女同士入れ替わり

小説の女同士入れ替わり②【10作品】

女同士入れ替わり2

今回は、小説の女同士入れ替わりを10作品紹介していきます。

 

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魔女の家 エレンの日記

※この項目には物語に関する重大なネタバレが含まれています

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『魔女の家 エレンの日記』
著者:ふみー
病気の魔女が女の子と身体を入れ替える。 エンターブレイン
『魔女の家 エレンの日記』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

 

森の奥の館に一人で住んでいる魔女エレンの元に、少女ヴィオラが訪れた。

ヴィオラは病気のエレンに同情し、友達としてエレンの世話をするようになった。

ある日、ヴィオラはエレンから「一日だけ身体を貸してほしい」と頼まれ、断れずに了承してしまう。

 

第1~3章はエレンの過去話で、病気のエレンが両親に愛されずに育つ→両親を○害→悪魔の黒猫に魔女にしてもらう→健康な身体を手に入れる魔法を教えてもらうために○人を続ける…という内容です。

↓冒頭の記述からこの過去話も、ヴィオラ(身体はエレン)がエレンの日記を読み、身体に残っているエレンの記憶を思い出す形になっています。

それは、私の日記。
私のすべてが記されている、赤い表紙の本。私は、まるで昨日の出来事のように、すべてを思い出すことができる。
私は、書いたこともない、その日記の書き出しを知っている。

 

第4章はエレンがヴィオラの身体に狙いを定める内容です。

ヴィオラ視点でのエレンが書かれており、ヴィオラの心情描写が非常に良いです。

 

↓エレンは優しい性格のヴィオラの同情を誘うように、計算して接します。

ヴィオラは身の上を詳しく語らないエレンのことを勝手に誤解していきます。

ちなみに、エレンは数百年生きても身体は7歳のまま、ヴィオラは13歳のようです。

「おねえちゃん……だあれ?」
女の子は、鈴を振るような声で、けれど、少しかすれた声でつぶやいた。

「私のこと、怖くないの?」
「怖くないよ」
私はとっさにそう答えて、けれど、言葉の終わりは震えていた。
彼女の皮膚は、包帯で隠れているとはいえ、覆いきれない赤黒い皮膚から、その内側の色が容易に想像できた。彼女が、普通の状態じゃないことは明らかだった。でも、目の前に力なく横たわっているのは、ただの女の子だ。気味が悪いと顔をそむけるのは、簡単だった。でもそれは、とても可哀想なことだと思った。
私は、自分の言葉が真実だと証明するために、床にひざをついて、彼女と同じ目線になった。

 

↓愛されて育ってきたヴィオラは、知らず知らずのうちに何度もエレンの地雷を踏んでしまいます(笑)

もちろん、エレンはヴィオラに対して嫉妬や憎悪を募らせていきます。

彼女のリボンやワンピースを見る。うらやましくなるぐらい、上等な生地だと思った。この子は、ずいぶん愛されているんだわ。そのときの私は、そう思いこんだ。子どもにかけるお金の量は、愛情の量と同じだと思っていたから。

「だって、こんな大きな家で暮らせるようにしてくれてるんだもの。たくさんお金がいるでしょ。お医者さんもやとってるし。お薬代もいるわ。エレンちゃんのために、お仕事してるから、なかなか会えないのよ」
「ふうん……」
エレンは視線を落とし、考えている風だった。
包帯の巻かれた指先をこすり合わせて、つぶやいた。
「……お仕事するのって、私のためなのかなあ?」
「そうよ」
もう一押しだ。
「エレンちゃんのためよ。私のお父さんも、お仕事でしょっちゅう帰りが遅くなるもの」

「そんなこと、ないわ。死ぬのが嬉しいなんて……あるわけないじゃない。エレンちゃんのお父さんもお母さんも、私は、よく、知らないけど……、自分の子どもが死んで、嬉しいことなんて、あるわけないじゃない。……死んでほしくないから、生きていて欲しいから……、だから、ここで、病気を治そうとしてるんじゃない。ここで、元気になれるように、家を用意してくれてるんじゃない」
(中略)
胸全体にじわじわと、いやな気持ちが広がっていくようだった。
そんな私の気持ちを察したのか、彼女は私の様子をうかがうように、うわめづかいで言った。
「……ヴィオラちゃんのお父さんも、悪くないよ。だって、私、こんな病気だもん。みんな、怖いよ。うつるかもしれないって思う。……私だって、こんな子いたら、一緒にいたくない。近くに、置いておきたくない。……隠しておきたいって思うよ」

 

↓二人が偽の友情を築いていくのが最高です。抱き締め合っていて百合っぽさを感じます。

ヴィオラの心情が不穏でドキドキしますね。

「ヴィオラちゃん、大好き」
その言葉は、耳ではなく、骨の振動で伝わってきて、身体の芯にびりびりと届いた。私は目頭を熱くさせて、答える代わりに、彼女の肩を抱きしめた。
なんて、素直な子。
私も、エレンちゃんが大好き。
でも、直接口に出せなかったのは、なんでだろう。恥ずかしいと思ったのかな。それとも、お父さんのことが、まだ、気がかりだったんだろうか。

そして、私は、私たちだけが、真実だと思った。
身を寄せあって震えている。お互いを想って泣いている。椅子とベッドが二人をつなぐこの空間が、決して侵されることのない、私とエレンの聖域だと。

 

エレンに洗脳されたヴィオラは、父親を信じることができなくなり、病気のエレンを気持ち悪いと思う自身の感情も見て見ぬふり…

優しいヴィオラの感情がかき乱されていく描写が堪りません。

ついに、エレンに対して「代わってあげたい」と言ったら、入れ替えられてしまったというわけです。

 

第5章は入れ替わり直後の話。入れ替わり的に一番おいしいのがここだと思います。

またエレン視点に戻り、ヴィオラの身体を手に入れたエレンの歓喜と、エレンに身体を奪われたヴィオラの絶望が書かれます。

 

↓エレン(身体はヴィオラ)は、念願のどこも痛みがなく健康体のヴィオラの身体を手に入れて非常に喜びます。

――間違いない。ヴィオラちゃんの身体だ。
魔法は成功した。
頬がみるみる熱を持っていくのがわかる。両手で頬をはさんで、叫ぶ。
「わあ!ありがとう!ヴィオラちゃん!私、ほら!ヴィオラちゃんの身体になったよ!」

「ああっ、――う、あああああああああ」
「ねえねえ。ヴィオラちゃん。見て見て!ほら、私だよ。ヴィオラちゃんの身体の中に、私がいるの。わあ、すごいなあ。痛くない身体って、こんなに軽いんだね」
私は椅子から立って、スカートをふわりと一回転してみせる。

 

エレンは入れ替わる前に、目をくりぬいて足を切断しておいたため、ヴィオラ(身体はエレン)に激痛が襲います。

エレン(身体はヴィオラ)は、痛みにのたうち回るヴィオラ(身体はエレン)を面白がり、「私の悲鳴は聞きたくない」という理由で喉も焼き切らせてしまいました。

必要以上の拷問シーンで結構キツめです。

ヴィオラちゃんはシーツをつかんで、必死に痛みに耐えている。ああ。その姿。とても滑稽で、愛おしい。
そのうちに、焦るような衣擦れの音が聞こえてきた。
何かに気づいたらしい。
「え、エレンちゃん、あ……、足、足が……」
「え、なあに?」

コップの中身が床にぶちまかれるのと同時――
「あはははははっはっは!!飲んだ、飲んだ、あはははははははははは!!」
私はおかしくてたまらないという風に、叫んだ。
ヴィオラちゃんは、舌を前に突き出して、両手で喉を押さえていた。はあっ、はあっ、とかすれた息を吐きながら、震えている。
何がおきたのかわからないようだった。目に巻かれた包帯の隙間から、じんわりと血がにじんでいる。
私はひとしきり笑ったあと、目じりの涙をぬぐいながら言った。
「……あはは、それねえ、喉を焼く薬なの」
ヴィオラちゃんは身体ごと私のほうを見た。
なんで?そう訴えているような気がした。
だから私は答えてあげる。
「……だってね?私の叫び声なんて、聞きたくなかったんだもん」
「……、……」
ヴィオラちゃんはまだ必死に喉を押さえていた。
叫ばなくなって静かになったけど、息づかいが荒い。
まるで野生の獣みたい。
私はヴィオラちゃんを少し冷めた目で見た。

"変な生き物"。
私はかつて自分の身体だったものを、そう思った。

 

↓「一日だけ身体を貸す」という約束を忘れて「返して」と言うヴィオラ(身体はエレン)に対し、エレン(身体はヴィオラ)は「約束を破るならこちらも返さない」と返します。

「ぁ……、ぇ……、……、ェ…………」
――かえして。
おそらく、彼女はそう言っていた。
それを聞いたとき、眉間に、つうんと何かがこみあげた。
ああ。私はその言葉をずっと待っていたような気がする。
ずっと聞きたかったような気がする。
私はとても意地悪な気分になって、たずねてみた。
「……返して?一日、貸してくれるんじゃなかったの?」
(中略)
そして、裏切られた悲しい気持ちを打ち明けるように、ゆっくりと、丁寧に、息を吹き込むようにささやいた。
「……ひどいよ、ヴィオラちゃん。ヴィオラちゃんがそんなこと言うなら、私だって、返さないよ。……ずっとずっと、この身体、借りてあげるよ」
(中略)
「そんなに大事なら、手放さなきゃいいのに!!アッハハッハハッハッハッハッハッハハハハハハハハハハハハハハッハッハハッハッハッひぃーーーひひひひひいはははははひひははああははははははあはははは!!」

 

ヴィオラ(身体はエレン)を部屋に放置して外に出たエレン(身体はヴィオラ)が喜ぶシーンが好きですね。

↓セルフハグとセルフキスがエッチです。

まぶたを閉じて、この身体に残る記憶を見る。
すべてがわかる。愛される未来。愛する未来。この身体の先にあるもの。すべてが、手に取るようにわかる。私は手に入れたの。――愛おしい身体を。
私は自分自身を抱きしめるように肩を抱いた。自分に口付けがしたい。その衝動は左肩への口付けになった。

 

終章はエレン(身体はヴィオラ)が部屋を立ち去った後、視点がヴィオラ(身体はエレン)に戻り、後悔する様子が書かれます。

↓ヴィオラ(身体はエレン)はエレンの記憶を読んで気分が悪くなります。

こうして冷たい床に這いつくばっていると、ずっと昔から、ここにいるような気がしてくる。
そんなはずはないのに。私はヴィオラなのに。
でも、今の私はエレン。数百年も、この家で生きてきた魔女。
この身体は彼女のことを覚えていて、嫌がる私に面白がって、彼女の記憶を見せようとしてくる。
彼女は、数え切れないほどの悪意を抱えていた。
理解しようとすると吐き気がした。

 

↓優しいヴィオラ(身体はエレン)は惨い目に遭っても、ヴィオラの身体を強く求めたエレンのことを思いやり、エレンが幸せに生きてくれればいいと希望を持ちますが…

彼女は、私――ヴィオラの身体を求めていた。
彼女の私を求める思いは強く、記憶の残滓しか残されていない身体でも、強烈な光を放っていて、飲みこまれそうなぐらいだった。
彼女の思いは痛いほど伝わってきて、私の胸はせつなくなった。
十三年間生きてきて、これほどまでに求められることはなかったから。
私は、このままでもいいかと思い始めていた。
このまま、彼女の代わりに死んでもいいと。
私が犠牲になることで、ようやく彼女の望みは叶うのだから。
私の代わりに、生きてくれればいい。
お父さんと幸せに、暮らしてくれればいい。
そう思うと、安らかな気持ちで、死を迎えられるような気がした。
このとき、私は本当の意味で、彼女に同情することができたように思えた。

