の事を、自分の美貌を鼻にかけた嫌な奴だと思っていた。だがこの一週間、君の近くで過ごしてみて、君がどれだけ真面目で、感謝の心を忘れない思いやりに溢れた性格をしているかがよくわかった」
(中略)
東条の嗜好はノーマルだったはずだ。こんな好青年がそんな、同性を好きになるわけないじゃないか――必死で思い込もうとしていた征の努力はしかし、東条にいきなり抱きすくめられることで終わりを迎えた。
「君の事が好きなんだ」
「ええーっ??」
↓征(身体は郁)は、郁がクラスメイトの男子といかがわしい関係を持っていて、さらにセフレが何人もいると知って落胆…
郁は、勉強はクラスメイト任せにしており、学力も低いようです。
郁の身体は力が弱く、征(身体は郁)は掴んでくる男子の腕を振りほどくことができません。
「授業のノートはほっぺにチュウ、宿題と予習は唇、レポートはそれにプラスアルファ……去年、お前が決めたルールだぜ?今までさんざんやってきたじゃないか」
「ば、馬鹿ものっ」
思わず怒鳴った征に、西川も三宮も驚いて目を見開いていたが、征の怒声は止まらなかった。
そして、仕事を全て秘書の松本任せにしていた郁(身体は征)は、うっかり大事な書類にサインをしてしまい…
最後は相互理解っぽくなり、色々あって階段から再び落ちて元に戻ります。
郁は征の身体で松本と関係を持っていたようです(笑)
迷子のスピリット
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『迷子のスピリット』 著者:鹿住 槇 | 男子高校生がアイドルと事故に巻き込まれて入れ替わる。 | リーフ出版 リーフノベルズ 『迷子のスピリット』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
少女漫画家として活躍する高校生の佐伯郁。
ある日、郁は取材で訪れたテレビ局のスタジオで、人気アイドルグループ・GAINの伊原紘一とライトの落下事故に巻き込まれて入れ替わってしまう。
二人はお互いに成りすまして生活することになったが…
↓目が覚めたら病院にいて、紘一の身体になっていた郁。ペンダコの有無が漫画家らしくて良いですね。
郁は元々、GAINのファンだったようで、GAINの他のメンバー・新城淳也に心配されて少し喜びます。
「……僕の、手…じゃない…」
「え?」
「僕――じゃない」
言ってみて、今度こそ僕は叫びそうになる。
声も違う。僕の声じゃない。聞いたことのある、だけど、僕のものではない声。
「紘一?」
ダメ押しのように、彼は”僕のものではない名前”で、僕を呼んだ。
↓漫画を描いてみせることで淳也に入れ替わりを信じてもらった郁(身体は紘一)は、別の病室にいる紘一(身体は郁)の元へ。
紘一(身体は郁)は、音痴な歌を歌うことで入れ替わりを証明しますw
二人とも自分を偽るような生活を続けていて、別の人間になりたいと思っていたようです。
「あの……びっくりしたでしょ?やっぱり」
おずおずと、僕は自分に話しかける。
「すっげー変な気分だよなー。俺が俺に話しかけてくる」
彼も同じように思ったのか、おかしそうに口元を綻ばせた。
マネージャーにも入れ替わったことを話し、郁(身体は紘一)は紘一としてアイドルの仕事をすることに。
漫画を描くのも郁(身体は紘一)しかできないため、無理を言ってアイドルと漫画家の両立を目指すことになります。
↓郁(身体は紘一)は、紘一本人より上手に歌え、紘一本人より運動は下手な様子。
過酷なアイドル生活で、郁(身体は紘一)は漫画を描く時間すらありません。
音感は僕――佐伯郁のものだったが、運動神経は紘一の身体のものだったらしい。
彼の身体は、ちゃんと鍛えてあって、柔軟性に富んでいた。
僕は生まれて初めて、前屈で胸が太腿にくっつくという快感を味わった。
でも、リズム感は郁のものなので――身体の準備は整っているのに、ノリが伴わない。足はちゃんと開くのに、音楽に合わせて動くことはできず、バック転をやるには度胸がない。
紘一(身体は郁)は、郁として学校へ行き、ファンに追いかけられない生活をエンジョイ。
勝手に郁が気になっていた女の子と遊びに行ったり、クラスでの評判を上げたり、おいしいです。
