その他

依頼作品&自作品置き場③【10作品】

アイキャッチアダルト(※18才未満閲覧禁止)

TSF界で活躍されている創作者様に、管理人が依頼して創作していただいた作品です。

管理人の趣味のシチュエーションが100%、入れ替わりではない作品もございますので悪しからず。

 

当サイトの情報につきまして、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤情報が入り込んだり、情報が古くなっていることもございます。電子書籍サイト・動画配信サイトの配信情報は掲載当時のものですので、現在の配信状況については各サイトにてご確認ください。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!

KPさん
KPさん
【あむぁいさん】のサイト【あむぁいおかし製作所さん】の企画で【かんむりさん】に先輩がヤンデレ後輩に入れ替えられる話を描いていただきました!ありがとうございました!
僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!1 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!2 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!3 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!4 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!5 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!6 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!7 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!8 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!9 僕の声を聴くだけで発情しちゃうヤンデレ巨乳後輩に体を入れ替えられてしまった!10

KPさん
KPさん
かんむりさんの【Pixiv】はこちら!

入れ替わリンピック

KPさん
KPさん
某スポーツの祭典で入れ替わりウイルスが流行したという設定の新聞記事です。画像はフリー素材の「写真AC」「ぱくたそ」「pixabay」からお借りしたものを「Picsart」のアプリでモザイク処理し、新聞記事は「私の号外」のアプリを使用して作成しました。

夏季入れ替わリンピック

入れ替わリンピック (1) 入れ替わリンピック (2) 入れ替わリンピック (3) 入れ替わリンピック (4) 入れ替わリンピック (5) 入れ替わリンピック (6) 入れ替わリンピック (7) 入れ替わリンピック (8)

冬季入れ替わリンピック

冬季入れ替わリンピック (1) 冬季入れ替わリンピック (2) 冬季入れ替わリンピック (3) 冬季入れ替わリンピック (4) 冬季入れ替わリンピック (5) 冬季入れ替わリンピック (6) 冬季入れ替わリンピック (7) 冬季入れ替わリンピック (8)

おまけ

入れ替わり職場体験

KPさん
KPさん
入れ替わり機械を用いて小中学生が大人と入れ替わり、職場体験をするという設定の新聞記事です。画像はフリー素材の「写真AC」「ぱくたそ」「pixabay」からお借りしたものを「Picsart」のアプリでモザイク処理し、新聞記事は「私の号外」のアプリを使用して作成しました。
入れ替わり職場体験1 入れ替わり職場体験2 入れ替わり職場体験3 入れ替わり職場体験4 入れ替わり職場体験5 入れ替わり職場体験6 入れ替わり職場体験7 入れ替わり職場体験8

いれかわりのおまじないシリーズ

あゆむくんとあゆみちゃん

KPさん
KPさん
【やまボウシさん】に依頼して、男の子と女の子の入れ替わり絵本風味の挿絵を描いて頂きました!ありがとうございました!
あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (1) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (2) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (3) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (4) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (5) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (6) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (8) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (9) あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (10) あゆむくんとあゆみちゃん あゆむくんとあゆみちゃん~いれかわりのおまじない~ (11)

ゆうとくんとゆうなちゃん

ゆうとくんとゆうなちゃん⓪ ゆうとくんとゆうなちゃん① ゆうとくんとゆうなちゃん② ゆうとくんとゆうなちゃん③ ゆうとくんとゆうなちゃん⑧ ゆうとくんとゆうなちゃん⑨ ゆうとくんとゆうなちゃん⑩ ゆうとくんとゆうなちゃん④ ゆうとくんとゆうなちゃん⑤ ゆうとくんとゆうなちゃん⑥ ゆうとくんとゆうなちゃん⑦

ひろむくんとひろみちゃん

ひろむくんとひろみちゃん0 ひろむくんとひろみちゃん1 ひろむくんとひろみちゃん2 ひろむくんとひろみちゃん3 ひろむくんとひろみちゃん4 ひろむくんとひろみちゃん5 ひろむくんとひろみちゃん6 ひろむくんとひろみちゃん7 ひろむくんとひろみちゃん8 ひろむくんとひろみちゃん9 ひろむくんとひろみちゃん10

はるみ先生とはるとくん

はるみ先生とはるとくん1 はるみ先生とはるとくん2 はるみ先生とはるとくん3 はるみ先生とはるとくん4 はるみ先生とはるとくん5 はるみ先生とはるとくん6 はるみ先生とはるとくん7 はるみ先生とはるとくん8

のぞむくんとのぞみちゃん

のぞむくんとのぞみちゃん1 のぞむくんとのぞみちゃん2 のぞむくんとのぞみちゃん3 のぞむくんとのぞみちゃん4 のぞむくんとのぞみちゃん5 のぞむくんとのぞみちゃん6 のぞむくんとのぞみちゃん7 のぞむくんとのぞみちゃん8 のぞむくんとのぞみちゃん9

KPさん
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やまボウシさんの【スキマ】【Pixiv】はこちら!

サークルアイコン

KPさん
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入れキチサーのサークルアイコンを【夜宮さん】に描いて頂きました!ありがとうございました!
サークルアイコン2000×2000
KPさん
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夜宮さんの【スキマ】【スケブ】はこちら!

入れ替わりテロin電車

KPさん
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【あむぁいおかし製作所さんの企画】れいとうみかんさん】に依頼して電車の運転手と幼女の入れ替わりを描いていただきました!ありがとうございました!
入れ替わりテロin電車

KPさん
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れいとうみかんさんの【pixivFANBOX】【スケブ】はこちら!