魔女の家 エレンの日記

↓ヴィオラ(身体はエレン)が安らかに死ねるはずはなく、歪んだ愛情を受けたいエレン(身体はヴィオラ)が、ヴィオラの身体でヴィオラの父親に危害を加えると悟ったヴィオラ(身体はエレン)は発狂。

ヴィオラ(身体はエレン)はエレンの身体にわずかに残っていた魔力を使い、エレン(身体はヴィオラ)を森の中に閉じ込めます。

私の身体になったエレンは、その緑色の瞳を、父に向けてほほえんだ。
――その笑みを見たとき、
私はすべてを知った。
彼女は愛されることを望んでいた。
でもそれは、ゆがんだ形で彼女の心に刻みこまれていたことに。
嫌悪感、不快感が背中をのぼってきて、口の中に苦い味を広げていく。
私は声にならない悲鳴をあげた。
――いやだ。気持ち悪い。何をするのエレン。あなた、お父さんに何をするつもりなのよ。
首を振った。振り続けた。この身体が覚えているエレンの感情を、何かの間違いではないかと、振り払うように。
だけど、間違いではなかった。エレンの細胞は笑っていた。むしろ、私が理解したことを喜んでいるようだった。
――いや。違う。そんなの、愛なんかじゃない。
私は身体の芯から震えあがった。

 

森の中から出られなくなったエレン(身体はヴィオラ)が、ヴィオラ(身体はエレン)にとどめを刺すために、館の中へ戻っていくシーンでおしまいでした。

ゲームのエンディング後も暗い展開になるとわかって衝撃でした。

 

↓コミカライズ版はこちら!

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トランスファー

※この項目には作品に関するネタバレが含まれています。

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『トランスファー』
著者:中江有里
女性が幼少期に死んだ姉妹と入れ替わる。 中央公論新社
『トランスファー』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

 

30歳で派遣社員をしている大倉玉青は、父親が病死、母親が認知症で施設に入所しており、孤独な生活を送っていた。

そんな玉青は、産んでからすぐに養子に出した息子・羽流を陰から見守ることが唯一の生きる糧だった。

ある日、玉青は怪我をした病院で出会った寝たきりの少女・洋海と身体を交換することに…

 

寝たきりで一切身動きの取れない洋海は、玉青の脳内に直接語り掛けてきて、会話をすることができます。

洋海は小学校高学年~中学生くらいで、玉青が知らない玉青の妹のようです。

↓玉青は死にたい気持ちを抱えていたので、入れ替わりに了承してしまいます。

(……体を貸して)
(え?)
(少しの間でいいから、玉青の体を貸して欲しいの)
(中略)
(いいよ、この体でよければ)
(……本当に、いいの?)

 

↓健康な玉青の身体を手に入れた洋海は、喜びを噛み締めます。

また、玉青の身体に染みついている習慣は自動的に行うことができます。

鏡に知らない顔が映っていた。
「本当に、入れ替われた……」
洋海は右手で玉青の顔を触った。
(中略)
何より自分で食べられることが嬉しい。フォークで口に運んだ食べ物を咀嚼し、十分味わったのちにそれが喉元を通過し、音もなく体の奥へ送り込まれると、手足が温かくなり、体に血が廻るのを感じる。自動的に機能する体に感動すら覚える。
健康ってすごい――洋海にとって、玉青の体はどんな機械よりも精巧な器と感じられた。
医師による診察を終え、部屋に戻ってから身支度をする。自然と体が動き、軽くファンデーションを塗って化粧することができた。ブラジャーやストッキングは苦しくて違和感があったが仕方がない。全く初めての行為だったが、スムーズにこなせた。玉青の習慣は体に染みついていて、洋海が考えずとも日常の動作はこなせた。

 

↓玉青の方は、寝返りすら打てない洋海の身体に閉じ込められて、日が経つにつれて後悔が大きくなっていきます。

看護師の声が自分を呼ぶのが聞こえた気がした。目を開こうとしても瞼は重く下りたまま。起き上がろうとして、動けないことに気付く。首をひねることもできない。
昨夜のことを思い出す。そう、わたしは洋海に体を貸した――。
時間も何もわからない。光のない部屋の、さらに奥まった空間にある――これが洋海の体。

――このまま洋海が返ってこなかったら。
そんな考えがよぎる。そんなわけない。洋海がそんなこと……。

 

↓病院を退院した洋海(身体は玉青)は、玉青の記憶を読んだり、玉青の身体に残っている玉青の意識に主導権を渡したりしながら帰宅。

特に食べるのが楽しいようで、好き勝手に食べまくりますwちなみに、味覚は精神準拠でした。

洋海はここまで、玉青の体に宿った記憶に頼って行動している。何か困る度、玉青の感覚や記憶がジワジワと洋海の思考に染みて、その場にふさわしい動作を教えてくれた。
長年の生活習慣、ちょっとした会話や挨拶、大人としてのごく普通の対応、玉青の経験がすべてこの体に詰まっている。

 

洋海(身体は玉青)は、玉青本人とはあまり仲が良くなかった同僚の伊月奈央と仲良くなったり、玉青のDV彼氏・青島亮平と関わったり、認知症の母親や玉青の子供(洋海にとっては甥)に会いに行ったりします。

↓洋海(身体は玉青)は、病気のために学校にも通えず、識字能力も社会常識もありませんが、玉青の記憶のおかげで色々と何とかなります。

(これ、読み始めたの。『走れメロス』)
洋海は玉青の反応を待ったが、答えは返ってこなかった。
(父さんや母さんに本を読み聞かせてもらったことはあったけど、自分で本を読むのは初めて)
玉青の体に入れ替わってから、どんな文字もすらすらと読める。
(わたし、ちゃんと勉強したことないから、本が読めるようになるなんて思わなかった。これも玉青のおかげ)

 

↓自由を手に入れた洋海(身体は玉青)は、もちろん玉青(身体は洋海)に身体を返したがりません。

これで自分の体に戻れる、と安堵したのもつかのま、洋海はあきらかに体に戻りたくなさそうだった。
本を読み終えるまで、母さんに会うまで、それはたぶん言い訳だ。せっかく得た自由をもっと謳歌したいのだろう。
でもその気持ちはよくわかった。体に閉じ込められていると、時間の流れも感じられない。これで生きていると言えるのだろうか。

 

↓死にたがっていた玉青(身体は洋海)は、不自由な洋海の身体になって初めて生きたいと思うようになりますが…

洋海の体を通して孤独に浸るほどに、不思議とこれまでに感じたことのない気力が生まれてきた。
生きたい。
できれば羽流を取り戻したい。

 

洋海(身体は玉青)も「玉青」の厳しい現実の対処ができず、元に戻りたいと思ったため、中盤で元に戻ります。

「玉青の身体の洋海」と仲良くなった奈央が、「玉青本人」にそっけない態度で接されるのはかわいそうですねw

二人は元に戻っても、不思議な力で繋がっていて、相手に情報が伝わってしまいます。

 

洋海は元に戻ったものの、玉青の身体で自由を知ってしまったため、もう一度入れ替わりたいと思うようになります。

元に戻った玉青は、また厳しい現実に直面して生きる気力を失い、二度目の入れ替わりが発生。

入れ替わりは、貧血のような暗転と共に起こるようです。

 

↓洋海(身体は玉青)が、入れ替わった状態を「元に戻った」と言っているのが好きですね。

ここは奈央視点なので、洋海(身体は玉青)のことは「玉青」と表現されています。

「玉青さん……何かあったの」
玉青はゆっくりと息を吸うと、こう言った。
「元に、戻ったみたいです」
「元に……?」
「戻ったんです」

 

↓洋海(身体は玉青)は、もう身体を返す気がなくなってしまいます。

――今、この体にいるのはわたしなんだから。

「……入れ替われて、こうして自由になれたのは玉青のおかげ。できたらこのまま生きていたいって思うのはいけないことよね……」
元の体に戻りたくない、このまま生きたい。
できるなら玉青の人生に乗り換えたい。
入れ替わる前には受け入れていた運命を、今は心が全力で拒否している。死にたくない、もっと生きたい――。
「母さん、このまま玉青として生きちゃダメかな」
自分の声が、上の方から降りてくるように洋海は聞こえた。
「玉青は死にたがっていた……それならわたしが代わりに生きてあげる。玉青になって……だって、あの体じゃ生きていけないんだよ、わたし」

 

↓玉青(身体は洋海)は、より一層元に戻れない恐怖に怯えることに…

洋海の言葉が真実だとして、もし入れ替わったままなら、この体が死ぬとき、わたしの心も一緒に死んでしまうのではないだろうか。
そして洋海の心は、わたしの体とともに生き続ける――。
考えるうちに、また呼吸が苦しくなる。
もし……そうなったとしても、きっと誰にも気づかない。
わたしの姿をした洋海がいれば、わたしが死んでも気づかれるわけがない。

 

そして、実は既に十数年前に「洋海」は死んでいて、洋海が姉で玉青が妹だと判明。

「洋海」は、病院の一室という名のタイムカプセルにいる状態のようです。

 

↓洋海(身体は玉青)は、玉青の身体で過ごすうちに、精神準拠の味覚から身体準拠の味覚に変わっていきます。

――コーヒーを飲めるなんて、大人になったみたい。
洋海は青島に気付かれぬよう、口元だけで笑った。
もしかして、味覚が変わったのだろうか……自分でも気づかない変化が起こっている。玉青の体にいる時間が長くなるほど、玉青の感覚に近づいていくのかもしれない。もしそうなら、このまま玉青としてやっていけるかもしれない……少しだけ自信が出てきた。

 

↓終盤で、青島の父親の中身が病気で死んだで、元に戻れなくなっていたことがわかります。

「さっき……お店を訪ねたんです。亮平さんと」
青島の名前を言えばわかるはず――しかし反応はなかった。その代わりにこう答えた。
「……あんた、おれと同じだろう」

(わたしたちの他にもいるんだね、入れ替わった人……息子の顔を見ても気づかなかったから、青島さんショックを受けてた)
つまり青島の父と入れ替わった誰かが、今も青島の父を騙って生活している……。
(お父さんには弟がいたって聞いたことがある……お酒で体を壊して、亡くなったって)
青島の父が入れ替わったのがその弟であるなら、もうすでに――。
洋海ももうわかっているはず。入れ替わった一方が死んだら、もう一方は元の体に戻れない。

「どうして、入れ替わったんですか」
「あんたと同じ理由だよ。おれは体を壊してそのままじゃ生きられなかった。兄貴は悪い奴に騙され借金まみれになって首が回らなくなっていた。最後に息子と会った後、自分はこの世に必要がない人間だ、と泣いていたな」
そう言ってヘラヘラと笑う男に、わたしは怒りを隠さず言った。

 

「洋海」の寿命が目前に迫った日、ギリギリで元に戻ります。

↓ギリギリまで身体を返すつもりがなかった洋海(身体は玉青)にドキドキしました。

心に巣食う罪悪感を剥ぎ取りたい。もうあの部屋に、あの体には帰らない。洋海はそう決めているのに。

――玉青、これからはわたしが、あなたの人生を乗り継ぐ。

体が入れ替わることは、互いの体だけでなく、その人生も背負い込むことなのだ。

 

かわいい女のコになれるKISS

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『かわいい女のコになれるKISS』
著者:青山えりか
不細工な女の子と、クラスメイトの美少女が階段落ちで入れ替わる。 講談社
講談社X文庫
『かわいい女のコになれるKISS』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