郁(身体は紘一)以外の淳也・傑・紘一(身体は郁)は、戻らない方が良いと思っている様子…
追っかけやストーカーに悩まされた郁(身体は紘一)は、淳也と同居を始めます。
淳也は「郁」のことが好きだったようで、郁(身体は紘一)に嘘をついて肉体関係を持ってしまいました。
そのことを知った紘一(身体は郁)は激怒…
↓そして、入れ替わりに勘づいて記事を書いた怪しいライターが二人を襲い、紘一(身体は郁)が刺されて重傷に…
大怪我をした身体に戻る郁がかわいそうでした。
郁と淳也が相思相愛になってハッピーエンドです。
「……威勢がいいな、伊原紘一くん?」
ニヤリと、池野は下種っぽい笑みを浮かべた。紘一の顔色が変わる。僕はその場から動けなくなった。
そう――池野は、僕にではなく、紘一本人に「伊原紘一くん」と呼びかけたのだ。
束縛は夜の雫
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『束縛は夜の雫』 著者:きたざわ尋子 | 双子の男性同士が入れ替わる。 | 幻冬舎 幻冬舎ルチル文庫 『束縛は夜の雫』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
社会人二年目で二十歳の山崎充留は、本当の自分でないという違和感に悩んでいた。
ある日、充留は自分とよく似た青年・篠塚悠と出会い、何となく手を合わせた瞬間に入れ替わってしまう。
入れ替わった身体の方がしっくりきた二人は、そのまま生活を交換して過ごすことになったが…
まるで双子のようにそっくりな充留と悠は意気投合。
お互いの人生のことを話し、お互いに羨ましがります。
二人は後に本物の双子で、それぞれ父親と母親に別々に育てられたと判明するのですが。
ということで、二人は何となく手を合わせたら衝撃が走って入れ替わってしまいます。
↓座っている位置が変わるだとか、どちらかの身体にしかついていない傷だとかで、精神が入れ替わったと分かります。
「俺の手にはさ、事故のときの傷が残ってるんだ」
「え……?」
急に言われて、思わず彼の顔を見た。それから少し遅れて自分の手に目を移す。
はっとした。左手の親指の付け根あたりに、見覚えのない傷跡があった。目立つ傷じゃないけど、確かに覚えのない傷だ。
↓元の自分の身体に戻ったような感覚を覚えた二人は、すぐに生活も名前も交換。
二人とも、今までの自分の人生にも、これから元の自分として生きるはずだった人生にも全く未練がない様子。
これが本来の、あるべき形なんだ。
「悠……」
それが僕の名前。すんなりとそう思えた。生まれたときから呼ばれ続けてきたみたいに、しっくりと馴染むのが不思議で、同じくらい当然だと思った。
僕は微笑んで、彼の名を返した。
「充留」
びくっ、と少し震えてから、彼は嬉しそうに笑った。ちょっと泣きそうにも見えた。
一応ちゃんとわかってる。別の人生にすっと入って続きを始めようというんだから、なにが怒ってもしょうがないんだろう。だって篠塚悠として生きていくってことは、それまでの二十年間のすべてを背負っていくってことでもあるんだ。当然いいことも悪いこともあるだろう。
充留の性格でそんなことはないと思うけど、場合によっては恨みだって僕に向く可能性があるんだから。
この後は、悠の身体になった充留がメインです。
悠の家は大金持ちですが、父親の連れ子ということもあり、悠は家族と非常に仲が悪いらしい…
しかし、充留(身体は悠)は勇気を出して弟や母親と仲良くなります。悠は家族に遠慮していただけで、家族自体は悠と仲良くしたかったと分かるのが良いですね。
↓特に、悠は世話係の夏木と肉体関係を持っていたようで、充留(身体は悠)は犯されてしまいました。
夏木は勘が鋭く、一人称や二人称や口調の変化を訝しがってきます。
記憶がないと誤魔化す充留(身体は悠)に、ドSの夏木は嘘をついて好みの服を着せます(笑)
「その反応は心外ですね。自分から誘って何度も抱かれてきたくせに、わたしからだと逃げるんですか?」
「え……」
「まさか、それも忘れてしまったなんて言いませんよね?わたしとのセックスは好きだと言っていたでしょう?」
セックス……って、嘘……夏木さんって、まさか恋人……?でも充留はそんなこと、一言も……それどころか近づくなとか距離置けって……。