本当は怖い入れ替わりシリーズ

本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~

KPさん
KPさん
【テルミナさん】と二人で全年齢向けの入れ替わり短編小説集を作りました!挿絵を描いてくださった絵師様はありがとうございました!
本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~表紙1 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page002 入れ替わり職場体験 くじびき 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page003 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page013 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page020 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page042 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page051 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page067 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page074 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page083 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page086 本当は怖い入れ替わり~オール戻れないエンド~_page090

本当は怖い入れ替わり2~オール戻らないエンド~

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絵師様のご紹介

本当は怖い入れ替わり3~オール戻らないエンド~

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絵師様のご紹介

本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編

本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page001 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page002 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page021 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page028 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page029 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page038 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page040 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page057 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page061 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page062 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page111 本当は怖い入れ替わり~オール戻らないエンド~総集編_page122

絵師様のご紹介
KPさん
KPさん
テルミナさんの【Pixiv】はこちら!

男女入れ替わりおしっこ合同

KPさん
KPさん
男女が入れ替わっておしっこをするシチュエーションに焦点を当てたフェチ合同誌を企画しました!参加して頂いた22名の創作者様、自分の作品に素敵な絵を描いてくださった12名の絵師様はありがとうございました!
男女入れ替わりおしっこ合同_page001 男女入れ替わりおしっこ合同_page003 男女入れ替わりおしっこ合同_page004 男女入れ替わりおしっこ合同_page045 男女入れ替わりおしっこ合同_page051 男女入れ替わりおしっこ合同_page077 男女入れ替わりおしっこ合同_page100 男女入れ替わりおしっこ合同_page125 男女入れ替わりおしっこ合同_page186 男女入れ替わりおしっこ合同_page196 男女入れ替わりおしっこ合同_page279 男女入れ替わりおしっこ合同_page366 男女入れ替わりおしっこ合同_page371 男女入れ替わりおしっこ合同_page385 男女入れ替わりおしっこ合同_page389 男女入れ替わりおしっこ合同_page417

俺と先輩♀と風俗嬢と

KPさん
KPさん
【TS解体新書さん】を中心にTSFイラストを投稿されている【jpegさん】にイラストと小説を寄稿して頂きました!ありがとうございました!

「ここは試験にもよく出るから忘れないでね。じゃ、きょうの授業は終わります」

俺が言うと塾生たちは挨拶をして帰り支度を始める。

 

「俺も帰るか。あー、疲れたなあ。あっ、田崎さん!お疲れさまです!」

「佐藤くん、お疲れ様でした」

俺は廊下で田崎さんに会い、ドキドキしながら挨拶をした。

田崎加奈さんは俺が教えている学習塾の先輩教師だ。といっても歳は俺のひとつ下だが。

人に心を開かず喜怒哀楽を出さない。小柄で左利き。

初対面で一目惚れして、今まで何度もデートに誘っているのだが…

「田崎さん、週末どうするんですか?俺、ネットでいいカフェ見つけたんですけど、生徒たちの情報交換も兼ねて行きませんか?」

「家でゆっくりしたいので」

 

 

「あーもう!クールすぎて歯が立たない!うあー!田崎さんー!」

不完全燃焼のもやもやが収まらず、俺はなじみの風俗嬢のマドカに荒々しく性欲を叩きつけだ。

こいつは田崎さんと真逆だ。すらりと背が高くて巨乳でバカ。オシャレと遊びが大好き。誘えばいつでも嫌な顔ひとつせず大喜びでついてくる。

初対面から異常にフレンドリーだったが、やつに言わせれば誰にでも心を開くわけではなく、俺だったからとのことだ。光栄と言っていいのか。

ま、なんでも話せる気軽さもあって、半ば友達、半ば彼女みたいな感じでもう長い付き合いだ。

 

「友生まだ田崎さん諦めてないのー?へへ〜。今日はあたしが田崎さんになってあげようか?

えー…ウン、コホン…

佐藤くん、お疲れ様。あ、あの…わたし、男の人とどうやって話したらいいかわからなくて…それで、話しかけられてもついそっけなくしてしまって…。本当はすごく嬉しいのに…。本当はずっと前から佐藤くん、いえ、友生くんが好き…」

マドカは上目遣いで瞳をうるわせ、俺の目を見つめてきた。

強い視線なのに、自信がなさそうな怯えた瞳。

いつものふにゃふにゃな喋り方ではなく、田崎さんを思わせる硬質で透明感ある声にガラリと変わったマドカに俺は驚愕し、思わず居住まいを正した。

そっと俺の首に腕を回し体を密着させてくる。

「ん…加奈は友生くんのものです…。恥ずかしい…」

熱い吐息。おずおずしたキス。歯がカチッとぶつかる、なれていない人のキスの感じ。

 

マドカと田崎さんは見た目が全く違うのだが、だんだん田崎さんに言われているような気がしてきて俺は興奮し、目の前の女体を狂おしいほど愛おしく感じた。

思わずマドカの姿の田崎さんをしっかり抱きしめ、お互いをむさぼるように愛し合った。

「わたしっ!毎日っ!友生くんのことばかり考えてっ!ひとりでいやらしいことしてる加奈をいっぱい叱ってっ!友生くんっ!友生くんっ!もっと強く加奈を抱きしめてっ!」

「ううっ…。加奈っ、加奈っ…。好きだっ…!」

 