かわいい女のコになれるKISS1

ルックスに自信がない水沢鈴奈は、美少女で高飛車な如月麗奈に馬鹿にされてばかり。

正反対の二人はある日、階段から落ちたショックで入れ替わってしまう。

男性からモテモテの麗奈の身体を手に入れた鈴奈は、片思いしている伊島に近づくが…

かわいい女のコになれるKISS2

二人は高校一年生です。

麗奈は鈴奈を馬鹿にしていますが、鈴奈も男女で態度を変える麗奈のことを良く思っていません。

↓鈴奈の身体を嫌がる麗奈が良いですね。鈴奈は麗奈の身体になれて喜びます。

「ぎゃーッ。どうなってんのよ!?なんでわたしの顔が鈴奈になってんのーッ!?」
もうひとりの『わたし』も鏡をのぞきこんで、絶叫した。
ううん。
『わたし』じゃない。『わたし』の顔をした麗奈ちゃんだ。
まさか体が逆になってるんじゃ……。

「ねえ。もしかして……。わたしたちの魂だけ、いれかわったんじゃ……ない?」
「えええーッ」
「さっきぶつかって気絶したときに……」
「やっだーッ!!そんなの、いやあああ!!」

「あんたのせいよ!!」
キッと麗奈ちゃんがわたしをにらんだ。
「あんたが、わたしの体を欲しがってたから、こんなことになったんだわ」
「……そんな」
「そりゃあんたはいいわよね。きれいになれるんだから。だけど、わたしはどうなるの!?なんでブスになんなくっちゃいけないのよ!!」
がくがく。
麗奈ちゃんに肩をつかまれて、ゆさぶられた。
「鈴奈。わたしの体を返してよーーッ」

 

天才少年の栗本くんに入れ替わりがバレて面白がられてしまいます。

栗本くんは、二人が元に戻る方法を探してくれることになりました。

元に戻るまで、二人はお互いのフリをして過ごすことに…

かわいい女のコになれるKISS4

しかし二人とも演技が下手で、急に優等生になった麗奈(中身は鈴奈)と、急に運動が得意になった鈴奈(中身は麗奈)に周囲は騒然w

↓女子更衣室で着替えるシーンが好きですね。

今朝わたしが着てきたボタンダウンのシャツのボタンを、麗奈ちゃんがプツプツとはずして脱ぎだした。
恥ずかしいな、ひとに裸を見られるなんて。
(中略)
体操服の白いTシャツとブルーマーに着かえて、ふとロッカー室の鏡に目がいった。
うっわあ。
ナイス・バディ!!
きゃしゃでスリムな体。
足はすんなりと伸びていて、ウエストはキュッとくびれてる。
まるでグラビア美少女のようなすがたが映っていたんだ。

 

鈴奈(身体は麗奈)は、容姿抜群で注目を集める麗奈の身体を気に入り、自信を持ちます。

↓麗奈(身体は鈴奈)は、昨日まで言い寄ってきた男性達が見向きもしなくなり、当然怒りますw

「なによっ。あいつら、きのうまでわたしに夢中だったくせにーッ!!」
どん!!
麗奈ちゃんがテーブルを叩いて憤慨した。
(中略)
あーあ。ムリもないかな。
きのうまでモテまくってた麗奈ちゃんが、たんなるフツーのひとになって。
昨日まで一般人だったわたしが、とつぜんモテモテなんて。
まるっきり立場が逆転だよね。

 

鈴奈(身体は麗奈)は、片思いしている伊島くんに麗奈の身体で近づきます。

↓しかし、お約束通り伊島くんは容姿で判断するような男の子ではなく、そっけない態度を取られてしまいます。

平静をよそおって、わたしはにこっとほほえんだの。
「こ、こんにちは」
ふるえる声であいさつすると、伊島くんが「おう」とかなんとかボソリといった。
あれ?
意外とそっけないかんじ。無愛想なんだな。

 

二人は家庭環境も違い、一般家庭の鈴奈に対し、麗奈はお金持ちのようです。

麗奈の家に帰った鈴奈(身体は麗奈)ですが、麗奈の両親は帰ってこず、夕食はレンチン…

麗奈の弟はかなりの我儘。でも入れ替わりを見抜き、麗奈本人よりも優しい鈴奈に懐きます(笑)

 

入れ替わり生活を送るうちに、二人とも入れ替わり状態の方が評判が上がってしまいます。

周囲からは、麗奈(中身は鈴奈)は優しくなった、鈴奈(中身は麗奈)は明るくなったという評価のようです。

↓鈴奈(身体は麗奈)は、元に戻りたくなくなってしまいます。

ハッキリいって、わたしは今のままでいいな。
鈴奈だったときは、やりたいことがあっても「どうせわたしなんか」ってあきらめてばかりだったもん。
いいたいことだってガマンしてた。
でも、今はちがう。
男のコにはちやほやされるし、街を歩いていても視線をかんじるし。
どんな服だって着こなせる。
自信があるから、好きなひとにだって今ならどうどうとあいさつできるの。
女のコってふしぎだよね。
きれいになっただけで勇気がわいてくるんだもん。
わたし。
今のわたしが好き。
かわいい女のコになれたわたしが好き。

かわいい女のコになれるKISS3

↓麗奈(身体は鈴奈)は、鈴奈の身体でイメチェンしてかわいくなります。

元の自分がかわいくなった姿を見て、鈴奈(身体は麗奈)は元の自分に自信を持てるようになりました。

鈴奈(身体は麗奈)は、高飛車に見えた麗奈も、色々思いがあったのではないかと考えます。

麗奈(身体は鈴奈)の方も、自分の高飛車な性格を内省したようです。

わたしは麗奈ちゃんがくるのに気がついて手をふったの。
あれ。いっしゅん見まちがえたかと思った。
かわいい!!
ふしぎなことに『水沢鈴奈』がかわいくなってる。
ヘアを切ったんだ?
前髪はワンスライスだけカールさせて額にかけていて、あとはきれいにブローして横にながしてる。
いつもパッチンどめでまとめてた髪も、ゆるくカールしてなびいてる。
(中略)
「髪を切ったの?」
「だって鈴奈のヘアスタイルって、うっとーしいんだもん。へたに顔をかくさないで出しちゃったほうがスッキリしてみえるじゃない」

たしかにそのとおりなの。
ずっとスッキリしているし、表情が明るくはえる。
おまけにスカートも短くなってるし、足もともくしゅくしゅソックスをはいてる。

「やせた?」
「ひきしまったかもね。エクササイズしてるし」
(中略)
自分では気がつかなかった。
わたしにも、こんな魅力があるんだってこと。
自分では、わたしなんてなにやってもにあわないってイジけてたもん。
麗奈ちゃん、他人なのに、こんなに『鈴奈』の魅力をひきだせるなんて。
恥ずかしいな。
本人のわたしがちっとも気づかなかったのに……。

 

そして、伊島くんは麗奈の身体に入っている鈴奈と仲を深めていき、二人はカップルに。

鈴奈(身体は麗奈)が伊島くんに元の自分のあだ名を呼ばせるところが好きですね。

麗奈自身は別の先輩と付き合っていて、振った形になってしまっておりヤバいですw

鈴奈(身体は麗奈)は伊島くんと仲良くなって喜びますが、麗奈(身体は鈴奈)と喧嘩をした際に、「伊島くんが仲良くしてくれるのは麗奈のルックスのおかげだ」と言われ、自信が無くなってしまい…

 

入れ替わった時のように臨死体験をすれば元に戻れるということで、二人は栗本くんに連れられて遊園地のVRアトラクションへ。

元の鈴奈に戻ったら、伊島くんに嫌われるかもと考えるのが良いですね。

無事に元に戻り、伊島くんは鈴奈の癖から鈴奈を見つけてくれ、ハッピーエンドでした。

 

金色のロンド

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『金色のロンド』
著者:花井愛子
女の子が木の精霊に入れ替えられる。 講談社
講談社X文庫
『金色のロンド』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

金色のロンド1

中学三年生の杉村麻由は、近所の銀杏公園で見かけた織形敬二に一目惚れ。

しかし、話しかける勇気が出ない麻由に、公園の銀杏の精霊・ヨウコが話しかけてきた。

ヨウコは麻由の代わりに敬二と恋人になると言って、麻由の身体を乗っ取ってしまう。

 

ヨウコも、敬二のことが好きなようです。

まずは、ヨウコが麻由と精神同居して、麻由の身体の主導権を握ります。

↓かなり強引に麻由の身体を乗っ取るヨウコが最高ですねw

入れ替わりのエピソードは、麻由が親友の祥子に過去話をしているという形で語られます。

「あなたになれば、あたしは敬二さんの恋人になれるわ。あなただって、あのヒトのこと、決してキライではないのでしょう?お願い、麻由ちゃんの人間のカラダを、あたしに貸してちょうだい!!」

 

↓もちろん、麻由はただ自分の身体が勝手にヨウコに動かされているのをただ眺めるしかありません。

ヨウコが麻由の身体で敬二と仲良くする姿を見て、麻由は感心してしまいます。

私、話しかけてもらったときの失礼な態度を思い出して、あらためて照れてしまって、その場を離れようと思ったんだ。
なのに!
私は、敬二さんに向かって駆けだしているっ!?
「さっきは、ごめんなさーい」
大きな声で言いながら、手をヒラヒラと振りながら。
――ヨウコさん!?
私の体が、私の自由にならない。
私の体を、コントロールしているのは、ヨウコさん!?
ヨウコさんが、私の中にいるっっっっ!!
――ヨウコさん、ヨウコさん、やめてよおっ。
私、意識で必死に訴えてみた。
ヨウコさんの返事は、当然かもしんないけど、ナシ。

 

↓ヨウコは、勝手に麻由の身体で敬二とキス(額ですが)。

ミョーな状況だった。
私の気持ちは”NO”なのに。
ヨウコさんは”YES”で。
私は、避けたかった男のコの唇の感触を鮮やかに覚えてる……、なんて……。

 

↓人間ボディを気に入ってしまったヨウコは、麻由の身体から出て行ってくれなくなり、不要となった麻由の精神はヨウコの銀杏の木ボディに飛ばされてしまいました。

ヨウコが極めて一方的で好きです(笑)

――人間の姿で、織形さんと会えて、おしゃべりできて、ヨウコさんも気がすんだでしょう?そろそろ体、返してよ。
――イヤ。
――ええっ!?
――人間って、おもしろいわ。楽しいわ。想像していた以上にステキだわ。
――ヨウコさんっっっっ!!
――あたし、麻由ちゃんよりも有効に、この体を使ってあげられると思うの。
――出てってくれないつもり!?
――ええ。それでね、麻由ちゃんには、ほんとうに悪いなあ、とは思うんだけれど、麻由ちゃん、銀杏のほうへ行ってね。
(中略)
――麻由ちゃん、受験タイヘンなんでしょ。あたし、かわってあげる。
――ヨウコさん!!そりゃ私、毎日ハードでつらいなあ、て考えてはいたけど、銀杏の木になりたいなんて願ったことは、いちどもナイ……。
――じゃあ、あたしにあっちゃったのが身の不運だと、あきらめてちょうだい。さようなら、麻由ちゃん!