「やだ、ぁ……怖い……」
「まるで初めてのような反応ですね。初々しくていい」
正真正銘、僕は初めてなのに、こんなのってない。僕にとってはほぼ初対面の人に、わけもわからず犯されちゃうなんて信じたくない。だってこんなこと、普通だったら一生経験しなくていいことなのに。
充留の身体になった悠は、一人暮らしや運動ができる身体を楽しみます。
この後は、充留(身体は悠)が父親に勘当されたり、充留(身体は悠)が悪い友人に連れ去られたり、夏木に入れ替わりがバレたりします。
↓最後は元に戻らずに、充留(身体は悠)と夏樹がラブラブになってハッピーエンドです。
悠(身体は充留)が元の自分の身体が夏木と肉体関係を持ったことについて、諦めるような描写があったのが最高でした。
「あんたら、なんかすっげーお似合い」
「ありがとうございます、充留さん」
わざわざ名前を呼ぶのは、夏木さんなりの線引きなんだろうか。呼ばれた充留も、どこか吹っ切れたような顔をしてみせた。
愛ときどき混戦
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『愛ときどき混戦』 著者:たけうちりうと | 赤の他人の男性同士が事故で入れ替わる。 | 講談社 講談社X文庫White heart 『愛ときどき混戦』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
資産家の家に生まれデパートでエリートサラリーマンをしている門脇周と、塾を開いている三日月広司。
赤の他人の二人は、ある日デパートで倒れた時計の下敷きになり、目が覚めたときには入れ替わってしまっていた。
入れ替わる前の二人は面識がありませんが、門脇の姉の小学生の子供(甥)が三日月の塾に通っているという関係があります。
三日月(身体は門脇)は、救急車内で自分のものではない名前を呼ばれ、見知らぬ門脇の姉に励まされ、着た覚えのない服を見て困惑…
何とか姉と話を合わせる三日月(身体は門脇)が好きですね。
門脇(身体は三日月)の方も、救急隊員に記憶喪失だと思われます。
三日月の彼氏・前園直也が病室にやってきて抱き締められ、ノンケの門脇(身体は三日月)は拒絶してしまい、三日月と前園の関係に亀裂が…
↓二人の病室は別だったため、対面シーンは遅めです。
二人ともトイレで相手の股間を観察(笑)下着の種類ネタが好きですね。
小柄な身体へのコンプレックスが強い門脇(身体は三日月)は、三日月の身長にも股間のサイズにもショックを受けます。
広司が生真面目に悩んでいたそのとき、トイレ入り口の引き戸が開いた。何気なく振り返り、広司は絶句した。
「あっ!」
だが叫んだのは広司ではなく相手だ。いや、声をたてたのは広司の身体なのだが、叫んだのは門脇周である。驚いた顔をしている自分を眺めて驚くという、ひどくややこしいことがこのとき双方に起きた。
門脇(身体は三日月)は自分の理想のボディを手に入れたことから、元に戻る方法を考える前に今の状況を楽しみたいと言い始めます。
ということで、二人はしばらくお互いの生活を交換することに。
三日月(身体は門脇)は、元の自分の身体の中身が門脇になり、女性にモテる姿を見て感心します。
もっとも門脇ボディもイケメンで、三日月(身体は門脇)は男性に愛想を振りまくのですがw
三日月(身体は門脇)は門脇としての仕事を休み、門脇(身体は三日月)は三日月として塾の講師をします。
二人は同居して一緒に暮らすうちに、お互いのことが気になってくる感じですね。
入れ替わった二人と喫茶店の主人との絡みが一番好きです。
そして、門脇の彼女・みゆきと、三日月の彼氏・前園との関係をどうするかの話題に。
↓元に戻れなかったら…な話題が良いです。
「広司は俺のお粗末な身体を望みもしないのに背負わされて、彼氏もなくしてってことになるじゃないか。俺は広司の身体をもらってみゆきとうまくいったとしても、それじゃ広司に悪いよ」
「昨日今日ゲイになったわけじゃないし、パートナー探しのノウハウは知ってる。周の顔と身体がどういう相手を惹きつけるかも知ってるし、彼らが君の身体の何を喜ぶかも知ってる。その場合は君に諦めてもらわないといけないけれどね。この身体を男に触らせないでくれっていう、あれを」
