今回は、小説の男同士入れ替わりを10作品紹介していきます。
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もくじ
実験
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『実験』 著者:矢島正雄 | 中学生男子二人が爆発で入れ替わる。 | 幻冬舎 『読んで演じたくなるゲキの本 中学生版』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
中学生の渡辺京介と吉野高道は、化学薬品を間違えたことによる爆発で入れ替わってしまう。
二人とも入れ替わったことに気が付かずに精神の方の家に帰ってしまい、大変なことに…w
頭がおかしくなったと思われる京介(身体は高道)がかわいそう…
高身長ハンサムな高道(身体は京介)は、低身長ブサイクな京介の身体をディスります(笑)
↓性格は身体に流されて、多少変わるようです。
京介の身体になった高道は、優等生な高道本人ではありえないはずの熱血?に…
高道の身体になった京介は、京介本人ではありえないくらい冷静な知的に…
京介 お前、俺の身体になってからメチャクチャ元気じゃん、自分の思ってることストレートにいうし、俺を動かそうとしてる、今まで吉野高道にそんなことあったっけ?
京介 そう素直に自分の欠点認めるパワーもよ、俺の身体になったからこそじゃねえの?
高道 ……(ハッとして)……ボクともあろうものが、もう少しでダマされるとこだった、君こそボクの身体になって知性を働かせるようになってる、
この後は、二人はお互いのフリをして身体の家に帰ることに。
二人とも家庭環境が真逆なので、カルチャーショックを受けるのが良いですね。
京介(身体は高道)は高道の彼女の萌と絡み、高道(身体は京介)は京介の母親と絡みます。
最後は、元に戻ったかハッキリわからずにおしまい。
声の描写からたぶん元に戻っていると思います。
たましいのいれかえ
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『たましいのいれかえ』 著者:(不明) | 旅人と村人がお寺で眠って入れ替わる。 | 偕成社 『三重県の民話―鈴鹿峠の盗賊とハチほか(県別ふるさとの民話30 三重県)』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
長源寺を訪れた旅人が、偶然居合わせた村人の与平と居眠りをしたら、魂が飛び出して入れ違ってしまった。
二人は入れ替わったことに気が付かずその場を去ってしまい、周囲は大混乱になってしまう。
与平(身体は旅人)は、与平の家に帰って妻が困惑。
旅人(身体は与平)も、与平を知る村人たちに会っても知らんぷり。
周囲が何とか二人を再び長源寺で寝かせて元に戻します。
17×63 鷹代航は覚えている
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『17×63 鷹代航は覚えている』 著者:水生大海 | 高校生男子と祖父が同時刻に傷害事件に遭って入れ替わる。 | 祥伝社 『17×63 鷹代航は覚えている』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
高校生の鷹代航は、母親の真知子と祖父の章吾と一緒に暮らしていた。
ある日、何者かに刺されて倒れている祖父を助けようとした航は、酔っ払いに自転車をぶつけられて意識を失ってしまう。
そして、病院で目が覚めたら航と祖父は入れ替わっていた。
先に目を覚ましたのは航になった祖父で、航にしかない傷跡を見て入れ替わったことを知ります。
↓祖父になった航は刺されて重症。対面シーンが好きですね。
女の子と入れ替わりたかったネタもあります(笑)
目の前にオレ自身がいて、心配そうに見つめている。
幽体離脱?いやそれ、動かない自分を上から見つめてるのがフツーだから。
かあさんの声が聞こえた。――「お父さん」と。
白衣の人間が呼びかけてきた。――「鷹代章吾さん、わかりますか?」と。けど、じいさんはいない。