金色のロンド2

↓銀杏の木に入れられた麻由の描写が珍しくて良かったです。

麻由(身体はヨウコ)は、隣の銀杏の木の男の子・ミキに協力してもらって、ヨウコ(身体は麻由)を説得することに。

――え……?
どうすることもできないで、私は、銀杏になっている”私”を、自覚していた。
腕、と思えるのは、枝なのだろう。
風に上下左右、揺られている。
指、と思えるのは、梢なのだろう。
雀がチョンチョンと渡って行く順に、しなっては戻っている。
足は、そう、海へ行って、冗談で砂に埋めて遊んだときのように重くて動かせない。
――根づいているんだわ、大地に。
私は、木になってしまったことを、ひとつひとつ確かめていた。
髪の1本ずつが、葉1枚に変わってしまった感じだ。

 

ヨウコの力を使って、木ボディから人間ボディに変身する麻由(身体はヨウコ)のシーンが良かったです。

上手に変身できずに裸になってしまうところや、ヨウコに片思いしているミキをからかうところが最高でした。

↓後は、麻由(身体はヨウコ)が麻由の母親と絡むシーンが好きです。

「え、えーと……。それで、麻由さんは、どちらへ?」
私は、私の行き先を、私のママに尋ねてる。
――ミョーだよなあ。

金色のロンド3

↓ヨウコ(身体は麻由)を説得するために、敬二の目の前で「麻由」を悪く言う麻由(身体はヨウコ)はなかなか勇気がありましたw

麻由(身体はヨウコ)の頑張りにより、無事に元に戻ります。

元に戻った麻由は精神的に成長し、敬二と結ばれてハッピーエンドでした。

「麻由ちゃんって、ホントに噂どおりのウソつきのプレイ・ガールねえ」
「なんですって!?」
私のヨウコさんは、あせる。
(中略)
「教えてあげるわね。この杉村麻由ってコ、おとなしそうにしてるけど、とんでもない遊び人なんだから!ついこのあいだ、私のつきあってたミキくんにちょっかい出して、私から取ってっちゃって、すぐにあきてポイ、よ。ミキくんは本気だったのに。ひどいでしょう?それで私、ひとこと麻由にモンク言ってやろうと思って声かけたら、すごいわよねえ。もう新しいカレとベタベタしちゃって」
(中略)
「敬二さん!違う……」
必死の目をして織形さんの腕を取ろうとしていた、私のヨウコさん……。
姿は、私で。
私の心が、ズキンと痛い。
――私……、私は。私が。杉村麻由が。織形さんに誤解された……。

 

今夜は心だけ抱いて

※この項目には物語に関するネタバレが含まれています。

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『今夜は心だけ抱いて』
著者:唯川 恵
母娘がエレベーター事故で入れ替わる。 ●朝日新聞社
『今夜は心だけ抱いて』
朝日新聞出版
朝日文庫
『今夜は心だけ抱いて』
●集英社
集英社文庫
『今夜は心だけ抱いて』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

 

浅生柊子(47歳)は、離婚した夫に頼まれて、高校3年生の娘・真丘美羽の面倒を見ることに。

12年ぶりに会った母娘は、すれ違いから険悪な雰囲気になってしまう。

話し合いの帰りにエレベーターが事故を起こし、二人は入れ替わってしまった。

 

本編は一章ごとに、柊子(身体は美羽)視点、美羽(身体は柊子)視点と交互に繰り返されていく内容になっています。

両者の心情描写がしっかり書かれていて良かったです。

 

美羽は、父親と現在の母親・真季子が不倫をしていたことを知らされておらず、娘より仕事を選んだ母親の柊子を恨んでいる感じです。

柊子は、別れ際に美羽が母親より義母を選んだトラウマが忘れられないという感じです。

 

ということで、エレベーター事故の後、病院で目が覚めたら入れ替わっていた母娘。

↓二人とも鏡を見るシーンがあります。

鏡の前で目を見開いた。自分の頬をぴたぴたと両手で叩いてみた。一度目を閉じ、ゆっくり見開いた。けれども、そこに映るのは、どう見ても美羽だった。鼻先がつくほど顔を鏡に近づけたが、紛れもなく美羽なのだった。
「どういうこと……」
「何なのよ、これ!」
その声に振り返り、驚きのあまり一歩後退った。そこに立っているのは自分ではないか。
柊子が柊子に近づいてくる。
「あなた、どうしてわたしなの。わたしがどうしてあなたなの」
その表情はひどく混乱している。
「ちょっと待って、私だって何がなんだかわからない。美羽こそ、どうして私なの。私がどうして美羽なの」
柊子も訳がわからず言い返した。

 

↓医者に話しても当然信じてもらえるはずがなく、再び頭をぶつけても元に戻れなかったため、二人はお互いのフリをして生活をすることになりました。

医者に身体に合わせた対応をされるところが興奮しますね。

母娘は声が似ているということで、携帯は精神のものを持つことに。

「きっと、エレベーターの中でお互いの頭をぶつけ合ったのが原因だと思います。目が覚めたら、こうなってたんです」
「まあまあ、お嬢さん、落ち着いて」
お嬢さん、それが自分に向けられた言葉だと気づいて、頭を抱えたくなった。この医者にも、やはり柊子が美羽に見えるのだ。
「それで、おかあさんの方はいかがですか?」
美羽は自分を指差した。
「あ、わたしですか。もちろん同じです。わたしはこの人じゃありません。この人がわたしなんです。早く何とかしてください」

 

仲を取り戻したフリをして、入れ替わった母娘は一緒に暮らします。

柊子(身体は美羽)は高校へ通いながら自宅で翻訳の仕事をする生活、美羽(身体は柊子)は家事をしながら喫茶店でバイトをする生活です。

 

↓父親に元妻扱いされる娘のシーンが好きですねw

娘として元夫と再婚相手の家庭で食事を取る妻のシーンも興奮します。

「私、やっぱり日本に残りたいの」
亮介はほっとしたように肩から力を抜き、美羽に向かって礼儀正しく頭を下げた。
「では、そういうことなので、どうか美羽をよろしく頼みます」
美羽は慌てて立ち上がり、丁寧にそれに返した。
「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

↓一人で柊子の家に戻った美羽(身体は柊子)が、柊子の下着を見るシーンもおいしいです。

他人の下着に抵抗感を覚えるところが最高です。

「ふうん、これがあの人の勝負下着ってわけ」
柊子は年の割には若く見える方だと思うが、四十七という年になっても男の人とそういうことをするのだろうか。
美羽には想像しかねた。想像したくないという気持ちもあった。
結局、選んだのは花柄の上下だ。ベージュのおばさん臭い下着なんてつけたくもない。他人の下着を身につけるのに抵抗がないわけではなかったが、この身体は柊子のものなのだから仕方ない。

 

↓美羽(身体は柊子)が柊子の身体を観察するシーンがあります。

自分を産んだ身体になるなんて…という描写が良いです。

いきなり30歳も歳を取ってしまった美羽(身体は柊子)は、少なからずショックなようです。

ふと、脱衣所の鏡に映る姿が目に入った。
これがあの人の身体……。
美羽は見入った。身長も体重も美羽と同じくらいに見えたが、それは服を着ている時の感覚で、裸になってみると体型の違いがよくわかる。
美羽は乳房に両手を当てた。自分よりかは大きいが、位置として三センチは下だろう。乳首も一回り大きく、色も濃い。その下に視線を滑らせると、お腹から腰にかけて、指でつまめるぐらいの柔らかな贅肉がついている。下腹はゆるいカーブを描いていて、上から見ると恥毛が半分ほど隠れてしまう。このお腹の真ん中にあるうっすら残る線は何だろう。妊娠線、という言葉を聞いたことがあるが、それだろうか。自分がかつてこの中に入っていたのか、と思うと、何だか気味が悪くなった。
とにかく、服や化粧で若く見せてはいるが、やはりあの人もおばさんには違いないわけだ。そんな体に、十七歳の自分がなってしまったと考えると、また気が滅入ってゆく。美羽は目を逸らすかのように、慌てて身体にバスタオルを巻きつけた。

 

美羽(身体は柊子)が柊子の身体のせいで、海外へ旅立つ家族の、特に母親にお別れを言えないのがすごくかわいそうで興奮しました。

柊子(身体は美羽)の方は、若くなった身体でオシャレをしたい、ナンパについて行きたいとウキウキですがw

 

↓食べ物を受け付ける体質ネタや、見た目年齢&化粧ネタ、飲み物の好みの変化を周囲に指摘されるネタなどが良かったです。

婦人科系の病気で生理が重い柊子ボディに入ってしまった美羽がとてもかわいそうです。

逆に柊子は生理の軽い美羽ボディになってかなり得をしています。

他にも色々とおいしいシーンがありますが、書き切れません。

柊子の言葉など無視して、美羽は好物のから揚げを頬張った。柊子がため息をつきながら、冷蔵庫から海苔の佃煮を持って来た。それを横目に美羽はふたつめのから揚げに箸を伸ばしたが、ふと油の匂いが鼻につき、皿に戻した。
「あら、どうしたの?」
「何だか、おいしくない」
柊子はしたり顔で頷いた。
「やっぱり体質はそのままなのね。こういうものはもう受け付けない身体になっているの。ということは、逆に私はおいしく食べられるわけだ」
今度は柊子がそれを口にする。
「あら、おいしい。びっくり」
結局、美羽が海苔の佃煮で食事を終えることになった。

 

この後は、美羽(身体は柊子)はアルバイト先の喫茶店の店長・深尾征夫と仲を深めたり、バイト先の男子高生・元宮透と仲良くなってデートしたり…

↓美羽(身体は柊子)が柊子として自己紹介をするシーンが好きです。

「そう言えば、まだお名前を伺っていませんでしたね。僕は深尾と言います」
「浅生柊子です」
その名前を口にするのは初めてで、不思議な気分になった。ただ意外にも、名前にはそのもの自体に存在感があるらしく、美羽は今、自分が「柊子」であるということを強く自覚した。

 

↓入れ替わり生活が続くにつれて、思考回路がおばさん化していく美羽(身体は柊子)が最高です。

美羽(身体は柊子)は、女子高生から中年女性になるまでの苦労を想像したら、元に戻らなくてもいいやと思うようになります。

気がついたら、透のことを「可愛い」と思っている自分に、美羽は驚いた。
以前は、かっこいいとか、クールとか、大人っぽいというイメージだったはずである。実際、美羽や比呂子の前でも、透はそう振る舞っていたように思う。けれども、柊子の姿になった美羽に対しては、無邪気やナイーブや子供っぽい態度で接してくる。
最初はそんな透に戸惑ったが、不思議なもので、じきに慣れてしまった。今では、透をからかうようなことも言える。

いろいろあっても、結局この年に行き着くのなら、三十年分カットして、このまま柊子になってしまってもいいような気になってくる。

 

人生の経験値を積んだ柊子(身体は美羽)は、痴漢を撃退したり、「柊子」の不倫相手の吉岡保(39歳)と美羽のフリして会いに行ったり、美羽の彼氏?の橋井章吾とデートをして上手くいかなかったり、章吾を弄ぶ堀田ミチル(30歳)を説教したり…

「柊子」が吉岡におばさん扱いされていると知った柊子(身体は美羽)がかわいそうで良かったです。

結局、柊子(身体は美羽)は美羽の身体で吉岡と挿入直前まで行きますが(笑)

 

↓年齢差のある親子入れ替わりのため、身体の年齢によって他人の態度が大きく変わるというシーンが非常に多くて良いです。

ちなみに、柊子(身体は美羽)が未成年高校生の美羽ボディで飲酒・喫煙を何度もしていてヤバいですw

美羽(身体は柊子)の方も、お酒に強い柊子ボディで何度も飲酒をしています。元の身体では好きでなかった飲酒が、柊子の身体になってから好きになるところが最高です。

吉岡が「美羽ちゃん」といきなり呼んだのには驚いたが、自分を「おじさん」と形容したのにはもっと驚いた。柊子の前ではいつも自分を「若造」と言っている。「柊子さんからすれば僕なんか若造だから」「僕みたいな若造と話していて退屈じゃない?」相手が変われば態度も変わるということだろう。確かに、吉岡は美羽より二回り近く上で「おじさん」という呼び名も、ふさわしくないわけではない。