「ああーっ!!思い出した!!」

もういくというタイミングで突然マドカがとんでもない大声を上げ、ビクッとした俺はちょっと中に出してしまった。

「な、なんだよ!」

「思い出した!ね、友生。あんたの夢かなうよ!」

「どゆこと?」

「あたし13歳まで田舎のおばあちゃんの家に住んでたんだ。もう死んじゃったけど。そのおばあちゃんが不思議な本を持ってたんだよね。それがあればあんたの夢かなうよ!」

「夢って」

「本物の田崎さんとセックスしたいんでしょ?」

「セックスしたいっつうか…」

「心はあたしだけどね」

「は?」

「あした田舎に行ってくるからちょっと待っててね!ていうか今から田舎帰るから友生はもう帰って!」

何が何やら分からぬまま、俺は半ケツ状態で部屋から叩き出された。

 

二日後、塾のバイトが休みの日、俺はマドカと駅前のファーストフード店で落ち合った。

あいさつもそこそこに、マドカはブランドのかばんから、それに似つかわしくない古い本を出して机の上に置いた。

「これよ。これ。ひひひ。友生。あんたこれから楽しみにしといてね」

マドカは何かを企んだ顔でニンマリと笑い、呆然とする俺を残してさっさと店から出て行ってしまった。

 

部屋に帰った俺はAVを観はじめた。

この女優は少し田崎さんに似ているので、かれこれ10回はリピートしている。

「はあ〜。田崎さんとデートしてぇなあ…」

ぼやいているとチャイムが鳴った。

ん?なんかネットショッピングしたっけ?ビデオを切って玄関のドアを開けると、田崎さんが立っていた。

 

ポカーンと立ち尽くす俺に田崎さんは

「佐藤くん、こんにちは。遊びにきました」

と言った。

田崎さんはいつも着ている野暮ったい膝丈コートを着て、コートの下からは黒タイツとぺたんこ靴を穿いた華奢な脚が伸びている。

 

我に返った俺がどもりつつ

「えっ!?田崎さん、今日仕事じゃありませんでしたっけ?ていうか、何で俺の家知ってるんですか!?」と言うと、

「佐藤くんに会いたかったので仕事を勝手に休みました。住所は塾の重要書類が入ったロッカーの鍵を盗んで、佐藤くんの履歴書を見ました」

「え、田崎さん、いままで一回もお休みとったことないのに…。なんで…」

「部屋に入れてください」

小柄な田崎さんはドアをおさえる俺の腋の下をするりとくぐって玄関のたたきに腰掛けるや、呆然と見つめる俺を尻目にぺたんこ靴を脱ぎ、勝手に部屋に入っていった。

 

田崎さんはベッドに腰掛け、ほっそりした脚をぶらぶらしている。いつもの無表情で

「佐藤くん、わたしのタイツ脚どうですか?興奮しますか?」

「えっ、あっ、かわいいです」

「嬉しいです。もっと言ってください」

「田崎さんは世界一かわいいです」

「わたしはもう嬉しくてまんこが大洪水です。パンツも見たいですか?」

「えっ!?」

「でもだめです」

「はい」

「いま、パンツを穿いていませんから」

「はっ!?」

「コートの下はこんなですから」

言うや田崎さんは露出狂がチンコを見せつけるときの動きでコートの前をはだけた。

田崎さんはY字型のヒモ水着に黒タイツを穿いただけの格好だった。

 

「どうですか?わたしは変態ですか?田崎さんは変態。変態田崎さん」

田崎さんは何故か自分を苗字読みのさん付けで呼んだ。

 

「佐藤くん、あ、あの…わたし、男の人とどうやって話したらいいかわからなくて…それで、話しかけられてもついそっけなくしてしまって…。本当はすごく嬉しいのに…。本当はずっと前から佐藤くん、いえ、友生くんが好き…。それできょう、加奈は友生くんに気に入られるためにいっぱい勉強して、こんな媚びを売るための服を着てきました。友生くん、加奈を可愛がってください。加奈を友生くんのものにして」

コートを脱ぎ捨て、ほとんど裸になった田崎、いや、加奈さんが俺に抱きついてきた。小柄な加奈さんのつむじが見えた。そのままベッドに倒れ込む。

「加奈、友生くんの乳首いっぱい舐めてあげる」

きれいな小さいピンク色の唇から、きれいな小さいピンク色の舌を出し、加奈さんは俺の乳首を舐めながら右手で俺のものをしごいている。

「友生くん、加奈の小さくて細い指でしごかれて気持ちいいですか?」

「うう…は、はい。憧れの加奈ちゃんにこんなことしてもらって、めちゃくちゃ幸せです」

「加奈、左利きだけど、いまは右手でしごいてるでしょ?どうしてかわかる?」

「いいえ、わかりません」

「心はマドカだからよ」

「…はっ!?」

「キャハハハハ!ねぇ〜ん友生くぅん。加奈、マドカちゃんに体乗っ取られちゃったぁ!」

 

田崎さんの体と声のマドカが語った。

「例の本で、あたしと加奈ちゃんの体が入れ替わったのよ。あたしの体の加奈ちゃんは、あたしのマンションで眠ってる」

「あたし、他人になるの好きだったんだよね。他人を演じるっていうか。

それはおばあちゃんのおかげ?せい?なんだ。

それまでは外で男の子と遊んだり、女の子の友達と花を摘みに行くのが好きな、どこにでもいる普通の子供だったんだけど。

 