もうひとりの自分が顔を寄せてきた。小声で問うてくる。
「おまえは、俺か?」
分身の術?ないない、忍者の修行をした覚えなんて。
「オレ、航だけど」
そう返事をしたが、口元がなにかで覆われていて、くぐもる。届いただろうか。目の前の"オレ"は、悲しそうな顔になった。
「落ち着くんだ。いいな、落ち着け」
そう言って、かあさんになにか指示をした。かあさんが不思議そうな表情で鞄からスマホを出して渡す。"オレ"が、少しいじって、画面を目の前に突きだしてきた。
カメラアプリだ。自撮りモードになっている。
ガーゼだらけの祖父、章吾が映っていた。意味がわからなかった。再度、"オレ"が顔を寄せてくる。
「おまえは、俺だ。俺が、おまえだ」
頭が真っ白になった。気づけば両手両足をめちゃくちゃに動かしていた。
先に退院した祖父(身体は航)は、「祖父の身体」を刺した犯人を見つけるために、周囲を嗅ぎまわります。
祖父(身体は航)は、事件当日の記憶が抜け落ちていて、全く手がかりがない状態です。
ちなみに、「祖父の精神」の一人称は「俺」、「航の精神」の一人称は「オレ」。
若い身体を手に入れた祖父(身体は航)がはっちゃけて青春を楽しみ、そんな祖父(身体は航)が心配な航(身体は祖父)は高校の近くのコンビニでバイトを始めます。
内向的だった航(身体は祖父)は、祖父の身体なら失敗してもダメージは少ないということで、積極的に動けるようになりますw
話的には、主に祖父(身体は航)が学校で起こった事件3つを解決しつつ、「祖父の身体」を刺した大事件の犯人を見つけるという感じでした。
入れ替わり的には、若者と老人の入れ替わりなので、年齢差による身体面・立場面での違いネタがおいしかったですね。
祖父(身体は航)の朝立ちネタ・夜間頻尿ネタ、航(身体は祖父)が祖父の身体を見てショックを受けるネタ、などがありました。
二人とも、普段接している人物の態度が変わるだとか、絵を描くスキルが変わるだとか、そのあたりも良かったです。
「自分は人格者で、誰かに恨まれるなどありえない」と言っていた祖父(身体は航)が、航の身体で知人と接し、実はそこまで好かれていなかったと知るシーンが一番好きでした。
そして、犯人に刺された祖父(身体は航)と、階段から落ちた航(身体は祖父)は、元に戻ります。
航の精神は、刺された祖父の身体と入れ替わり、刺された航の身体に戻るのでこの上なくかわいそうw
航は、航にしかない傷跡を見て元に戻ったことを知ります。
↓元の身体に戻れた航は、大怪我の痛みさえも嬉しいようです。
最後は、航と祖父がぶつかって、入れ替わったかどうかわからない状態でおしまい。
……導尿。またか。くそ恥ずかしい。だけどあのときの身体はじいさんで、今はオレ自身の身体だ。腹の痛みも導尿も、オレがオレでいることの証だと思えば我慢ができる。
白衣の女性はオレの身体をあちこちと触ってチェックしていった。自分や看護師の言うことを聞いて治療に努めれば早く治りますよ、若いんだからと太鼓判を押してくれる。
若い。その言葉に震えた。
若いって、すばらしい!
ある一日
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ある一日』 著者:星新一 | 青年が老齢の自分と入れ替わる。 | 『星新一ショートショートセレクション〈9〉さもないと』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

運悪く失業してしまった青年は、アパートで途方に暮れていた。
目を覚ますと、青年は見知らぬ豪華な部屋におり、身体は老齢となった自分になっていた。
↓青年(身体は老人)が鏡を見るシーンが好きですね。
未来の自分には執事がついているようで、どうやら日常生活忘却剤を飲んだせい?で入れ替わったらしい。
なにげなく鏡をのぞきこみ、青年はぎくりとした。そこには、かなりの年輩の男の姿がうつっていた。どうやら、それが自分であることは、なんとなく見当がついた。
豪華な部屋は外界との連絡を全て絶っており、青年(身体は老人)が何を聞いても、執事は休養の妨げになると答えてくれません。
仕方なく、青年(身体は老人)は豪華な暮らしを楽しむことにします。