↓門脇の代わりにみゆきとのデートに行った三日月(身体は門脇)は、自分勝手な門脇とは違った気の利く対応で、みゆきに心配されてしまいました。
この後、「門脇」はみゆきにフラれてカップルは破局…
門脇(身体は三日月)が三日月の身体でみゆきに入れ替わりを話し、お別れを言うシーンが最高でした。
「どこかで君の好きなものでも買ってくるよ。もう一度待ち合わせしよう。遅くなった場合は何時になるの?」
みゆきはぱかっと口を開き、広司をまじまじと見つめてきた。これで周のふたつめの行動パターンがわかった。周はデートの約束の時間に遅れた彼女に、こんな申し出をしたことはないらしい。
「周……」
そう言うなり、彼女の目に大粒の涙が浮かび、ぼろぼろと頬にこぼれた。
門脇(身体は三日月)の方も、三日月の代わりに前園とデート。
前園は、「三日月」が知っているはずのないことを門脇(身体は三日月)が話したことで、入れ替わりを見抜きます。
門脇(身体は三日月)が前園に襲われかけた後、「三日月」と前園のカップルは破局します。
その後、相思相愛になった三日月(身体は門脇)と門脇(身体は三日月)が行為…をしようとして未遂に終わります。
入れ替わりの原因となった時計は壊れた後に燃えてしまったようで…
最後は色々あって再びぶつかって元に戻ります。筋肉痛の身体に戻るシチュが良かったです。
ネットで儲ける王様のカラクリ~物語でわかるこれからのWebマーケティング
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ネットで儲ける王様のカラクリ~物語でわかるこれからのWebマーケティング』 著者:竹内謙礼 | 大企業務めの男性と小売店務めの男性が落雷で入れ替わる。 | 技術評論社 『ネットで儲ける王様のカラクリ~物語でわかるこれからのWebマーケティング』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
同窓会に来ていた平木と城之内は、雨宿り中に落雷に遭って入れ替わってしまう。
城之内は一流IT企業に勤める平木として、平木は地方で花屋を営む城之内として、お互いに羨ましがっていた生活をすることになったが…
商店街で花屋を営む実家で働いている城之内は、落ち込む売り上げを伸ばそうと、平木が務めるキングスター社にホームページ作成を依頼しようとします。
それを聞いた平木が止めに入り、二人がお互いの生活が羨ましい…と険悪な雰囲気で話していたところに落雷。
病院で入れ替わっていると気がついた二人は、お互いの生活を交換することに。
↓二人とも身体のスキルが使えないと仕事にならないからか、一部だけ記憶が読める設定になっています。
城之内は花屋の仕事をつまらないと思っていて、平木は人を騙すようなIT企業での仕事に罪悪感を抱いているのが良いですね。
最初は、お互いに覚えなくてはいけない情報が多すぎて、1週間では難しいのではないかという不安が城之内にはあった。しかし、仕事に関する情報や知識は、以前から知っていたかのようにスルスルと記憶することができた。また、お互いの生活に関わることも1週間ぐらいでかんたんに暗記することができた。
平木は「相手の脳に残っている記憶を、うまく引き出せているんだろ」と、冷静に分析していたが、城之内は急に自分の頭がよくなったような気分がして少しうれしくなった。
↓城之内の家に帰った平木(身体は城之内)が、城之内の家族に心配されるシーンが最高。
城之内には、美人な妹・雅美がいるようです。
平木は複雑な気持ちになりながらも、「心配かけてごめんな」と言って、男性と女性の背中をポンポンと叩きながら、店の中に入っていった。
駆け寄ってきた男性と店から出てきた女性は、城之内の両親だった。
心の底から城之内の退院を喜んでいる姿を見ると、心が違う人物である自分に、少し罪悪感のようなものが芽生えた。しかし、この両親から見れば、目の前にいるのはまぎれもない自分の”実の息子”なのだ。
雅美も花屋の手伝いをしており、城之内と一緒に再建に向けてやる気満々。
↓空回りするやる気で高額なホームページ作成の依頼をしようとする雅美に対し、平木(身体は城之内)は説得にかかります。
説得しながら自分のやってきた仕事のことを考えて心が痛む平木(身体は城之内)がおいしいです。