小学校5、6年の頃かなー。座敷でテレビ観てたらおばあちゃんに呼ばれて。

「おばあちゃんは元気だけど、”若い頃の無茶”のせいで足がちょっと悪いから、歩くのだけが大儀だ、って。

晩ごはんの買い物に行きたいから、マドカちゃんの体を”ちょっと”貸してくれないか」

って。

 

なんのことかわかんなかったけど、おばあちゃんは古い本を取り出して、この本で二人の体を取り替えられるんだよ。って言った。

あたしは遊びのつもりで「やってみて」って言った。

おばあちゃんは本に書いてある文字を読んだ。そうしたら本当にあたしはおばあちゃんになって、おばあちゃんがあたしになっちゃった。

おばあちゃんの体はすごく重くて、動かそうと思ってもあまり動かなかったし、脚がめっちゃ痛かった。

あたしの目の前であたしの体が勝手に動いて、「いま、マドカちゃんの体にはおばあちゃんが入っているんだよ」って言った。あたしの声で。

 

それから毎日、おばあちゃんはあたしの体で買い物に行って、晩ごはんを作ってくれるようになった。

おばあちゃんと入れ替わっているときに本の使い方を教えてもらって、もとの体に戻るときはあたしが本の文字を読んだ。

おばあちゃんがあたしの体で買い物に行ってる間、おばあちゃんのふりをして近所の人と話すの。誰もあたしだって気がつかないんだよ。それがおもしろくておもしろくて、病みつきになっちゃって。

おばあちゃんのおかげ?せい?で、「他人になる」楽しさに目覚めたんだと思う。絶対。

 

あたしの最初のターゲットは、あたしを「都会から来た生意気な子」って意地悪してたクラスの中心の女の子だった。

その子と入れ替わって、その子の体でセックスの練習したんだ。

近所に3歳くらい歳上のちょっと知恵が遅れてる男の子がいて、その男の子にあたしに意地悪してた子の体を抱かせてあげた。

もちろん初めてだったから痛かったけど、だんだん気持ちよくなって、いじめっ子の体でいっぱい腰を振ったりベロチューも何回も何回もした。

あたしになったいじめっ子は発狂して「あれはあたしじゃない!あたしがあたしなのよ!」ってずっと叫んでたけど、そんなの他人が聞いても意味がわからないよね。

もう少し頭がよかったら、ちゃんと人に説明できたかもしれないのにねー。

ま、いま思えば、いじめって言ってもたわいもないものだったし、そこまで仕返ししなくてもよかったかなってちょっと思うけど。

その子は自分の体がセックスして腰振ってるのを見て頭がバカになっちゃった。

きれいな子でプライド高かったから、自分のみっともない姿に耐えられなかったんだろうね。あんなにもろいとは思わなかったけど。

もとの体に戻るまで、さっきまで自分だった体がケラケラ笑いながら手足をヒラヒラしてるのを見るのはけっこう気持ち悪かった。

 

あたしもだんだん巧妙になって、眠っている体と入れ替わるようになったんだけど、いろいろやってホントおもしろかったなー。

成金のおじさんになっておばあちゃんの家に大金置いてから戻ったり、

貞淑なふりしてお金取ってセックスしてた若い未亡人の体で全裸になって走り回って自分の正体を大声でわめいてから元に戻ったり、

事故でずっと植物状態で寝たきりの女の子になって、お母さんの前でスケスケの下着着てセクシーダンスを踊ってみせたこともあった。寝たきりだったからその体は肌が透き通るように白くて綺麗だったけど、毛の処理してないから、お尻のほうまでタワシみたいな剛毛がびっしり生えててそこだけ違和感がすごかったな。お母さん腰抜かして「ばばばば」しか言わなくなっちゃった。

若い男になってたまたま通りかかっただけの女の子を犯しちゃったしたこともあったなあ。無理矢理犯されて泣いている女の子と入れ替わって、今度はさっきまであたしだった若い男を逆レイプしちゃったけど。

 

自分以外の二つの体を入れ替えられることもわかった。

農作業してるおじさんをトンボと入れ替えたら、おじさんはいきなり田んぼに腹這いになって、羽ばたくみたいに手足をバタバタし出した。口をモグモグというかワシャワシャというか動かして、よだれの泡がいっぱい出てた。トンボになったおじさんは、いっぱい探したんだけど見つからなくて、おじさんはトンボになっちゃった。

いじめを見て見ぬふりをしてた担任の30歳くらいの女の先生を、クラスで飼ってたネズミと入れ替えてやったこともあるよ。スカートなのに脚を開いて床にお尻から座ってる先生の前に給食のパン屑バラ撒いたらハイハイしながら食べてた。途中でめっちゃ大きいおならを「バブッ!」てしておもしろかった。いつもは「みんな仲良くしましょう』とか「学ぶことは大事です」とか真面目な顔で言ってるのにね。

 

かなりやばいこともあったけど、みんな、「人の中身が入れ替わる」なんてことはありえないと思い込んでるから、最後はいつも「あいつは頭がおかしくなった」ってことで落ち着いて、結局一回もバレなかったよ。

 

色々な体でどこが感じるのかをいっぱい体験したから、あたしは誰よりもセックスが上手くなったんだよね。

 

あっ、実はおばあちゃんは、前は別の人だったんだって。一目惚れしたおじいちゃんを射止めるために、いまのおばあちゃんの体に変わったって。

本当のおばあちゃんの体は頭はよかったけど、ガリガリで眉毛がつながってたって。

死ぬまぎわ、最後におばあちゃんに会ったとき言ってた。

「マドカは、いまのおばあちゃんの体の若い頃と瓜二つだねえ」って。

 

「”マドカと入れ替わったら、おばあちゃんはまだまだ生きられるけど、かわいい孫にそんなことはしないからね”」

 

って」

 

マドカが入った田崎さんの長い話を聞き終わり、俺は戦慄した。

 

『マドカの祖母の体が他人のものならば、俺がよく知っていたはずのマドカとは「何」なんだ?