翌朝、青年は元の身体に戻っていて、昨日の出来事は夢だったと思うことにしました。
その後、運良く仕事で成功した青年が老齢となり、しばらく休養を取ることに。
そして気がついたら青年の頃の自分と入れ替わっていたわけですが、先立つものが何もなく…
転校生とブラック・ジャック
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『転校生とブラック・ジャック』 著者:永井均 | タイプの違う男子高校生二人がぶつかって入れ替わる。 | ●岩波書店 双書・現代の哲学 『転校生とブラック・ジャック 独在性をめぐるセミナー』 ●岩波書店 岩波現代文庫 『転校生とブラック・ジャック 独在性をめぐるセミナー』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
第3章「転校生とブラック・ジャックー本文の提示と、それをめぐる短いセミナー」が男同士入れ替わり。
「入れ替わった状態で記憶を本人のものに書き換えたら、それは本人と言えるのか?」が主題のセミナーで、学生への問題提起として約4ページの男同士入れ替わり作品が掲載されています。ちなみに、セミナー部分(先生と学生たちの会話)は約23ページあります。
柔道部員の高校生・太郎は、ある日チビで痩せている友達の次郎とぶつかって入れ替わってしまう。
二人が怪しい外科医のブラック・ジャックに相談したら、脳手術をして身体に合わせた記憶に書き換えてくれると言うのだ。
自己の存在を消されそうになった太郎は不安になり…
↓物語は太郎の精神が語り手です。
短いですが結構おいしい入れ替わり作品になっています(笑)
映画の『転校生』やその原作の『おれがあいつであいつがおれで』では、男と女の体が入れ替わることになっていて、それならおれも一度くらいは経験してみたい―できれば花子と―と思っていたけれど、なんと、おれが入れ替わった相手は男だ。これでは面白くもなんともない。
↓身体が入れ替わっているのか、精神が入れ替わっているのかというややこしい問題についても触れられていて面白いですw
もちろん身体が入れ替わったと思っているのはおれたち二人だけで、おれたち以外のやつらは、おれたち二人の記憶や性格が、つまり心が入れ替わったと思っている。
↓学生への問題提起なので、太郎はいきなり小難しいことを言い始めます。
体が太郎で心が次郎の人間を「T(J)」と表現し、体が次郎で心が太郎の人間を「J(T)」と表現するなら、おれはJ(T)になっちまったことになる。当然のことだが、体が次郎のものになってしまっているとはいっても、記憶や性格は太郎のままのおれは、自分が太郎であることになんの疑いも抱いていない。
↓次郎の記憶を太郎(身体は次郎)に植え付けると話すブラック・ジャック先生。怖いです。
「私がきみに植え付ける記憶はじつは模造されたものではなく、ある実在の人物のものだ。きみは、記憶だけでなく、性格もその実在の人物のものとなるわけだ。もう気づいただろうが、その実在の人物とは、もちろん次郎だ。わかったか?この手術によって、きみたち二人はまったく元どおりになるのだ」
↓太郎(身体は次郎)の恐怖心と混乱がおいしいです。
不安がる太郎(身体は次郎)にブラック・ジャック先生は、次郎(身体は太郎)も同時進行で助手が太郎の記憶を植え付ける手術をするから問題ないと言います。
おれが激痛を感じながら次郎の記憶と性格を持たされてしまえば、おれの体はもともと次郎のものなのだから、このおれはJ(J)になっちまう。「そうしたら、おれは次郎になっちまうじゃないか。おれはどこにいっちまうんだ?」
太郎(身体は次郎)は、もし次郎(身体は太郎)の手術が先に終わっていたら、「太郎(身体は次郎)と太郎(身体は太郎)」が同時に存在することになり、今手術を受けている自分は一体…と考えるシーンでおしまいです。
入れ替わりについて至極真面目に議論している学生たちがシュールでした。
魂のいれかわり