それは美羽がよく知るいつもの深尾の表情と違っていて、一瞬くすぐったいような気持になった。普段、美羽など頭から子供扱いだが、向けられているのは対等な目だ。
(中略)
何となくミチルは不機嫌そうだ。知らない誰かがアルバイトに入ったのが気に入らないのだろうか。美羽の知っているミチルは、いつも華やかな笑顔を振り撒き、会話が楽しくて、輝いている。こんな不機嫌なミチルを見るのは初めてだった。
(中略)
透の方も、美羽や比呂子の前より表情が柔らかなように感じる。

 

↓娘(身体は母親)に向かって、母親の身体で行為をする許可を出す母親(身体は娘)がぶっ飛んでいて好きです(笑)

お互いに今の状況を楽しもうということで、入れ替わった両者の合意が取れているようです。

柊子(身体は美羽)は、柊子の会社の社長・須加洋平(50代半ば)と前戯だけのセ○クスまでしてしまいます。

もし美羽が、誰かとセックスすることになったら……。
そうなったとしても美羽の身体に傷が残るわけじゃない。たとえ柊子の身体に多少の支障があったとしても、今更慌てふためくような年でもない。
「いいじゃない、してみれば」
言ってから、これが娘に向かって言うようなことか、と、我ながら呆れた。

 

↓元に戻れないまま相手の身体に慣れてしまい、元の自分でいられる唯一の手段である携帯を交換するシーンが非常に刺さりました。

鏡に映る相手の顔についても、元の自分の顔と対面することにも慣れてしまった描写が最高ですね。

柊子と身体が入れ替わってしまった後も、比呂子や友人たちとは電話やメールを交換して来た。自分の携帯に来たのを柊子に転送して、返事をこちらに送ってもらい、それを美羽の言葉に直してまた返すという、面倒なことを続けて来たわけだ。どんなに煩わしくても、美羽が美羽のまま外と繋がっていられるのは、もうこの携帯電話しかなかった。
けれども、これでいいのかという思いもある。こうなってしまった自分と、こうなる前の自分。時折混乱して、気持ちの切り替えが難しくなる。
深尾についても、美羽のままで受け止めればいいのか、それとも柊子として向き合えばいいのかわからない。

「そろそろ、交換してもいいんじゃないかなって」
決して思いつきで口にしたわけではなかった。深尾から番号を渡されたこと、透のメールが届いたこと、あれからずっと考えていた。
「それでいいの?今は電話やメールだけが、本当の自分に戻れる場所なのよ」
「わかってる。でも、いろいろ不便もあるでしょう。いつもお互いのところに来たの、転送したり見せたりしないといけないし。いっそのこと、交換した方が覚悟をつけられるんじゃないかと思うの」
(中略)
ふたつの携帯電話がテーブルに並べられる。
「じゃあ、これ」
「うん」
それぞれに、相手の携帯電話を手にした。
それはまるでひとつの儀式のようだった。自分が自分でなくなる儀式。自分が誰かの人生を生きる儀式。ふたりはしばらく自分の手のひらの中のものを眺め続けた。

美羽は、向かいに座る自分の姿を眺めた。こうして自分の姿を目の当たりにするのにも、いつしかすっかり慣れてしまった。朝、洗面所で柊子になった自分の顔を見ても、もう驚かない。

 

↓この後は、若い人生を奪ってしまったと罪悪感を持つ柊子(身体は美羽)に対し、美羽(身体は柊子)の方が一足先に深尾と一緒に生きていくことを決めるという展開です。

柊子(身体は美羽)は、元に戻らない決意を固めた美羽(身体は柊子)を見て、自身は若い身体で夢を追いかけると決めます。

他にも、美羽(身体は柊子)は父親と現在の母親・真季子が不倫だったと知らされて母親の柊子への気持ちが変わったり、柊子(身体は美羽)は仲違いしていた義母が要介護状態だと知って気持ちに蹴りをつけたりします。

仕方のないこととは言え、こうして否応なしに美羽の人生が変わってゆくのを目の当たりにすると、頭を抱えたくなる。まっとうに行けば、美羽は大学に推薦入学を決め、いずれは同級生の比呂子たちと同じような生活が始まるはずだった。

「わたし、覚悟はできてるから」
美羽の声に顔を上げた。
「覚悟って?」
「わたし、あなたとして生きてゆく。決めたの」
(中略)
「わたし、結構、今を楽しんでる。自分でも不思議だけど、こうなった自分のこと、そんなに不幸に思ってるわけじゃないの。いつか辿り着くはずの自分に、近道してしまっただけって気がする。それに、この年でなかったら、深尾さんとちゃんと向き合えなかっただろうし」

 

↓柊子(身体は美羽)が深尾に美羽(身体は柊子)をお願いする場面はかなりエモいです。必見です。

「この子……いえ、この人、年は取ってるんですけど、中身はまだ子供みたいなところがあるんです。これから、いろいろ呆れたり、ご迷惑をお掛けすると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
深尾が驚いたように背筋を伸ばし、居住まいを正した。
「それは心配いらない。おかあさんとは誠実な気持ちでお付き合いさせてもらう。僕を信用して欲しい」
それから、くしゃくしゃと相好を崩した。
「何だか妙な具合だな、まるで美羽ちゃんが母親みたいだ」
隣で美羽が柔らかく笑っている。
その頭にダウンライトが当たり、目尻にはっきりシワが浮かんだ。柊子が毎日、鏡の前でため息をついたシワだ。けれども驚いたことに、それはひどく美しいもののように映った。こんな笑顔を自分はまだ持っていたのだ。柊子は胸を熱くした。

 

↓美羽(身体は柊子)と深尾のベッドシーンもあります。

色々とぼかされていますが、十分官能的でおいしいです。

深尾の唇は思いがけず強引さを孕み、見ている時と触れた時はこんなに違うのだと、美羽は不思議に思った。吐息は熱く、唾液の匂いは酒が混じり、引き寄せる腕は力強い。それらは美羽の頭の芯と足の付け根をじんと痺れさせた。
熱いものがショーツに溢れている。自分の身体に起きている変化に驚きながら、美羽ははっきりと感じ取っていた。私は確かに深尾を愛している。

 

↓美羽(身体は柊子)が密かに片思いしていた透との決別シーンが、「かつて女子高生だった美羽」との決別シーンにもなっていて、胸が熱くなりました。

美羽(身体は柊子)が、透が母親を亡くしたことが心の傷になっていると知って、母親目線で励ましてあげた場面は、何かもう色々な感情がこみ上げてきます…

もう二度と、透とこんなふうに過ごすことはないだろう。透はこれから、美羽が飛び越えてしまった三十年を生きてゆく。その間に、誰かに恋をし、誰かを愛し、誰かと結婚し、誰かと家庭を築いてゆく。それでもきっと、今日を覚えていてくれるに違いないと思えた。
「透くん、握手」
美羽は右手を差し出した。
「え?」
「お祝いと、さよならの握手」
「さよならなんて早いよ。まだしばらくは店にも出るんだし」
「わかってる。でも、握手」
透がおずおずと美羽の手を握る。透の手は若木のように瑞々しい弾力を持っている。
さよなら、透くん。
美羽は胸の中で呟いた。
さよなら、透くんを好きだった十七歳のわたし。

 

↓柊子(身体は美羽)が美羽(身体は柊子)に「柊子の通帳」を渡すシーンも良かったです。

物語の後半は戻れない入れ替わりストーリーとして、かなり熱い展開のラッシュですね。

「わたし、受け取れない」
「どうして」
「だって、あなたが働いて貯めたお金でしょう」
「私が働いたんじゃない、あなたが働いたのよ」
美羽は黙って、通帳に視線を落とした。
「私のこれからのために貯めたお金なの。だからこれは、私になったあなたのもの」
(中略)
その他にも、年金手帳やマンションの賃貸契約書や保険証書といった、引き継がなければならないものを手渡した。美羽は神妙な顔つきでそれらを手にし「頂戴します」と、呟いた。もう大人の言葉だった。

 

色々あって階段から落ちてしまった二人は、元に戻…らず、美羽(身体は柊子)が記憶喪失になってしまいました。

↓記憶のない美羽(身体は柊子)に、柊子(身体は美羽)が「お母さん」と呼ばれ、入れ替わった事実も有耶無耶になってしまうのがヤバすぎますw

柊子(身体は美羽)は、元の自分以上に母親らしい美羽(身体は柊子)にショックを受けます。

すぐに病室で対面したが、美羽は柊子のこともわからなかった。「この人は誰ですか」と、看護師に聞き「あなたのお嬢さんですよ」と言われても、ぼんやりした目を向けるだけだった。

「ほら、私たち似てるでしょう。顔の輪郭とか、目から鼻にかけてのところなんか」
美羽がわずかに笑った。
「ほんと……びっくり」
「まさに母と娘でしょう」
美羽がゆっくり頷いた。
「そうなのね。私、あなたみたいな可愛い女の子のおかあさんなのね」
その言葉に胸がちりちりした。
「そう、あなたが産んでくれたの」
「わたし、いいおかあさんだった?」
どう答えたらいいだろう。自分をいい母親だったなどと言えるはずもない。娘のことなんかずっと忘れていた。ひとりになってから、誰でもなく、自分のためだけに生きて来た。
「うん、最高のおかあさんだった」
後ろめたさを噛み締めながら頷いた。美羽の顔がほころんでゆく。それは、柊子すら見たことのない母性に溢れた表情だった。

「どこにいっても、何があっても、いつまでもわたしはあなたのおかあさんだから」
とうとう美羽は娘ではなく、おかあさんになってしまった。一度も、柊子を「おかあさん」と呼ばないままに。

 

実は美羽(身体は柊子)の記憶喪失は嘘で、柊子(身体は美羽)が安心して海外に旅立てるように、また深尾に「柊子の過去」を聞かれないようにするための演技でした。

美羽(身体は柊子)の気持ちを知った柊子(身体は美羽)は、吹っ切れて海外へと飛び立つのでした。

ドラマ版も十分に良かったですが、小説では心理描写がより多くてオススメです。

 

↓ドラマ版はこちら!

特集
ドラマ『今夜は心だけ抱いて』全8話の感想【女同士入れ替わり】今回は、ドラマ『今夜は心だけ抱いて』全8話の感想を紹介していきます。一部、以前の記事から転載です。この記事にはネタバレが大いに含まれます...