血が繋がっていたはずの本当の祖母は、別人として、別の人生を強制的に歩まされてしまった。それならマドカ、お前は何者なんだ?』

 

しかしそれを問うことは、今までの話を全て事実だと認めることになるので、俺は恐ろしくてできなかった。

 

「それそろ来るころね」

「え、来るって誰が?」

「スマホに、ここにいるって書いておいたから」

「だから…」

 

玄関が開いて泣き顔のマドカが入ってきた。

「わたしの…わたしの体を返してください!」

 

「いいよ。返してあげる。でも、あたしの体で友生とセックスしたらね」

「えっ!?わ、わたしはそんなことできません」

「遠慮しないで〜。そのあたしの体ヤリマンの風俗嬢だから。加奈ちゃん、まだ男の人と付き合ったことないでしょ?普通初体験はすごく痛いけど、開発済み感度ビンビンの体で初体験できるのよ〜。超ラッキーじゃん!」

「そんなことはわたしは必要ありません!わたしの体を早く返してください!」

「おい、優しくしてりゃあつけ上がってんじゃねぇぞ?お前を戻してやるかどうかはこっちが決めるんじゃ!グチャグチャ言ってねぇで早くやらんかい!」

マドカは田崎さんの体と声でいきなり啖呵を切った。本当の田崎さんなら絶対にしないであろう暴力的な目つきと態度を見て、何故か俺は密かに興奮した。

「…なーんてね!いまのは男になったとき身につけた啖呵の切り方よぉん。そしてこれも…」

マドカ(体は田崎さん)は素早く田崎さん(体はマドカ)を羽交締めにした。

「ひっ!?」

「さあさあ友生。はやく加奈ちゃんに初体験させてあげて〜!」

「やだあっ!怖い!やめてぇ!佐藤くん!怖いよおぉぉ!」

田崎さんはマドカの体でよだれと鼻水を垂れ流して無様に号泣している。

しかし鼻水を垂れ流して無様に泣いているのは本当はいつもクールで完璧な女、憧れの田崎さんなのだと思うと、俺のものは興奮で痛いほど硬くなった。

「田崎さん、俺、ずっとあなたが好きでした。体は俺の友達のマドカだけど、俺は田崎さんを抱きます。心は田崎さんだから。俺は田崎さんが好きです。大切にするので、どうか俺に抱かれてください。俺の気持ちを受け取ってください」

「…佐藤くん」

 

俺はマドカの体の加奈さんを抱いた。マドカが加奈さんの顔でニヤニヤしながら俺たちを見ていた。

加奈さんはおびえていた。俺は壊れ物に触るように、大切に大切に加奈さんを扱った。最後ちかく、加奈ちゃんは俺の体を抱きしめてくれた。

 

「こんなことは汚いと思っていたけど、…悪くなかった。うれしかった…。佐藤くんだけは受け入れられます。あの、マドカさん、わたしを自分の体に戻していただけませんか?そして、佐藤くんに、わたしの体にキスしてほしいです…」

加奈ちゃんはマドカの顔を真っ赤にしながら、聞こえないくらいの小声で言った。

 

「田崎さん、きょう、授業が終わったらどう?」

俺はバイト先の塾で加奈に声をかけた。

加奈は顔を真っ赤にして何も言わない。

「そっかー。じゃあ残念だけど、今日はマドカと2人で楽しむしかないかー。残念だなぁ〜」

「!あ、あのっ!わ、わたしも参加します…!させてください…っ!」

消え入りそうな声で、しかしはっきりと加奈は答え、以前より短いスカートを穿くようになったそのスカートの裾を持ち上げた。

「授業のあとでどう?って言われただけで、もうこんなに…」

チラッと見えた子供っぽいダサいパンツの股間にはっきりシミができていた。

 

俺らはマドカの本で、体をシャッフルしてセックスする遊びにハマった。

俺は加奈やマドカの体で、中身が加奈やマドカになった俺の体に犯される悦びの虜になった。

加奈の体で犯されるとき、俺は本人ならば絶対にしないようなこと…舌たらずな知能が低そうな喋り方をしたり、売春婦でも言わないような卑猥な言葉を使っておねだりをしたり、お尻の穴を使うことを心掛けた。加奈自身も知らない、加奈の全ての可能性を引き出し味わいたかったのだ。

高嶺の花だった加奈の体を俺の思い通りにするのは最高の快楽だ。外部から加奈を支配するのではなく、言葉通り、俺が加奈体を動かすのだ。快感じゃないわけがない。

 

ときどき、加奈の体でデートに出かけることもある。痴女のような服を着た加奈の体で人通りの多い場所を歩くのはセックスとはまた違う甘い快感だ。

ノーパンノーブラで出かけるのが常なので、タイトな服を着た日は興奮で乳首がくっきり浮き出ているのが丸わかりになる。

すでに何人かの加奈の生徒が、中身が俺のときの加奈を目撃しているらしく噂になっているという。

 