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『魂のいれかわり』 著者:神坂次郎 | 性格の違う同名の男性が入れ替わる。 | 新潮社 新潮文庫 『千人斬り』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
熊野に住むまじめだが気の弱い百姓・弥七郎は、病気になってから記憶を失い、別人のようになってしまった。
一方、近江に住む酒好きで乱暴者の木地師・弥七郎も、眠りから覚めると別人のようになっていた。
二人は入れ替わってしまったようですが、入れ替わったことを理解していないのか、周囲の人が振り回される感じですね。
二人は入れ替わったまま、元に戻らなかったようです。
ボトリンコーラ
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ボトリンコーラ』 著者:森野 樹 | コーラのペットボトルに閉じ込められた人々が集団入れ替わりする。 | 講談社 講談社BOX 『転転転校生生生』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
高校生の三崎は、一緒に勉強していた田畑の頭をコーラのペットボトルの底でふざけて叩いたら、田畑を気絶させてしまった。
目覚める気配がないので慌てて救急車を呼び、説明しようとして同じことをすると次々と人が倒れてしまう。
最後に落としたコーラを少年が拾って蓋を開けると、中に閉じ込められていた人物がバラバラに入れ替わってしまった。
同級生の田畑、隣人のお兄さん、救急車で駆け付けた救急隊員2名(大嶋と名前不明)、警察の富樫、そして最後に三崎自身もコーラのペットボトルの中へ…
ペットボトルの中に閉じ込められる描写もありました。
少年が落としたペットボトルを拾い、蓋を開けたらスパークリングが弾けて魂がそれぞれの肉体の元へ戻った…と思いきや、6人がバラバラに入れ替わってしまいます。
↓三崎は富樫の身体に入り、警察の立場を使って元に戻る方法を探るべく動きますが、焦りすぎて醜態を晒します(笑)
警官は、俺を見て富樫さんと呼んでいる。映った顔は、俺の顔ではなく富樫さんだ。
(中略)
「富樫さん」
と声をかけられたけど無視して靴をはく。なにこれきつい。そうか、俺の足じゃないんだ、って思ったけど足なんて入れたら入るの精神で靴を装着して田端の部屋を出た。
謎のコーラは綾小路研究所が作ったココ・コーラだったようです。
↓途中で、コセ・コーラを使ってコンビニの金髪男性店員の頭を殴ったら、金髪女性店員に女体化させてしまいました。性格まで変わるようです。
俺は、驚いている金髪店員の頭をペットボトルで軽くぽこーん、とやってやる。
「きゃ」
金髪店員は頭をおさえた。「なにするんですか」
「あれ」
金髪男性店員は、金髪女性店員になっていた。しかも雰囲気がちがう。
持っていたコーラをよく見たら、コセ・コーラだった。まぎらわしい。
「ちょっとてんちょー、まゆ、おきゃくさんにたたかれちゃったのー」
金髪女性店員は、やっと出てきたおっさん店員のところへ、とてとて走っていった。
田畑が三崎の身体に入っている以外は、誰が誰だかはわかりません。
隣人のお兄さんの身体に入った誰かが入れ替えコーラを飲み干して、その場は大変なことに…w
入れ替えコーラは、分け合って飲むことでも入れ替え効果を発揮するようです。
順番にコーラを飲むことで中身がバラバラになりながら、何とか元に戻った…と思いきや、三崎だけはコーラを拾った少年の身体へ…
三崎も機転を利かせてギリギリで元に戻ります(笑)
君の知らない二人の秘密
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『君の知らない二人の秘密』 著者:鹿住槇 | 地味な男子高生がムードメーカーのクラスメイトと入れ替わる。 | 日本文芸社 KAREN文庫Mシリーズ 『死ぬまで純愛』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
地味で目立たない高校生・北橋恒己は、ある日助けたセミがお礼に願いを叶えてくれることになった。
明るくて憧れていたクラスメイトの春日雅治になりたいと言ったら、恒己は雅治と入れ替えられてしまう。