ぬすまれた学園

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『ぬすまれた学園』
著者:北園哲也
女子中学生が宇宙人の化けた女教師と入れ替わる。 秋元書房
秋元文庫
『ぬすまれた学園』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

 

希望中学校の3年生・風吹こずえは、小さい頃からテレパシー能力を持っていた。

ある日、夏休みが明けて久しぶりに登校したところ、担任の時田京子先生が別人のような性格になっていた。

こずえは能力を使って、京子先生が地球侵略を企む宇宙人にすり替わられたことを突き止めたが…

 

学校の生徒たちや町の人々は、次々に失踪していき、その中の何人かは宇宙人にすり替えられていきます。

宇宙人は、地球人の脳の研究をするために、モルモットの地球人が欲しいようです。

ちなみに、本物の京子先生は、既に殺害されていました。

 

入れ替わりがあるのは、第9章「精神交換」~第10章(最終章)「解放の日」です。

こずえはクラスメイトの伸彦と共にUFOへと乗り込みますが、捕まって絶体絶命のピンチに…

↓こずえは京子先生の隙を突いて、「精神交換(エゴ・シフト)」の能力で入れ替えます。

こずえは、三人の男が彼女にちかづく数秒間に、自分のもっているあらゆるエネルギーを、「精神交換」――自分が「時田先生」のからだにのりうつることに賭けたのだ。
目まいがして、頭の内側に火花が散った。白熱した光が、パチパチと音をたてた。こずえはまっくらやみの底をくぐった。火花がちった。そしてそのやみのなかから、よみがえった。
つぎのいっしゅん、こずえは「時田先生」の身体のなかに、自分のこころをうつしていた。そして「時田先生」のこころは、少女であるこずえにのりうつった。
「この女の子を……とじこめておきなさい」
と「時田先生」にのりうつったこずえが、男たちに、命令した。

 

すぐに京子先生のフリをして京子先生(身体はこずえ)を捕らえさせるこずえ(身体は京子先生)が良かったですね。

↓京子先生(身体はこずえ)は抵抗しますが、信じてもらえずに捕らえられます。

「その女を……つかまえて」
男たちにかつがれながら、こずえにのりうつった「時田先生」がいった。しかし、だれもが、こずえがはかない抵抗を示しているものとしかおもわなかった。

 

↓ナイスバディの京子先生ボディになったこずえのシーンがおいしいです。

こずえと両想いになっている伸彦とのやりとりが切なくて好きです。

こずえはいまりっぱに成熟したひとりの女のからだをもっていた。歩くと、自分ではないことが、はっきりとわかる。むねもこしも、ゆたかにふくらんでいて、重たいのだ。

 

こずえ(身体は京子先生)は、京子先生のフリをして、UFO内部で情報を集めます。

↓宇宙人と謎の性行為をさせられるシーンが良かったですねw

男のつめたい手が、こずえの手の指を一本一本ひろげた。こずえは、身ぶるいした。いくら自分のからだではないといっても、自分のこころがやどっているので、外見は「時田先生」でも、やはり自分のからだであるような気がした。

 

↓こずえ(身体は京子先生)は、人間の吉岡先生とも変態的な性行為をさせられます。

「時田先生」の足もとにひれふして、ハイヒールをはいた足で、ふみつけられることをねがうマゾヒストだった。「時田先生」になりすましたこずえは、吉岡先生にいいよられて、彼の要求することがあまりにアブノーマルなので、泣きたいくらいだった。
(中略)
そのように恥ずかしい、みだらなプレイは、こずえは知らなかったのだから。
こずえは自分がひとりの肉体的にすっかり成熟したからだをもつことを、そのときほど、つらいとおもったことはない。そして、おとなのセックスというものが、どのようにふくざつなものかを知り、どうしていいかわからなくなった。

 

↓京子先生(身体はこずえ)の方は、人間として裸にされ、犬のように繋がれています。

最後は元に戻り、ハッピーエンドです。

「時田先生」のすがたをしたこずえが、へやの戸をひらいた。すっぱだかにされ、犬のようによつんばいになった少女が、こちらをにらんだ。こずえのからだには、「時田先生」のこころがやどっている。
(……なんてみじめなすがたをしているの)
とこずえは、くさりにつながれた自分のからだにいった。ここで「精神交換」をもとにもどすのは、きけんだった。
(中略)
はだかにされたこずえが、泣きながら、ニセの時田先生にすくいを求めているとしか見えなかった。しかし、いま泣いているのは、じっさいは「時田先生」のほうだったのである。

 

身代わり姫と呪われし賢者

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『身代わり姫と呪われし賢者』
著者:奥乃桜子
町娘が姫に呪術で入れ替えられる。 集英社
コバルト文庫
『身代わり姫と呪われし賢者』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

身代わり姫と呪われし賢者3

町娘のリアナは、気がつくと公女のファスと入れ替わっていた。

ファスには隣国の王子・ユータリスとの縁談があり、リアナが代わりに嫁ぐことになってしまい…

 

リアナは両親を失い、親戚の家で働かされていました。

賢者のサイルに「いなくなっても誰も困らない不幸な女の子はいるか」と聞かれ、自分自身だと答えたら入れ替えられてしまったようです。

リアナは入れ替わらなくても悲惨ですが、入れ替わった後も悲惨です…

「だれ、これ……?」
鏡の中には金の波打つ髪。驚いたように見開いた、麗しき青の瞳。
リアナとは似ても似つかない、美しい少女が映っていた。

 

ファスが結婚する予定の隣国の王子・ユータリスは、呪いで分別のない獣の姿に変えられており、そんな王子とは結婚したくないファスが、好きなサイルと駆け落ちするためにリアナと入れ替わったということでした。

リアナ(身体はファス)は賢者のイードに入れ替わりを信じてもらい、元に戻るために協力してもらうことに。

 

とりあえずファスのフリをすることになったリアナ(身体はファス)は、貴族としての振る舞いを身につけさせられます。

リアナ(身体はファス)は入れ替わり被害者なのに、加害者のファス(身体はリアナ)が親戚に暴力を振るわれていないか心配していて優しいです。

 

↓イードは、中身がリアナのファスのことが関わるうちに気になってしまいます。

いい匂いなんて感想は初めてで、動揺してしまったのだ。薬草の強烈な香りが入り交じることの部屋は、お世辞にもいい匂いとは言えない。ファスがいつも、イードに気づかれないように息を止めていたのは知っている。
同じ身体なのに、考えることはこうも違うのか。イードは複雑な気分になりつつ答えた。

 

第4章では、入れ替わった二人がご対面。

「公女」が「町娘」に恭しく接している図が最高です。

そしてもうひとりは、見覚えのありすぎる痩せっぽちの少女だった。
「サイル。それに……姫ですね?」
イードは痩せっぽちの少女を見つめている。そんな場面じゃないとわかっていても、リアナの心臓はきゅうと縮む。イードがどう感じたのか、不安になる。
イードの問いに、少女は「ええ」と覚悟したようにうなずいた。
「そちらは、私……この身体の、本当の持ち主の方ですね」
ファスの声は、想像よりも毅然としていた。はっとして、リアナは膝を折った。
「そうです、リアナといいます」

 

↓ファス(身体はリアナ)の思いを知ったリアナ(身体はファス)は、ファスとして嫁ぐことを決意。

リアナ(身体はファス)は超お人好しで、めげない性格です。

「それじゃあ決まり。私がこのままクラリアに行きます」
「ごめんなさい、リアナ」
さすがに良心が痛むのか、耐えられないようにファスがぼろぼろと涙を流した。
「いや、やめてください。自分の顔に泣かれるのってなんかへんな感じですし」

 

ファス(身体はリアナ)とサイルは、リアナの身体を大事にしていて、キスすらしていません。

ファス(身体はリアナ)は悪役ではなく、入れ替えたことを非常に心苦しく思っています。

 

↓イードが身体も心も100%のリアナを見たかったというところが熱いですね。

イードは元々「ファス」が好きなので色々と複雑です。

「お前の笑い顔も怒り顔も、本当の顔にこそ映えるんだろうと気づいた。きびきび動くのも、あの身体こそだろう。恥じることなんてまったくない。お前と一緒に生きてきた、立派な身体だろうが。本当の身体で笑ったり怒ったりするお前は、さぞ生き生きしているのだろうな。一度、会ってみたかった」

 

色々な人の思惑に巻き込まれて色々とありますが、イードのピンチに二人は元に戻ります。

入れ替わりアイテムは残り一つしかなく、二度と入れ替われなくなりました。

 

↓悪役のアリティスが元に戻った「ファス」に違和感を覚えるシーンが好きですね。

ファスの父親(国王)が、娘が入れ替わったことにも気がつかず、娘が元に戻ったことにも気がつかずで無常です。

アリティスは驚いた。ファスはこんな顔をする女だったか?こういう皮肉を言ったか?
しかし瞬時に薄い笑みを浮かべなおし、機嫌をとった。いつものファスとはなんだか違うが、こんな女のほうが慣れているといえば慣れている。

 

↓他には、「リアナ」としては初対面なので自己紹介…というシーンが好きでした。

このあいだはありがとう、とそのまま近づきそうになって、リアナは慌てて膝を折って礼をした。
「リアナと申します。初めまして」
そうだった、もう自分はファスではないのだ。リアナとしては初対面だし、相手は貴族で、自分は庶民だった。

 

最後は色々と丸く収まってハッピーエンド。イードの正体が意外で良かったです。

でもすぐに、はたと気づいて顔を覆った。そうだった。私もう、ファス様の姿でもなんでもないんだった。
「どうした。なぜ顔を隠すんだ」
「だって」
「隠すな。ようやく念願叶って本当のお前に会えたのに」

 

ログイン!ゲーマー女子のMMOトリップ日記

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『ログイン!ゲーマー女子のMMOトリップ日記』
著者:草野瀬津璃
女性がゲームキャラクターに入れ替えられる。 ●アルファポリス
レジーナブックス
『ログイン!ゲーマー女子のMMOトリップ日記』
●アルファポリス
レジーナ文庫
『ログイン!ゲーマー女子のMMOトリップ日記』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

ログイン!ゲーマー女子のMMOトリップ日記

図書館で司書をしている夕野りあは、人間関係の悩みからオンラインゲームのキャラクターを羨ましく思っていた。

そんな時、プレイヤーキャラクターのユーノリアが話しかけてきて、魔法で入れ替えられてしまった。

実はユーノリアは、魔王を封印した呪文の番人としての生活に疲れてしまっていたのだ。

 

↓りあがユーノリアを羨ましいと話すフラグセリフでもう興奮してしまいますね。

「いいなあ、ユーノリアは。強くて美人で、悩みなんて一つもなさそうで。私も気ままに冒険したり、旅をしたり……そんな生活してみたい」

――それなら……私と入れ替わってみる?

 

↓ユーノリアに助けて欲しいと言われたりあは、事態を飲み込めないまま強制的に入れ替えられてしまいました。

優しく慰めて、りあはユーノリアの左手に自分の右手を重ねる。
その瞬間、変な感じがした。
意識が飛んだような、何かが切り替わったような、不思議な感覚。
りあが目を瞬かせると、鏡の向こうに自分が立っていた。背中まである長い黒髪と、一重の目をした地味な女は、間違いなくりあ自身だ。

 

↓ユーノリア(身体はりあ)はさっさと人間界に戻ってしまい、りあ(身体はユーノリア)はゲームの世界に強制転送。

二人は別々の世界の住人なので、これ以降の関わりは一切ありません。

「入れ替わってくださって、ありがとうございました。詳しいことは、私の使役している宝石精霊達から教わってください。これからは、お互い楽しく生きていきましょう」

 

この後は、りあ(身体はユーノリア)がゲームをプレイした知識を活かしながら、何とか生活していく成長ストーリーです。

↓知らない文字もユーノリアの身体だから読み書きできるようでした。

「冒険者ギルド・カノン支部」
表の看板には、そう書かれていた。りあにとっては見慣れない文字なのに、なぜか意味が分かる。ユーノリアと入れ替わったせいなのかどうかは分からないが、とにかく文字が読めるのはありがたい。

(書けた……!)
りあは自分の名前をすらすら書くことができた。ありがたいけれど、なんだか変な感じだ。
ふと意識してみると、日本語とは違う言語を話しているという実感もある。今まで使ったこともない魔法を使えたり、言葉の読み書きができたりするのは、いったいなぜなのだろう。
(体はユーノリアのものだから?それとも、このゲームをやったことがあるから?)