俺の体の加奈は自分自身の恥ずかしい姿を見せつけられ「やめて…もう帰りたい…」と言うものの、帰宅してから貪るように自分の体を犯す。

いままでずっと自分だった体が他人の意思で好き勝手に動かされ、自分の体なのに自分で全くコントロールできないというもどかしさ、無力感。

プライドが高いだけにショックなようだが、男の体で自分自身を犯すことで自分の体を思い通りにコントロールしているというねじれた支配欲を感じているようだ。

いままで理性で抑えていた欲望のタガが外れた上、興味を持ったことはとことん追求しなければ気が済まない加奈が、俺ら3人の中で一番狂っているのかもしれない。

加奈の脳ははもう直らないだろう。

 

その日は久しぶりに、俺は自分の体でマドカとセックスした。

 

ことが終わったあとの気だるいひとときに、俺はマドカからおばあちゃんの話を聞いて以来、どうしても頭から離れなかったある疑問を口にした。

 

「なあ、マドカはおばあちゃんと入れ替わったことがきっかけで他人になるのが好きになったんだろ?

なのに、どうしてせっかくおばあちゃんがくれた本を田舎に置きっぱなしにしたの?」

 

「”もう必要なかったからね”」

 

“マドカ”は笑って言った。

俺と先輩♀と風俗嬢と

入れ替わり、今を生きる

KPさん
KPさん
【テルミナさん】依頼して精神的肉体的入れ替わりNTR小説を書いて頂きました!ありがとうございました!

今宵も夢をみていた。水槽の中で泳いでいる夢。何かを暗示しているのだろうか、私は別に金魚になどなっているわけではないのに、水槽の中で必死にもがいている。見えない壁であるガラスへと身体をぶつけると同時に目を覚ますのは、ここのところ頻繁にみる展開だ。自由を欲する気持ちを圧し殺している私にピッタリの起床は、今日もまたつまらない一日の始まりを意味する。
軽く化粧を施し、朝食の準備を済ませ、夫を起こす。美味しそうに食べる素振りなども皆無、気だるそうに無味乾燥で食事を終えた夫はジャケットを羽織り、家を後にする。何事もなく朝のローテーションを乗り切った私がゴミ出しのために玄関を出ると隣の住人と遭い、一言二言挨拶を交わす。

「4階の田中さんの旦那さん、オンナを連れ込んでたところに奥さんが帰ってきちゃって修羅場だったらしいわよ」
「大変ですね…」

隣の部屋に住む生瀬公子さんはゴシップ大好き、ステレオタイプな近所のおばさんだ。会う度に嘘か真かわからないような噂話を吹き込んでくる。きっと私以外の人と会った際には私についてもあることないこと喋っていると思う。そんな噂を立てられるような覚えがあるのかというと、ないと言い切ることはできない。なにぶん、ウチの夫婦関係は破綻へと向かっている。
夫・堀越圭一と私・堀越久美子(旧姓・吉川)は知人を介して出会い、一年もしないうちに結婚までトントン拍子に進んだ。私にも好きな人がいなかったわけではないが、夫と知り合った地点で既に私は三十路目前、数人の友人を除いた周囲の女子の結婚・出産ラッシュを見ていたことや、時代錯誤も甚だしい親族からの急かす声に圧され、条件的にも好物件に思えた夫とのゴールインを焦ってしまっていたのだ。初めて義父母へ挨拶へ伺った際にもすぐに子どもの話へとなった辺り、夫も同様に結婚を急いでいたのかもしれない。お互いについて深く知ることなく結婚という選択をとった私たちの関係にはたちまち暗雲が立ち込めた。初めこそ優しかった義父母は私がなかなか妊娠しないことで態度が一変、会う度に「ちゃんとセックスしているのか」「子に恵まれないのは久美子さんの責任」と言われ、私のほうから義父母との距離をとるようになった。夫との間柄も同じようなものだ。少なくとも結婚直後までは大切に接してくれていたが、籍を入れてしばらく経つと夫のほうから話しかけるのは用があるときだけ、私から話しかけると返答はいつも機械的なものと、思い描いていた夫婦生活とはほぼ遠かった。私の両親が不仲であったことや所謂毒親であったため、自分は良き親、良き妻になろうと心に決めていたのだが、その想いは僅かな時間で破壊されてしまったのだ。かといって、結婚を機に仕事を辞めてしまった手前、実家に頼るのも抵抗があり、すぐに別れるという話を切り出せるはずもなく今に至る。夫が他所で知らないオンナと関係を持っていることは私も勘付いている。決して男っ気に縁多い人生だった訳ではないが、やはり私も女、そのくらいは察するのだ。だが前述の通り、経済的理由などから決定的な証拠を掴みでもしない限りは夫に言い出せない。友だちにだって相談などしたくない。夫のほうは私と別れたいと思っているのだろうか。朝から暗い気分になった私だが、やらなければならない家事は待ってくれない。洗濯、掃除、買い物、夕飯の支度… 感謝されることのない任務は山積みなのだ。生瀬さんの長話が本格的に開始する前に上手く場から逃げた私は洗濯、掃除を片付け、簡素な身支度を済ませると、近所のスーパーへと向かおうと自宅を後にする。
昼間のスーパーマーケットは客の入りもまばら、ゆっくり品定めができる。野菜や果実等は特に状態が気になるので、この時間帯の買い物は唯一の楽しみでもあった。顔馴染みの店員が立つレジを通過、購入品の袋詰めを終え、店を出た瞬間、私は横から大きな衝撃に襲われた。

◆◇◆◇◆

う〜〜ん… 私、なにかにぶつかられて…
目に入った見知らぬ天井にここはどこだろう等と考えながら、身体を起こそうとするとどこか違和感を覚える。
あれ…? 私、こんな服着ていたっけ… 手も大き… しかも指に毛が生えてる!? ヤダ! 何よ、これ?! 髪も短くなって… 寝ている間に髪切られたってこと? ありえない! それに脚に何かあたるような…
見覚えのないズボンを下ろし、恐る恐る下を向くと、男モノのボクサーパンツを履かされている。それだけならまだよかったのだが、現実には両腿の内側に生暖かいモノが乗っかっており、パンツの上からでもわかるモッコリした形状がクッキリと浮かんでいる。

私、男になってるの……?!