↓翌朝目が覚めたら、雅治の家にいた恒己(身体は雅治)。
両親が不在がちで一人で過ごすことの多い恒己(身体は雅治)は、賑やかな家庭に慣れません。
「雅治」の習慣を知らずに家族に怪しまれるシーンが好きです。
机の上に小さな鏡を見つけて、おそるおそる覗いてみた。
映ったのは、自分の顔ではなかった。それは紛れもなく、春日雅治の顔だった。
俺が憧れてやまない、整った容貌だ。
初めて来た春日の家なのに、どういうわけかどこになにがあるかわかる。
トイレがどこで、洗面所がどこで、どれが春日の歯ブラシなのかも、考える暇もなく普通に身体が動くのだ。これは、春日の身体に染みついた記憶なんだろうか。
↓恒己(身体は雅治)は急いで恒己の家に行き、雅治(身体は恒己)とご対面。
楽観的な雅治(身体は恒己)は、あまり動じていません。
仕方なく、駄目モトでチャイムを押してみると――呆気なくドアは開いて、自分が――北橋恒己が顔を覗かせた。
「お、おおっ、俺だー!」
叫んだのは、俺ではなく俺の身体のほう……つまり、彼?誰?なんだかややこしい。
↓雅治(身体は恒己)は、勝手に恒己の身体で自慰行為をしたらしい…
「んー……?そうだなー……ビックリはしたけど、べつに腹は立たねーかな。それに、お前目立たないのは確かだけど、目立たないようにしてるからなんじゃね?基本は悪くないと思うよ。コッチの感度も悪くねーし」
こっちってどっち?と聞き返す間もなく、春日は「これこれ」とパジャマのズボンに手を突っ込む。
「な――……!」
とりあえず、二人は学校へ。
恒己(身体は雅治)は、情報交換のために憧れの雅治(身体は恒己)とずっと一緒にいられて喜びます。
異性と入れ替わらなくて良かったネタが良いですね。
↓帰宅してから、恒己(身体は雅治)も好奇心から雅治の身体で自慰行為。
鏡で身体を見るシーンやお風呂イベントも意識しすぎで良かったです。
そっと、視線を落とす。
――自分以外のものに触る機会なんて、そうそうないじゃん。
また、頭の中で声がする。
春日の言うとおりだ。他人のここをしげしげと眺める機会もなければ、触ることなんてまずできないだろう。
しかも春日にとっては、単なる他人のものでしかなくても、俺にとっては憧れの――。
鏡に、春日の顔が映っていた。苦しいような、せつないような、どこかエロイ表情を浮かべた顔だ。
俺が、春日にこんな顔をさせている。
そう思うだけで、ムチャクチャ感じた。

翌日、雅治(身体は恒己)は恒己の髪の毛を切って大幅にイメチェン。
雅治(身体は恒己)は、自由に過ごせる恒己の家庭を楽しんでいる様子。
雅治(身体は恒己)は、恒己の身体で明るく振る舞い、クラスで人気者に。
恒己(身体は雅治)の方は、雅治の友達との接し方がわからず、白けさせてしまいました。
↓ピアノを弾く能力や運動神経は身体準拠なのが良かったです。
「指が……動かない」
下手だけど、下手なりにレッスンしていたつもりだ。ピアノ教室に通わなくなってからも、一人でこっそり弾くこともあった。それなのに――弾く感覚がわからなくなっている。
「ちょっといい?」
春日に促されて、ピアノの前を交替する。と、いきなり春日は『子犬のワルツ』をそらで弾いた。俺も好きで、よく弾いていた曲だ。
「……春日、ピアノ弾けたんだ?」
「いや、初めて」
手を止めて、彼は呆然と呟く。
↓恒己(身体は雅治)は雅治(身体は恒己)に告白し、雅治(身体は恒己)も恒己の身体だからか好きな気持ちがあるようです。
そして、助けたセミが死ぬと同時に入れ替わりは戻ることになっていましたが、雅治の方は入れ替わっていた時の記憶を失ってしまい…
雅治が入れ替わり時のメールの履歴を見て不思議がるところが良かったです。
「こう、ぎゅってしてやりたいとこだけど、今は見た目が俺だしな。ちょっと倒錯的」
照れたように、春日が鼻の頭を掻いた。
「けど、元に戻れたら、乾杯しようぜ。それで、お祝いのチューしよう」
「ええ!?」
急に何を言い出すのかと、俺のほうが戸惑ってしまう。
「なんていうのかな、イトーシイ感じ?今、お前の身体に入ってるからなのかな。身体にある、お前の残留思念みたいなものが、俺を後押ししてるのかもな」
美少年は32歳!?