平木は一人っ子なので、このような”兄妹ケンカ”をするのは初めての体験だった。どのように言葉を選べばいいのかわからなかったが、とりあえず、いつもの仕事で使うディベートの要領で、ひとつひとつ問題点を整理しながら、雅美を説得することにした。
「そういう小手先のテクニックで、相手を安心させるのが、キングスター社の営業のやり方なんだよ」
平木はそう言いながら、自分自身がこのような手段を使って営業をしてきたことに対して胸が痛くなった。
雅美の暴走を止めるだけではいけないため、平木(身体は城之内)は花屋再建に向けて、自身でホームページを立ち上げて新たなビジネスを始め、雅美や両親を巻き込んで売り上げを伸ばしていきます。
キングスター社での経験が活かされているのが良いですね。
平木(身体は城之内)が雅美のことが気になり始めるというラブコメ的な要素もありました。
↓一方、憧れの大企業務めになれた城之内(身体は平木)は、最初は社員食堂に喜んだり、平木の身体が覚えていた仕事をこなしたりと順調でしたが…
社内会議で「情弱をカモにするIT大企業の戦略」を知ってしまい…
当然のことながら、初めて会う人、初めてやる仕事ばかりだったが、仕事を目の前にすると、身体が勝手に動いて、無意識のうちに処理することができた。たとえば城之内はパソコンのブラインドタッチがまったくできなかったが、いざ席に座ってしまうと、不思議と手が動き、ものすごい速さでキーを叩くことができた。
平木の英語力のベースが頭の中に残っているせいか、社内で英語を使うシーンがあると、それなりにスムーズに口から英語が出てきた。
顧客を騙すようなやり方に後ろめたさを感じた城之内(身体は平木)は、契約を取ることができなくなり、とうとう閑職のカスタマーセンターへ左遷に。
城之内(身体は平木)のせいで平木の評判が下がってしまうのが熱いです。
しかし城之内(身体は平木)は、契約を打ち切ろうとする顧客に対して熱心な勉強会を始め、軌道に乗ります。
入れ替わって一年が経ち、城之内(身体は平木)はテレビ出演を果たすまでに成長。
↓テレビに映る元の自分の姿を見る平木(身体は城之内)が好き。
自分がテレビに映っているにも関わらず、他人のような感覚を覚えることに、なんとも言えない複雑な思いが平木の心をよぎった。
身体が入れ替わってから、今ではほとんど違和感なく「城之内」を名乗ることができるようになったが、それでも、たまに自分のいた東京での生活を懐かしく思うときがある。
現場で働きたい城之内(身体は平木)と、もっと大きな仕事がしたい平木(身体は城之内)は、お互いに元に戻りたいと思った矢先に、再び雷が落ちて元に戻ります。
平木が入れ替わっていた時に知った雅美の好きな花を買って、雅美に会いに行くシーンでおしまいです。
物語としても面白く、良い作品でした。
オセロ●○
※この項目には物語に関する重大なネタバレが含まれています。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『オセロ●○』 著者:竹内雄紀 | 中年男性が中学生の頃の自分と一日おきに入れ替わるようになる。 | 角川春樹事務所 ハルキ文庫 『オセロ●○』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
47歳の冴えない中年男性・岸田信秀は、ある朝起きたら14歳・中学生の頃の岸田信秀と入れ替わっていた。
入れ替わりは信秀の人生を変えた「ある事件」に向けてカウントダウンするように、一日おきに繰り返され…
ということで、33年前(33年後)の自分との一日おきの入れ替わりです。
年齢差入れ替わり要素や、タイムスリップ要素が多めでした。
一日おきに入れ替わるため、今日の相手の行動が翌日の自分に即返ってくるところが面白いです。
↓入れ替わりに気がついた二人は交換日記で情報共有しますが、微妙に大事なことは伝えきれずにトラブルが…w
二人とも何とか周囲と話を合わせるシーンが多くあって良かったですね。
岸田信秀さん、こんにちは。僕も岸田信秀です。僕は三十三年前のあなたです。あなたは三十三年後の僕ですよね?たぶん、そういうことだと思います。そう思いませんか?