あまりの驚愕から逆に落ち着きを持って気持ちの対処ができてしまった私は、部屋の隅に置かれた姿見の前へ移動してみると、見慣れた顔とは似ても似つかない美形の男性が私を見つめていた。私が右手を上げれば彼は左手を上げ、私が微笑むと彼も微笑み返してくれる。照れる私の前で同じく照れる彼の姿に、我に返った私はこのイケメンが今の私の姿なのだと仮定する。見知らぬ男になってしまった私は夫の住む家へ帰って受け入れられるのだろうか。恐らくは不法侵入として追い出されるだろう。中身が私だと言ったところで、あの人がそんなのをわかってくれるとは思えない。いや、あの人でなくたってこんな奇妙な話を信じてくれる人など殆どいないと思う。これからどうしたらいいんだろう、頭を悩ませながらも鏡に映る己の姿に魅了されていると、部屋のドアが開く。

「気づいたんですね、良かった… とはいえ、まだあまり歩き回ると危ないかもしれないのでお気をつけてくださいね」

私の無事に安堵し、容態を気遣ってくれる声に目をやると、よく見た顔がお茶を持って立っている。

「わ、私…?!」

私が他人の姿になっている以上、私の姿になっている他人がいたとしても不思議ではないのだが、頭の理解が追いつかなかった私は、目前に現れたもう一人の“私”に驚き、慌てふためく。

「落ち着いてください。ボクはその身体の持ち主で、今は貴女の身体になっているようです。ボク、片瀬浩司と申します」

もう一人の“私”は自身を《ボク》と呼ぶ。今の私の身体の持ち主ということからも中身が男性だろうというのは明白なのだが、なぜか目の前にいるもう一人の“私”はどう見たって女性にしか思えない仕草をみせる。

「あの… つまり、私と片瀬さんが入れ替わったと…?」

私の状況把握がようやく追いつきそうだと判断したもう一人の“私”は今に至った経緯を説明してくれた。どうやら私がスーパーから出た直後に片瀬さんと衝突、その衝撃で入れ替わってしまったと考えるのが現実的じゃないかと語る。人とヒトが入れ替わってしまうなど、そもそも非現実的な出来事を受け入れるのは容易ではないのだが、穏やかな彼の口調は私に理解と落ち着きを与えてくれた。しかし、幾ばくかの疑問や不安も残る。

「なんとなく状況はわかりました。ですが、片瀬さん… アナタの感じが女性の振る舞いにしか思えないんですが… それに、入れ替わりなんて誰も信じてくれないでしょうし、これからどうすれば…」

片瀬さんはどこか濁しながらも、今の自分は貴女の身体になっているのだから女性にみえるのは当然だとし、これからについてを持ち出す。

「知人に医師がいますので、まずは話をしてみましょう。その後はその… もしすぐに元に戻れないようでしたら、お互いの生活を過ごすほかないとボクは思います。勿論、堀越さんが嫌でなければというのもありますが…」

彼の言い分は最もなのだが、お互いのフリなどできるのだろうか。それに片瀬さんは私より間違いなく若いと思う。しかも彼が演じることとなる“私”としての生活には家庭という重枷がついてくる。片瀬さんの境遇も気がかりではあったが、彼に私の生活を押し付けることには罪悪感も芽生える。とはいえ、悩んでばかりいては何も見えてこない。私はもう一人の“私”と共に、知人だという医師を訪ねた。医師からは当初入れ替わっていると思い込んでいるだけではないかと言われるも、お互いに思い出せるのはそれぞれの記憶のみであること、医師と片瀬さんの交友についての記憶、私と片瀬さんは面識すらなかったことなどを伝えると徐々に入れ替わっていることを真に受けてもらえるようになっていった。改めて調べてもらうと、学術的にもヒトとヒトが入れ替わるような事象は非常に稀ながら確認されているそうで、少数だが論文もあったようだ。そこに記されていた症名は突発的相互性人格転移症とされ、事例として40代男性と20代女性、30代男性と50代女性、50代男性と10代女性がそれぞれ入れ替わってしまったケースが並んでいた。異性とはいえ、比較的年齢が近く、容姿の整った相手と入れ替わった私はかなりマシなほうだ。脂ぎったおじさんや先の短い老人と入れ替わっていたらと思うとゾッとする。起こる確率は約200万〜300万組に1組ほどという極めて低く、原因は不明、症例の殆どが異性間でみられ、元に戻れたケースはほぼみられないとのことである。記載のあったいずれも日本国内での事象として記録されているものの、社会一般が受け入れることとは別問題、実際には人格転移症などというものはオカルトの類とされ、ふざけている程度としか受け止められないだろうという医師の言葉に現実を思い知らされる。言わずもがな治療法などあるはずもない。医師の助言に加え、二人で相談に相談を重ねた結果、私と片瀬さんはお互いについて情報交換を図り、それぞれの“帰るべき”ところへと向かうことになった。