※BLです。
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『美少年は32歳!?』 著者:水無月さらら | 高校生と成人男性がすれ違ったら入れ替わった。 | 徳間書店 キャラ文庫 『美少年は32歳!?』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
オタク高校生の山川知春と、32歳の若手投資家の天野史彦。
接点のない二人は街角ですれ違ったところ、何故か入れ替わってしまった。
高校生に戻った史彦は青春を謳歌するが、知春は大人の身体を使いこなせず…
とある国の兵器の実験で時空に歪みが生じた瞬間に、すれ違った二人が偶然入れ替わったようです。
二人とも、入れ替わった直後は身長に違和感を覚えたものの、気がつかずにその場を立ち去ります。
眼鏡やバッグなど、精神のものを持って行くのが好きですね。
その後、入れ替わりに気がついた二人は話し合い。
↓知春(身体は史彦)が史彦(身体は知春)に眼鏡を渡すシーンが良いです。
「おい、メガネを寄越せよ。近視なんだろ?」
「あ…はい」
求められるがまま、手に持っていたメガネを手渡した。
呆然と、目の前の自分――中身はもはや自分ではなくなった自分が、メガネを装着するのを眺めた。
鏡を見ているのとは微妙に違う。
(だって、僕は動いてないよ?)
勝手に動く身体……なんというか、気持ちが悪い。
ありえないことが起きていた。
(これが夢なら、早く醒めて……!)
ぺちぺちと頬を軽く叩かれた。
「おいおい、間抜けな顔つきしてんじゃねえよ。オレ様の美貌が台無しじゃねえか」
↓史彦は自信満々で強気のナルシストキャラ、知春は弱気で大人しいキャラ。
知春(身体は史彦)が史彦の身体で泣きべそをかいているのが萌えます。
ちなみに、史彦は言うまでもなくイケメンで、知春も女顔のイケメンです。
人目を引いてしまうのは無理もない――仁王立ちする偉そうな態度の少年と、項垂れて涙している大柄な男性が対峙する図なのだ。
何度かぶつかってみても元に戻れず、二人はお互いの生活を交換することに。
史彦は脱サラしてトレーダーを始めたばかりで、知春(身体は史彦)は仕事や人間関係の心配はありません。
史彦(身体は知春)は、知春として学校に行きつつ、仕事もすることになりました。

↓髭が生えたことがなく、シェーバーの使い方を知らない知春(身体は史彦)が、史彦(身体は知春)に使い方を教えてもらうシーンが好き。
知春(身体は史彦)は、史彦の身体を維持する精神力が無く、ダメにしていきます。
史彦(身体は知春)は知春ボディの性処理をしているようですが、知春(身体は史彦)は史彦のモノの凶悪さに引いて出来ませんw
「ちょっと屈めよ」
「あ、はい」
「首を少し傾けて…――チッ、人の顔はやりづれえもんだな」
「あなたの顔ですけども」
「今はお前んだろ?」
二人して試行錯誤した結果、膝立ちになった知春の背後に天野が立ち、二人羽織のような態勢で行うのがベストだと分かる。
史彦(身体は知春)は、知春の身体で青春を謳歌します。
今まで支配者タイプだった史彦は、クラス内カーストが低めな知春の生活が不本意なようで、イメチェンを開始。
上手く行くばかりではなく、不良に勝負をしかけて知春の身体がついていかずに負けたり、二股をかけようとしたら失敗して殴られたりします。

知春(身体は史彦)の方は、大人になってできることが増えたものの、生活力の無さから全て空回りして上手く行かず、早々に戻りたくなってしまいます。