初めまして、なのか、お久しぶり、なのか。まあ、なんと挨拶したらいいのかわからないが、お察しの通り、私は三十三年後のキミだ。肉体はそのままに精神だけ交互に入れ替わっていると、よく気づいたな。
↓33年前に戻った中年の信秀(身体は中学生の信秀)は、死んだはずの父親が生きていることに驚いたり、久しぶりに親友のドラや初恋の後輩・翔子と会ったり、テストに苦しんだりと二度目の青春を謳歌。
つまり……中学生か高校生のころの私の部屋だ。
なんだ。まだ、夢を見ているのか。だが……夢にしては意識がはっきりしすぎている。目をしばたたいてみたが、やはりまわりは昔の私の部屋。
↓33年後に行った中学生の信秀(身体は中年の信秀)は、未来の妻や息子と絡んだり、初めて見るパソコンや携帯に驚いたり、聞き慣れないカタカナ語に戸惑ったり、会社の後輩♀にラ○ホテルに連れて行かれたりとおいしいです。
「センパイ。何か忘れてない?」
忘れてないも何も、状況が一つもわかっていない。
「朝のチュッは?朝のチュッ」
女の人がめをつぶって、くちびるをつき出してきた。キッ、キス~ッ?
(中略)
鏡には、知らないオジサンの顔が映っていた。大人の年齢はよくわからないけど、たぶん四十歳くらいか、もう少し上か。とにかく中年の人だ。
ん?とうさんにどこか似ている。僕の叔父さん?いや、とうさんには男の兄弟はいないんだった。とうさんのいとこ?でも赤の他人という可能性もある。
↓中年信秀は息子とすれ違って会話もしていなかったようですが、中学生信秀のおかげで元の仲に戻ります。
中学生の信秀(身体は中年の信秀)は、親友のドラが33年後に最終予言の救世主として世間で大問題を起こしていると知り…
(中略)
自殺なんか、何があっても絶対にしちゃダメだ。キミのかあさんやとうさんが、きっと立ち直れないくらい悲しむと思うから」
「えっ、いきなりそこで他人事?」
黙って聞いていた悠馬くんが突然笑った。
「他人事?」
「だって、おかしいでしょ。<キミのかあさんやとうさんが悲しむ>って」
あっ、そうか。忘れていた。僕が悠馬くんのとうさんだった。
↓中年信秀が、妻に入れ替わりを見抜かれていたところが好きです。
妻もかなりかわいそうな境遇のキャラクターでした。
「弔い上げなんて言葉を知ってるってことは……今日はパターン通り、本来のセンパイなんだね。四十七歳の」
入れ替わりの期間は約一週間で、「ある事件」の日には二人とも元の身体の中にいます。
中年信秀は47歳となったドラを説得しに行き、「ある事件」について教えられた中学生信秀は事件を防ぐかどうかの選択を迫られ…
ドラと翔子を「ある事件」から救うと、妻と結ばれて息子が生まれる未来が無くなるというタイムパラドックスの重すぎる選択を迫られた中学生信秀が悲惨です。
最後は、中学生信秀がどちらを選んだかは読者の想像に任せる形でした。劇中劇エンドにも感じました。
一日おき入れ替わり要素や腕に文字を書いて相手に大事なことを知らせるシーンが君○名はっぽかったですが、君○名はよりも2年早く書かれた作品のようです。
信秀の親友のドラの性別が叙述トリックになっていたのが良かったですね。翔子の家系は見た目が若く見えるというのもミスリードでした。他にも色々と伏線が。
中年信秀の妻の正体や、中学生信秀が好きだった翔子の生死など、ギリギリまで明かされなかったので、気になって一気に読んでしまいました(笑)
何をしたんだ、清川くん
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『何をしたんだ、清川くん』 著者:文野はじめ | 普通の男子高生が校内一のイケメンと入れ替わる。 | ディスカヴァー・トゥエンティワン ノベライドル 『何をしたんだ、清川くん』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
何をしてもダメな男子高生・御手洗流は、ある朝起きたら学校一のイケメン・清川くんと入れ替わっていた。
美少女ハーレムを抱える清川くんになれて喜ぶ流だったが、実は清川くんは大きな問題を抱えていて…
↓何の前触れもなく清川くんになっていた流は、とりあえず学校へ。
文武両道で完璧イケメンの清川くんの身体だと、学校中・町中の女性から注目され、声をかけられます。
流(身体は清川くん)は誰かの人生の脇役から、主人公になれたと喜びます。