 

ユーノリアは周囲とはあまり関わっていなかったようですが、りあは助けてもらうために色々な人と関わります。

ユーノリアの財布が空だったのはかわいそうでしたねw

 

↓以前のユーノリアと同じセリフを言うところや、ユーノリア本人を知っている人物と話すところが良かったです。

入れ替わり自体は他の人にも信じてもらえます。

「ああ、その台詞!以前のあなたからもよく聞きましたよ。『その人は関係ない、巻き込まないで』。魔人に人間の頼みを聞く義理などありませんのにねえ」

 

冒険するうちに、元の世界に戻らなくても…と思うようになり、最後は元に戻りません

描き下ろしでは、ユーノリア(身体はりあ)の人間界生活が語られます。

ユーノリア(身体はりあ)の方も、記憶喪失としてりあの家族や職場と上手くやっているようでした。

 

ゲームの世界から来たユーノリア(身体はりあ)が、中二病扱いされていて面白かったです。

↓ゲームを起動して元の自分自身であるアバターを見るシーンが良かったですね。

「これがアバターっていう、お姉ちゃんが操作してたキャラクターね」
「私だわ」
その人物は明らかに、地界にいた時のユーノリアそのものだった。言葉を失くす面々に気付かず、ユーノリアの胸は熱くなった。
(本当に、私だけを見ていてくれた人がいたんだ。神様……)
ずっと一人ぼっちだと思っていた。入れ替わった彼女を思い出して、ユーノリアの目がうるむ。
(ありがとう)

 

↓ユーノリアは悪意を持って入れ替えたわけではなく、りあに心の底から感謝していますが、ユーノリアになったりあのことを考えると複雑な気持ちになります…

(こんなに穏やかな時間を過ごせる日が来るなんて思わなかった)
(中略)
「ここにいたいんです。こんなに優しくて温かい場所、離れがたいです」
母とるりは顔を見合わせる。そして母がユーノリアを抱きしめた。
「まったくもう、記憶喪失になってから泣き虫さんになったみたいね。実家に戻ってもいいし……いつでも来ていいのよ。あなたの家なんだから」
「そうだよ、お姉ちゃん」
「……ありがとう」

 

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。

※この項目には物語に関するネタバレが含まれています。

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。』
著者:古戸マチコ
少女が魔女に入れ替えられる。 一迅社
一迅社文庫アイリス
『ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。』

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。2

気弱な14歳の少女・ルナは、靴屋で赤い靴を購入した帰り道、魔女のベファーナに入れ替えられてしまう。

魔女の森で住民から恐れられているベファーナになったルナは、元に戻るための魔法のダンスを探すことになった。

 

いつでも相手に合わせる生活を送ってきたルナは、「靴を交換して欲しい」というベファーナの申し出に了承してしまい、入れ替えられてしまいました。

↓ベファーナ(身体はルナ)は、すぐにその場を立ち去り、終盤まで登場しません。

鏡で何度も見てきたそれと、慣れ親しんだスカートの裾が、目の前に立っている。
愕然と見上げた先で、自分とまったく同じ姿形の少女が笑っていた。
見慣れているはずの口が見たこともない形に歪み、いつもの声でこちらに囁く。
「いただくわ。靴も、あなたの体もねぇ」
そして赤い靴を履いた「私」は、背を向けて走り出した。
出てはくれない声で叫ぶ。
待って。それは私よ。お願い、待って、待って……。

 

↓ベファーナの家で目を覚ましたルナ(身体はベファーナ)は、入れ替わりが夢ではないと気がつきます。

ベファーナの身体はかなり豊満ボディのようです。ちなみに、ルナという名前は仮名?っぽいです。

まず、目に入った色を見てぎょっとする。
長く伸びた爪が真っ赤に染まっていたのだ。とっさに血かとも思うほどのつややかな色は、よく見るとただのマニキュアだ。だがこんな派手な色を塗ってみたことはない。しかも、長く伸びた爪の形は、店で売っているつけ爪よりも長くて奇妙にとがっている。
もっとよく観察しようと寄せた視線は、すぐ手前で止まってしまう。
今まで見たこともない大きさの胸が、目の前に山となって存在していたのだ。
しかも、着ている服は胸元を大胆にカットした赤いドレスで、どんなに慌てて隠そうとしても肌をあらわにしてしまう。今にもこぼれそうな二つの山をおそるおそる触ってみると、指先だけではなく胸からも確かな感触が伝わってきた。間違いなく本物だ。

 

↓ベファーナは「若返りの魔法」を研究しており、若い肉体と入れ替わったようです。

ルナ(身体はベファーナ)は、ベファーナの使い魔のノーチェと、ベファーナの家に住み着いているネズミのネズチューに協力してもらい、元に戻る方法を探すことに。

気の強いベファーナの身体で、中身は気の弱いルナなので、二人とも違和感を覚えますw

「ともかく、あんたはその実験の第一号にされたらしい」
あっさりと無視してネズチューは続ける。
「しかしたったの十四歳と入れ替わるとはな。ま、それだけ思いきったことをするのが大魔女らしさってやつか。ベファーナは今ごろあんたの若い体でめいっぱいに楽しんでるだろうよ」
「そんな……だって、私の体なんてつまらないし、背も低いし、美人じゃないし胸もない。いいことなんて一つもないのに」
「とにかく若けりゃ誰でもいいって言ってたからな。それで、若い男と遊ぶんだとさ」

 

魔女の森からは出ることができず、元に戻るには一週間後のワルプルギスの夜に、使い魔の猫・ノーチェと特別なダンスを踊らなければなりません。

ベファーナの靴と肉体があれば、ルナ(身体はベファーナ)はベファーナのダンス魔法を使うことができます。

ベファーナの身体が勝手に動き、魔法を使うシーンもありました。

「ベファーナが使っておったものじゃな。魔女の靴の中でも特別なものじゃ。この靴ならば、ベファーナの踏んできたステップを記憶することぐらいはできる。この靴の中にはありとあらゆる魔法の動きがしまわれておる。もちろん、そのベファーナの肉体も踊りを憶えておるじゃろう。この靴と体があれば、ベファーナの知る魔法はすべて使えるということじゃ」

 

この後は、上手くいかないことが続き、それを乗り越えるルナ(身体はベファーナ)の成長ストーリーという感じです。

↓ルナ(身体はベファーナ)がベファーナの身体のせいで住民たちから敵視されるところが良かったですね。

目の前にある民家から、石が投げられたのだ。
恐怖と怒りに目を染めた人々が、呆然と立ちつくすベファーナの体に叫ぶ。
「人攫い!」
「うちの子を返して!この人でなし!」
「また子どもを攫いに来たのか!こっちに来るな!」
何を言われているのかわからない。言葉の意味がきちんと頭に入ってこない。
砂が、石が、手当たりしだいに投げられる。

「あの。ベファーナが子どもを攫ったって、本当?」
少し悩んで、ピエナは慎重に答えた。
「多分、本当でしょうね。少なくとも、子どもを攫われた人たちは、嘘や冗談でベファーナを非難しているようには見えないもの」
「酷い……」
そんな人間の体を使わされていることに絶望を感じる。いきなり体を奪われたといっても、これまではまだベファーナの性質に希望を持っていたのだ。彼女が完全な悪人であれば、ノーチェやネズチューに慕われているはずがない。そう、信じていたのに。

 

↓ルナ(身体はベファーナ)が気の強いベファーナの演技をすることで、ハマっていく様子が良かったです。

実はベファーナは子供を攫っていたのではなく、ダンス学校に入学させていた良い人だとわかります。

ルナはそのまま繰り返した。一度だけであったベファーナの口調を真似て、まるで世の中すべてを見下して笑い飛ばしてしまうように。愉しげに歪んだ頬はぴたりと綺麗な形に収まり、これがいつもの顔なのだと表情筋が教えてくれる。

同じ台詞を繰り返しながら、ルナは演技ではない笑みが浮かぶのを感じた。
自分でも、今の展開は上手くやれたと思う。ベファーナの真似をするうちに気分がどんどん高揚して、嘘の言葉が本当に自分の中から出てきたような気分になった。
まるで劇をしているようだ。もしくは、筋のあるバレエの主役級になった気持ち。
自分ではない誰かになることで、普段では考えられないほど気持ちよく動くことができる。

 

ルナ(身体はベファーナ)は、ベファーナと入れ替わるのは自分でなくても良かったと思いますが、ベファーナは「ルナ」と入れ替わるつもりだったようです。

↓身体のケアを怠ったルナ(身体はベファーナ)が、ベファーナの身体を衰えさせるところが好きですね。

ルナは目を疑った。
初めの日、確かにつり上がっていた口許はだらしなくゆるんで落ち、何も言わない唇は荷を積んだ天秤棒のように両端が垂れ下がっている。目の下にはくまがあった。昨日はよく眠れたはずなのに。
(これが、ベファーナの顔?)
水気を失って乾いた肌には浅いしわが浮いている。色はくすみ、曇りを一枚まとっているようだ。輝きのない両目が、呆然と鏡の中の顔を見ていた。
(ベファーナじゃない)
ルナは思う。これで元の姿の自分と同じだ。
自信のなさが体中に現れた、頼りなく立つひ弱な女。歳を取っている分よけいに痛々しいものがある。
これは、未来の自分の姿だ。たとえベファーナの体を借りていても、自分が中に入っていればこんな姿になっていくのだ。

 

↓自棄になった?ルナ(身体はベファーナ)が飲酒するシーンも好きです。

ワインなんて生まれて初めて呑んだけれど、思っていたよりもずっと美味しい。ベファーナの舌だからだろうか。体も酒への耐性が強いらしい。ルナは気にせず次の瓶を掴んだ。

 

色々と紆余曲折あり、ルナ(身体はベファーナ)はベファーナのように自信を持ち始め、ベファーナを敵視していた住民たちの誤解も解きます。

ベファーナに戻ってきて欲しい人も、ルナにいなくなって欲しくない人もいる中、ワルプルギスの夜を迎えます。

 

↓ワルプルギスの夜には、ベファーナ(身体はルナ)が登場。

ベファーナ(身体はルナ)はルナ(身体はベファーナ)に、罵詈雑言を浴びせますが…?