元の自分の身体で醜態を晒されても面倒を見続ける史彦(身体は知春)が聖人です。
史彦はバイで恵斗と付き合っていたので、知春(身体は史彦)はデートへ行くことに…

史彦の彼氏の恵斗と、知春のオタク友達の市原に入れ替わりを信じてもらうシーンもあります。
↓史彦のことが大好きな恵斗は、中身が違うと分かっていながら知春(身体は史彦)に襲い掛かり…(フ○ラシーンはありました。)
「もともと十六のガキなんて対象じゃねえけどよ、史彦さんの外見だからなのかなぁ……オレ、お前に参ってる。めちゃめちゃにしてやりたくなるくらい」
「め、めちゃめちゃ…って?」
「怯えんなよ。大丈夫、本気でめちゃめちゃになんかすっかよ。お前、可愛いんだよ。オレの史彦さんを台無しにしやがったのに、お前…鬱陶しいが、ツボにハマる可愛さだっ」
↓史彦(身体は知春)が「このまま元に戻れなかったら…」と考えるシーンが何度かあって良かったですね。
史彦(身体は知春)は若返って暖かい家族を手に入れましたが、知春(身体は史彦)の全てを奪ったと苦悩します。
実在する入れ替わり作品が登場したり、作中で母親と息子の入れ替わりドラマが出てきたりしてその辺りも面白かったです。
「知春もオレもどうやら第二の人生らしいぜ。お前みたいに、今がいいって言えるようにならないとな」
「戻れる可能性、低いもんねぇ」
「知春には言えないが、冷静に考えて、まず戻ることはナイよな。希望は捨てないにせよ、オレは高校に通い、あいつは大人の男として暮らすしかない」
とにかく、中身が別人などという憶測は、家族の誰の頭にも浮かばなかった。別人だということを前提にして観察でもしない限り、知春が知春以外の何物かになってしまったことに気づくのは難しい。
知春のほうは家族に会えなくなったことを嘆き悲しんでいたが、哀しいかな、当の家族のほうは可愛い末っ子に会えていないのを自覚すらしていなかったのである。
元に戻らねば、確かに話の収拾はつかない。それはドラマなればこそ求められる結末だ。
(でも、ドラマじゃねえんだよな)
元には――戻れないかもしれない、たぶん。
そうだとしても、なんとか生きていけばいいと天野はわりと楽観的に考えていたが、それがいよいよ確信ともなれば、また覚悟も変わってくる。
↓孤独だった史彦(身体は知春)には運命共同体の知春(身体は史彦)という存在ができ、何もできない世間知らずだった知春(身体は史彦)も成長します。
去る者を追う気はないし、一人でも結構だが、側に誰かがいるのも悪い気分ではない。
噛み締めるように言う。
「なんたって、オレとお前は一心同体…っつか、二人揃ってやっと二つ分だからな。なんともビミョーな言い方だけどよ」
身体がお互いに入れ替わってしまい、天野は自分は一人というよりは限りなく二人なのだと認識するようになっている。
どんなに一人を懐かしんでも、もう一人にはなれない。
自分の身体を諦め、今の身体で生きていくにせよ、元の持ち主である知春の意向を訊かないわけにはいかないし、その知春が自分の身体を天野に託し、天野の身体で生きていくと決意するにはより多くの時間が必要だというのは分かっていた。
↓相思相愛になった二人が、一緒に生きていくと決意してセ○クスしたら元に戻ります。
史彦ボディが知春ボディに挿入している途中で元に戻るシチュが最高でした。
元に戻っても二人はラブラブでハッピーエンドです。
(自分の身体に欲情……?)