渦を描きながら目の前の排水溝に吸い込まれていく水流を見ながら、呼吸を整える。
落ち着け、僕。
いきなり他人になるなんてことあるはずない。マンガじゃないんだから。
水を止めて顔を上げれば、いつも通りの、自分の冴えない顔があるはずだ。
意を決して水道の水を止めると、「僕」は顔を上げた。
鏡の中には、水も滴るいい男がいた。
それは……僕なんだけど、僕じゃない、ってことで……。
すらりとのびた背、目鼻立ちの整った顔、きらきらと眩しい瞳。
つまり、僕が清川君になってしまった、ということだった。
しばらく憧れの清川くんライフを楽しむ流。
しかし、「清川くん」はハーレム構成員の井川くるみや賀古未来と険悪な雰囲気になっていて…
「清川くん」が何をしたのかわからないまま、「清川くん」の情報を探る流(身体は清川くん)が良かったです。
「清川くん」は、異常なほどの八方美人で、誰にでも優しくし続けた結果、「とある事件」が起こり八方塞がりになってしまったらしい…
↓病院で「カノジョ」のことを聞き、清川くんの抱えている事情を察した流(身体は清川くん)の葛藤が好きです。
誰にでも、自分だけの場所があって、そこには自分だけの人がいる。それは、その個人の歴史だ。いきなり入れ替わったとしても、そう簡単に引き継げるものではない。
いや、あるいは引き継げるのかもしれないが、それは少し恐ろしい。
清川君という、僕にとっての他人の深淵を覗くことになるからだ。
病院は、どう考えてもポジティブな場所ではない。
あの清川君にすら、辛いことや苦しいこと、悲しいことがある、という当たり前のことを僕は忘れていた。清川君もひとりの人間なんだ。彼が築いてきた長い歴史があり、中には負の記憶もあるだろう。それを受け止め、なおかつ普通に生活を繰り返すことができるのだろうか?どんなに演技に力を入れたとしても、僕は清川君ではない。
死ぬまでの途方もない時間を、そうやって嘘をつき続けながら生きられるのだろうか?
↓清川くん(身体は流)の方は、流の身体で流の部屋に引きこもっており、接触することはできません。
懐かしい母の声がインターフォンを通して聞こえた。ちょっと涙が出そうになるのをこらえて、言う。
「御手洗君の学校の友人の清川と申します。御手洗君はいますか?」
「ごめんなさい、流は昨日から体調が悪くて寝込んでいるの」
当たり前だが、母は他人行儀に話す。それが辛い。お母さん!と呼びかけたい誘惑に駆られるが、ぐっと我慢する。
流(身体は清川くん)が片思いしている幼馴染の未来と絡むところも良かったですね。
未来も「流」が好きだと聞いて、流(身体は清川くん)は元に戻りたくなります。
↓未来から「流」の評判を聞いて照れたり、「流」の悪口を言って未来に怒られたりする流(身体は清川くん)が最高でした。
終盤で流(身体は清川くん)が未来に入れ替わりを話すシーンが熱かったです。
「だって、未来の周りには他にもっと格好良い男子がいっぱいいるじゃん!それなのにどうしてあんな暗くて、頭も良くなくて、取り柄もない奴を……」
「――きっと、いや、絶対にうまくいくよ。応援する」
「そうかなあ。どうしてわかるの?」
「わかる。流君も、未来のことが好きなんだよ」
これは告白と言えるんだろうか?
いや、言えないだろう。いつかちゃんと、自分の口から伝えないと。
そのためには、元の僕に戻らないといけない。
終盤で、流の身体になった清川くんがやっと部屋から出てきて登場します。
清川くんも山積みの問題から逃げたくて、流と同じように「他人になりたい」と思ったから入れ替わってしまったようです。
↓人知を超えた存在の管理人さんには、二度と元には戻れないと言われてしまいました。
「清川君を待っている彼女は?清川君を信じて待ち続けて、それを僕は自分を偽って迎えに行けば良いってことですか?だいたい、僕の気持ちはどうなってしまうんだ!カノジョに会うべきは清川君で、未来を迎えに行かなければいけないのは、本来の僕だ!」
そう言うとそのまま、管理人さんは黙り込んでしまった。
「私はあなたにすべてを知ってもらって……理解してもらいたかった。清川君として生きることを、肯定してもらいたかった。戻ることができない事実を、受け入れてほしかったの。くるみとの問題を解決し、未来の悩みを受け入れ、清川君として支える物語を作りたかった。今までのあなたなら……そうしていたはずよ」