真新しい赤い靴が目の前に現れる。
細くて頼りない、少女の足だ。見上げるとそこには醜く笑うかつての自分の体があった。
「お久しぶり。あたしの体は楽しかった?」
「ベファーナ……!」
憎しみを込めて呼ぶと、魔女は少女の姿で笑う。
「あらあら、立派な口がきけるようになったものね。あたしを呼び捨てるなんてねぇ。あなたみたいな、情けなくて、頼りなくて、何一つ成功しないでたらめな小娘が!」

「なんで、こんな、こと」
「決まってるじゃなぁい、あたしがそうしたいからよ。あなたの若い体では存分に遊ばせてもらったし、可愛い猫の誠意も確かめられたもの。告白なんてされてもね、証拠が欲しくなるものよ。ほいほいと言うことを聞く奴隷のような女が現れても、そいつよりあたしを取るんだってね」
だから魔法を使ったのだ。ただそれだけのために、ルナを巻き込んだのだ。
「ひどい。ひどい、ひどい。私、頑張ったのに」
「頑張ったぁ?どの口がそれを言うのかしら。あなたは借り物の体で借り物の家に住んで、借り物の仲間と借り物の関係を結んだだけ。何一つ、あなたのものなんてない。何もかもあたしのものよ。男まで借り物だなんて、無様で涙が出ちゃいそう」

 

ルナは急に元の身体に戻されます。

↓ベファーナに遊ばれた身体を嫌がる描写が良かったです。

体を起こしてさらに愕然としたあまり広くはない部屋の中は、散々に荒らされていたのだ。
ルナは体を確かめた。あの魔女のものとは比べ物にならないくらい貧相な肉体。これを使ってベファーナが好き勝手に遊んだらしい。着せ替えでも楽しんだのだろうか、クローゼットの中の服はすべて床に広げられ、そこら中に教科書やノートが散乱していた。
秘密にしていた日記帳も、わざわざページを大きく開いて置かれている。
あんまりだ。こんなにも勝手なことが許されるのだろうか。
一方的に体を奪い、人が苦労をしている間に自分は好き放題に遊ぶ。ルナが魔女の森に馴染めば今度はいきなり体を戻し、馬鹿にして笑い飛ばして絶望に叩き落すのだ。
信じられない。まるで人の所業ではない。
この体も、ベファーナの手によって何をされたかわからない。おそるおそるの確認も込めてパジャマから着替えるうちに、傷や何かの痕跡こそないものの涙が止まらなくなってきて、ルナは改めて服を着ると家の外に飛び出した。
こんな部屋にはもういたくなかったのだ。ベファーナが何をしたのか考えるだけで怖くなる。外の時間は早朝で、薄ら寒く湿った中を歩くうちに雨まで降ってきてしまった。傘はない。頭から水に浸しながら、ルナは道を歩いていく。
風邪を引いてしまえばいいのだ。こんな体、なんの意味もないのだから。

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。1

最後に、実はルナはベファーナの昔の姿で、時間を越えた自分同士の入れ替わりだとわかります。

↑イラストを見ると、ルナとベファーナの目は同一になっています。ちゃんとオチはハッピーエンドです。

 

双心のサヤ

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『双心のサヤ』
著者:鳥生浩司
主人公の彼女が戦国時代の姫と入れ替わり体質になる。 ホビージャパン
HJ文庫
『双心のサヤ―刀姫推参!―』
『双心のサヤ2―刀姫恋心!―』
(全2巻)

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

双心のサヤ1

高校生の上月雪柾は大財閥の子息だったが、メイドの桜坂沙耶と駆け落ちして安アパート暮らしをしていた。

そんなある日、上月家への恨みを持つ者に襲われた際、沙耶が代々伝わる守り刀を手にしたら、沙耶の意識は戦国時代の先祖・鞘姫と入れ替わってしまう。

それからというもの、沙耶はくしゃみをするたびに鞘姫と入れ替わる体質になってしまった。

双心のサヤ2

↓鞘姫(14歳)は侍を目指していて、めちゃくちゃ強いです。

本当は刀を媒介にして他人に憑依する予定だったようですが、誤って沙耶と入れ替わり体質になってしまったようです。

「……沙耶!?」
見開く雪柾の瞳の中、ずぶ濡れの沙耶が守り刀を手に男と対峙していた。
「悪く思うな……妾は丸腰でも斬るぞ」
沙耶が、半分になった男の刃に憐れみの視線を向ける。
「舐めるな、小娘がっ!」
憤りと共に男が斬りかかる。年端もいかぬ娘など折れた刃で十分、そう思ったのだろう。
「下衆め……女だからとて侮られるのは、ひどく好かん」

 

↓鞘姫の身体に入った沙耶は登場しませんが、元に戻った沙耶から戦国時代の話を聞くことができます。

家来の人たちは、沙耶の入った鞘姫の方がお姫様らしくて良いようです。

入れ替わり的には沙耶の身体に鞘姫が入っている時間が長く、沙耶本人は空気気味です。

「……くしゅん!」
不意にくしゃみをして、立ち止まった。追いついた雪柾が肩に手を置くと、沙耶がゆっくり身体を向け直す。
「雪柾さま、私、夢を観ました!お侍さまでいっぱいのお城で、お姫様になる夢です!」
「……ああ……?」
雪柾は面食らった。目を見ればわかる。夢を口にしてきらきら瞳を輝かせている少女は、間違いなく雪柾が知る桜坂沙耶だった。その手に握られた、雫滴る刀さえなければ――。

「戦国のお姫様暮らしはどんな感じだ、沙耶?」
(中略)
「たいそう楽させてもらってます。ついついお掃除とかしちゃって、家来の皆さんを慌てさせちゃうんですけど」
「危険はないのか?」
「お城で大事にされていますから、安心です。むしろ、私……鞘姫が勝手にお城を飛び出さなくなって、皆、安心してるようですよ?」

 

この後は、沙耶と鞘姫は何度か入れ替わり、鞘姫(身体は沙耶)が雪柾を襲ってくる禍魂(マガツタマ)を退けることになります。

↓鞘姫(身体は沙耶)が制服の着方が分からず、雪柾に手伝ってもらうシーンが好きです。

現代の文明に驚く鞘姫(身体は沙耶)の描写も良かったです。

「帯もなしでどうやって身に着けるのじゃ?」
(中略)
これはあのときの逆で、つまり――雪柾の視線が、浴衣にふくよかなラインを描き出す、サヤの形の良い胸へと否応無しに吸い付いた。
「背に腹は替えられぬ……お主が、着せてくれ」
しゅる……。恥ずかしげに瞳を逸らし、サヤは浴衣の帯を緩ませた。
(中略)
雪柾はサヤを恨めしげに振り返る。思い出す。ブラウスの胸のボタンを留めるとき、期せずしてサヤの胸の先端に手の甲が触れたときは生きた心地がしなかった。制服を着させている間、サヤはわずかに頬を染めてしおらしくしているものだから、えもいわれぬ罪悪感を味わい続けた。

 

学校では、しおらしいメイドキャラの沙耶の中身が、いきなり古風な喋り方の鞘姫になったため周囲は騒然w

一部のキャラクターには入れ替わりを話し、色々と協力してもらいます。

 

↓蓮華との勝負の直前など、入れ替わるタイミングが悪く美味しいです。

侍女(じじょ、メイド)と侍女(サムライガール)のあたりも美味しいです。

「くしゅん!」
激突に似つかわしくない、ひかえめなくしゃみが体育館に響いていた。
「え……?わ、私…………?」
顔を上げた少女は、戸惑うように足を緩め、自らの手の内の刃にきょとんとする。
「――勝負ですわ!」
「えっ!えええええっ!?」

 

↓他には、鞘姫(身体は沙耶)と刀子との戦いが熱かったです。

沙耶の身体をボロボロにしてしまう鞘姫が良かったです。

入れ替わり体質は治っていないような終わり方でした。

「力比べなら、キミの借り物の身体より、鍛えてあるボクの方に分があるかな……?」

「お主の大切な沙耶の身体を傷つけてしまった……。妾が、至らぬばかりに、すまぬ……」

 

↓主人公の雪柾も、5年前に戦国時代の男の子と入れ替わったまま暮らしている?ような話題も出てきますが、最後まで二重人格との判別はつきませんでした。

途中で雪柾は人格が変わり、敵を斬ろうとしていました。一人称も変わります。

「五年前になるかな?俺さ、行方不明になっちまったらしいんだよな」
「”らしい”?他人事のような口ぶりだな」
「ある意味そうさ。なんせ、行方不明になった前後の記憶がまるで無いんだから」
「な……?記憶喪失だったというのか?」
「それも半端なヤツじゃねえ。過去の記憶はもちろん、シャツのボタンの留め方も、ドアの開け方も忘れちまってるってんだから、凄いぜ。電気で明るい夜が理解できなくて、ライターの火を見ちゃ怖がるし、十歳やそこらのガキが廃人同然……いや、まるで獣だった」

「お主、妾と以前逢うたことがあるか?あの橋の上ではない、もっと前じゃ。先ほどから、何やらお主の顔に見覚えがあるような気がしてな」
「はあ?何言ってんだ?何百年も前の人間と俺が逢ってるわけねーだろ。俺はお前の子孫だっつうんだから、親か兄弟にでも似てるんじゃないか?」

懐かしげな刀子の声が、雪柾には痛い。あの頃の自分は、剣を握れば別人になるようなところがあった。挙句の果てに刀子に本気で斬りかかり、沙耶が身を挺して止めたのだ。

いりすに降りた禍魂は震えた。何かがおかしい。この男は、自分たち禍魂のことも、この娘のこともまるで忘れている……?
「僕はお前を斬る……それだけだ」

 

 

第2巻でも、沙耶鞘姫のくしゃみ入れ替わり体質は継続。

作中では鞘姫(身体は沙耶)が主に登場し、沙耶や沙耶(身体は鞘姫)はあまり出てきません。

鞘姫(身体は沙耶)が現代の機械に馴染んでいる様子が好きですね。

 

第1巻に主人公の雪柾も、5年前に戦国時代の男の子と入れ替わったまま暮らしているような話題が出てきていましたが、第2巻で入れ替わりが確定しました。

↓現在の雪柾は雪柾本人ではなく、戦国時代の緋雨という男の子で、タイムスリップして雪柾の身体に入ってから記憶喪失だったようです。

「容易く命を奪うくらいで満たされるものか。その前に俺はお前から奪う。蓮華を、愛する者を、上月家を――俺が手に入れるはずだった全てのものを、お前から奪い返す」
風の結界が途切れた。健人は立ち上がるとソファーを回り込み、蓮華と沙耶に歩み寄る。
「お前が手に入れるはずだっただと?奪い返す?随分と図々しいな。何様だよ、お前」
(中略)
俺はお前だよ、上月雪柾
「え……?」
沙耶の前で健人が振り返り、発した言葉に雪柾の足は止まってしまう。
「いや、それは正確ではないな。お前が俺になったんだ。お前は上月雪柾ではない。五年前、この時代にやって来た戦国時代の人斬りだよ」
「な……?何言ってんだ、お前…………?」

 

本物の雪柾は北条健人という大企業の社長の身体を乗っ取っていて、雪柾(中身は緋雨)を襲います。

↓雪柾(身体は健人)は、突然厳しい戦国時代に飛ばされて、雪柾(中身は緋雨)を相当恨んでいるようです。

「――俺は正気だったぞ!貴様が幸福な忘却のうちに居る間も、俺は地獄のような戦国を、毎日、毎日、毎日、生きていた!」
(中略)
「わかるか、俺の苦しみが!狂うことも出来ず、現代も忘れられず、異国のような戦国で生きていくことの絶望が!その頃、お前はこの時代で何をしていた!?」

 

健人(中身は雪柾)が雪柾に似ている、雪柾(中身は緋雨)が幼少期の思い出を思い出せない、雪柾(中身は緋雨)に何故か戦国時代の記憶がある、という伏線は何度か出てきていました。

蓮華は、雪柾(中身は緋雨)が忘れている思い出を健人(中身は雪柾)が知っていたので驚きます。

 

↓ちなみに蓮華も、時々魔女に身体を乗っ取られます。

「貴女……いつから、私の中に居たの?」
蓮華が鏡の中の自分に問う。
――貴女が、剣の舞姫に最初に敗れた夜。
鏡写しの蓮華が答えた。
「やっぱり……。あれから意識が飛ぶことが多かったのは、貴女のせいなのね」

 

↓蓮華と健人(中身は雪柾)のやりとりが尊かったですね。

「聞い、て……雪柾…………」
彼女が雪柾と呼んだのは健人だ。弾かれたように健人の周り、風の結界が力を失くした。
蓮華…………?」
驚く健人に、蓮華が弱々しい笑顔で頷く。

 

最後は相思相愛だった鞘姫と雪柾がくっついてハッピーエンドです。

沙耶と蓮華も雪柾が好きだったので、色々と複雑でした(笑)

鞘姫と沙耶の入れ替わり体質は治っていないようでした。

 

 

今回は、小説の女同士入れ替わりを10作品紹介しました。

読んでいただいてありがとうございました!

 

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