いやいや、これは知春だ。自分ではない。
ふと反応しかけた若い身体を意識し、それにも再び苦笑いが込み上げてきた――こっちはもはや自分の身体で、自分がコントロールすべきもの。
あべこべな僕らの恋デイズ
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『あべこべな僕らの恋デイズ』 著者:川琴ゆい華 | 男性社員が同い年の上司と入れ替わる。 | 幻冬舎 幻冬舎ルチル文庫 『あべこべな僕らの恋デイズ』 ※電子書籍版は限定おまけ付き |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
今の会社に勤めて半年の宇留島京。
ある日、飲み会で同い年の上司・由和永至と仲良くなったのだが、翌朝何故か二人は入れ替わっていた。
仕方なく、二人は一緒に暮らしつつ、お互いの仕事を交換して生活することになった。
二人は、身体の方の部屋で目覚めます。
↓とりあえず電話で連絡を取り、話し合い。
「……だ、誰……」
電話の相手になんと言っていいか分からず、間抜けな調子で問いかけてしまった。京のスマホにも由和の番号が登録されているのだから、由和のスマホからの着信だということは相手に見えているはずだ。
「そっちこそ……誰だ』
自分の声なのに、喋り方が由和だ。
「う……ちょ……マジで?俺、宇留島です、宇留島京です。……由和、さん……?」
由和は趣味で造形が美しい宇留島のことをスケッチしていたという秘密が。
京の方も、片眼だけ色覚異常を隠して働いていたという秘密が。

↓トイレイベントが意識し過ぎで好きですね。
ぶつかってみても元に戻らず困っていたら、由和の飼いインコ・たま子が喋り出し、すぐに元に戻れるものではないと告げます。
自分の身体じゃないのに尿意を覚え、用をたすことができる。他人の、それも宇留島のものに手で触れていいのかと迷い、悶え、この奇妙な状況に身震いし、さんざんもだもだしたから異様に時間がかかった。

↓仕方なく仕事を交換することになった二人は、お互いの演技指導w
お互いの情報を暗記しようと頑張るシーンが好きですね。
二人とも、元の自分の顔に向かって話すのに慣れず、鏡を使ったり、お面を被ったりします(笑)
笑顔の練習の意味を込めて「まず、堀川さんと目が合ったと想定して」と向き合ってみるも、由和はいっそう険しい顔をした。
「由和さん、ちょ……もう、いくらなんでも仏頂面すぎますって。俺の真似なんて脳みそいらないんだからちょっとは、にこっと、笑ってみてください」
(中略)
「ほら、俺が由和さんの顔で笑おうとすると、頬とか口周りがぴきぴきなりますもん。表情筋も日々使わなきゃ硬化して退化するんですよ。老化っぽく口角が下がってきますし」
「硬化、退化……老化……」
あ、い、う、え、お、と声を出しながらがちがちの顔の筋肉をほぐし、にっこりする京の傍で、由和が顰めっ面になりつつ「俺が笑ってる……き、気持ち悪い……」などと戦慄している。あんたの顔でしょうが、と言いたくなった。
「由和さんのこの顔だったらちょっと微笑むだけでかなりモテそうなのに。もったいない」
同じ職場ということもあり、二人は何とか仕事はこなせます。
電話は風邪と誤魔化したり、身体の名前で呼んだり、大変そうではありました。
漢字の変換や筆跡で訝しがられるところがお気に入り。
↓二人は都合が良いからと一緒の家で暮らすことになり、距離が縮まっていきます。
このまま元に戻れなかったら…と不安になるのが良いです。
「……ふたりで、生きていきますか」
ぽつりと、宇留島が呟いた。
「え?」
「さっきの話のつづき――もし、もとに戻らなかったら。俺も由和さんの仕事がんばるし。このままやってけるのかなって不安はあるけど、ふたりでいればなんとかなるかな、とも思うし……」
↓背を向け合ってオ○ニーするシーンが最高でした。
途中で、由和(身体は宇留島)が宇留島(身体は由和)を手○キします。
「ゆ、わ、さん……あ……俺の、裏筋と、くびれがイイから」
「え?あっ」
「最初、濡れにくくて……だから唾つけて……」
宇留島本人からヒントをいただいてしまい、素直に、乾いた先端を自身の唾液で濡らしてみた。
この後は、宇留島(身体は由和)が由和として企画に挑戦することになります。
中盤で一旦元に戻り、二人は他人の関係に逆戻り。二人は40日も入れ替わっていたらしい…
↓終盤で宇留島が、由和の気持ちを知りたいとインコのたま子に話したら、また入れ替えられてしまいます。
今度こそ相思相愛になった二人は元に戻り、ハッピーエンドでした。
「なんでまた入れ替わってんのっ?」
『まだ分かんないの~?もー、自分がお願いしたんだろ~」
「お願い?誰が?え、俺が?誰に?」
『ぼくにだよー。由和さんの気持ちが分かんない、知りたい、入れ替わったら分かるのかな~って』
今回は、小説の男同士入れ替わり回を10作品紹介しました。
読んでいただいてありがとうございました!