↓流(身体は清川くん)は清川くん(身体は流)を説得し、管理人さんの協力の元、何とか階段落ちをすることで元に戻ります。
元に戻った流は、以前よりも積極的になったのでした。
「だから……僕はこれでも良い。静かにこうやって生きて、僕は僕をもう一度、やり直せれば良いんだ……」
「僕を勝手に使うな!」
「!」
生徒のくせに生意気だ
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『生徒のくせに生意気だ』 著者:田知花千夏 | 教師と生徒が交通事故で入れ替わる。 | KADOKAWA B-PRINCE文庫 『生徒のくせに生意気だ』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
数学教師をしている三橋晴彦は、生徒に舐められており、理想と現実のギャップで悩んでいた。
そんな三橋を好いて言い寄ってくる生徒の萬寿大吉に、三橋はうんざりしていた。
ある日、二人は交通事故で入れ替わってしまい、仕方なく生活を交換して過ごすことになったが…
病院で目が覚めたら、大吉の両親に心配されていた晴彦(身体は大吉)。
噛み合わない会話が最高ですね。
↓そこに、大吉(身体は晴彦)がやってきます。
そこには、三橋晴彦が、――自分が立っていたからだ。
「えっ、な、な、お、俺……!?」
入れ替わりは、神様見習いの栗花落が、魂を入れ違えたせいで起きたらしい。
すぐには元に戻れないようなので、二人はそのまま過ごすことに…
晴彦が好きな大吉は、晴彦の身体になれて嬉しいようです。
晴彦(身体は大吉)は、成績の悪い大吉(身体は晴彦)にスパルタで数学を教え、何とか月曜日には授業ができる状態にします。
大吉(身体は晴彦)は、晴彦以上に上手に授業をこなし、聞き分けが悪かった生徒たちも話を聞くようになってしまいました。
取っつきにくい晴彦本人よりも、人当たりの良い大吉のおかげで、晴彦の評判も上がってしまいます。
コミュ力が高い大吉(身体は晴彦)の、適当に話を合わせるスキルに感心しましたねw
晴彦(身体は大吉)は教師としての能力に自信を無くし、また大吉(身体は晴彦)の人柄に惚れていくようになります。
↓大吉(身体は晴彦)は、晴彦のことが大事すぎて、性欲が溜まっても発散することができません(笑)
そんな大吉(身体は晴彦)を見て、痺れを切らした晴彦(身体は大吉)は手○キw
「学校とかなら他の人もいるし平気なんだけど、ここでひとりでいると、めっちゃエロい妄想ばっか浮かんでくる。……家中、あたりまえだけど先生の匂いがするし、ベッドとか、風呂とか拷問だし、ほんと、苦しくて」
(中略)
「……それでもおれ、先生のことが本気で好きだから。勝手にどうこうするくらいなら、このまま熱で死んだほうがマシだし」
いくら中身が大吉とはいえ、これが自分の体だと思うと頭痛がした。
(大丈夫だ、自分のなんて何度だって抜いてきたんだ。今回のこれも、それと同じだ。変わらないだろ)
↓一カ月程度経っても元に戻れず、晴彦(身体は大吉)は若い人生を奪うことについて苦悩します。
元の生活を取り戻せないことへの憂いよりも、他人事のように大吉に同情してしまう。
三橋の体などよりも、大吉の体でいるほうが、若さがあるぶんいくらでも未来をつかめるだろう。教師の仕事だって、また一からやり直すことができるかもしれない。
しかし、大吉は違う。学生からいきなり二十七の社会人になってしまっては、選べる道も極端に減ってしまう。
↓二人の気持ちはすれ違ってしまい、今度は大吉(身体は晴彦)が晴彦(身体は大吉)を手○キ。
大吉(身体は晴彦)は、一日に何度も鏡を見ながらオ○ニーをしているらしいw
下着の中で乱暴に性器を擦り上げられ、三橋のそれが重量を増していく。
こんな状況でも反応してしまうのは、若い大吉の体のせいだろうか。自分のせいじゃないと、三橋はたまらず心の中で叫ぶ。
そんな三橋に、大吉は熱のこもった声で言う。
「ね、先生。この前さ、先生が好きにしていいって言ってくれただろ?」
ここ、と硬くなった下半身を服の上から押しつけられ、ぎくりとした。
二人のすれ違いが続き、ようやく相思相愛になりかけたところで、再び交通事故に遭って元に戻ります。
晴彦は元に戻ったら大吉とは他人同士になろうと決めていて…
最後はハッピーエンドでした。
今回は、小説の男同士入れ替わり回を10作品紹介しました。
読んでいただいてありがとうございました!