◇◆◇◆◇

片瀬さんの家もとい、今は私の家となるワンルームマンションの部屋は整理整頓も行き届き、居心地の悪さなど全く感じることのない空間で、他人の家へ一人で入るという意味での気まずさや後ろめたさのようなものはすぐに消え去った。むしろ、男性の一人暮らしと聞いていたことで想像していたようなイメージとは程遠かったことや、久しぶりの一人暮らしということに心躍る面すらあったかもしれない。男性の部屋ならでは独特のニオイこそ部屋に入ったばかりは鼻についたが、数分もすると慣れてしまい、それも感じなくなった。帰宅した後に化粧を落とす必要がないのも何十年ぶりだろうと思いながらシャワーを浴びようと着替えを探すためクローゼットを開けると、男性の部屋にはあまりないであろう服が数着目につく。一着はセーラー服だ。私が学生の頃に着ていたものと似たデザインのそれは女子が着用するものとしてはとても大きく、身体に充てがってみるとピッタリであることから、もしやそっちの趣味があるのではと悟る。もう一着は甘いロリータ風のパステルドレスだ。こちらはタグに2XLと書かれており、再び身体の前へ充てがうとちょうど良さそうなサイズ感である。間違いない、片瀬さんが自分で着用するためのものであろう。いろいろな嗜好の人間がいる時代だ、別にそこまでの偏見は持っていない私だが、ひとつの合点と少しの不安が頭をよぎる。彼が私の身体になったばっかりの段階で仕草が女性らしくみえたのはかねてよりの趣味があったからだろう。不安はどういったものかというと、なにせ彼は今私の、つまり女性の身体を有しているのだ。私の衣服を着ていることに興奮を覚えているかもしれないし、帰宅するなり着せ替えショーをセルフで楽しんでいるかもしれない。自分がルンルンで着替えを楽しんでいる姿を、しかも中身が男であることを想像するとモヤッとするところがあったがいわばお互い様、今の私はシャワーを浴びるため全裸になろうとしているのだ。彼の極部をこれから目の当たりにし、彼もまた入浴を控えていると考えると、彼が私の身体で着替える程度は些細なことに思えてきた。そんな思考を巡らせているうちに下半身を窮屈さが襲う。下腹部の中心にてパンツがパンパンに突き出されテント状に張っているのだ。これってまさか勃起…? 三十年強生きてきて初めて知る現象に驚きと恥じらい、僅かな好奇心が混じった、これまた初の感情に囚われた私が思い切ってボクサーパンツを下ろすと、ウエスト部のゴムがベロンと陰茎の先端を刺激する。電撃の走るような味わったことのない快感に私は思わずもう一度パンツを上げ、再び下ろすという滑稽な行為に興じる。快感の在処へ目線を注ぐと見慣れないモノが私の下腹部で何かを訴えるように主張している。夫をはじめ、何人かのペニスを目にしたことはあるが、一人称として上からのおちんちんとは当然ながら初対面、ましてや通常ぶら下がっているはずのモノが元気に反り立っているのだ。この奇妙な状況も相まって、私は左手を下半身へと伸ばし、そっと陰茎を握ってみる。元々は右利きであった私だが、片瀬さんの身体は左利きだったようで、無意識に伸びたのは左手だったのだが、そんなことを気にする余裕はなく、私の意識は下腹部へ集中していた。手が大きいのか陰茎が小ぶりなのか、掌に収まった肉棒を握りしめた左手を動かし始めた私はまるで全身を陰茎に支配されたかのように快感へ堕ち、すぐに手の中は白く濁った粘液で溢れる。掌に粘りつく液体を嗅いでみると鼻をつく嫌な臭いに現実を思い返す。
私ったら何をやっているんだろう。でも気持ち良かった… 自慰するなんていつぶりかしら… 男って手軽にイケていいわね、もう一回… って、ダメよ! お風呂に入るんだったでしょ、私!
自戒のもと浴室へ入り、手につく粘液を洗い流した後、身体を洗う私は膨らみのなくなった胸部についた隆々とした胸筋に女でなくなっていることを再認識させられる。大き過ぎず小さ過ぎず、程よいサイズの自慢のバストも今や私のもとを離れ、片瀬さんの胸元についているのだと思うと一瞬センチメンタルな想いに浸ったのだが、次の瞬間には私に生えているペニスが反応を示す。男の身体を有する私は、元々自分のものであったおっぱいを想像しただけで勃起してしまったのだ。これには私も参ってしまう。なにせ、私の身体のことを下手に考えるだけで興奮してしまうようになっているのだ。なんとか治めようとしたのだが、シャワーがあたることでますますアレは硬さを強め、やむなく再び射精まで達することとなった。私はこんなにもスケベな女だったのかと自己嫌悪するも、今は男になっていることを思い出し、何度もイッたことを他責にして心を落ち着かせる。髪を乾かすのも楽だった。肩の下くらいまであった髪が今や逆立つ程度の短さなのだ。あまりに短時間でドライヤーをかける必要すらなさそうなことに感動した私は冷蔵庫に入っていた缶チューハイを片手にベッドへ横たわる。アルコールなんて随分ご無沙汰だったわね。片瀬さんのほうは上手くやれているかしら… そんなことを考えながらチビチビとお酒を飲んでいるうちに眠りの世界へとおちていった。
翌朝、夫の朝食を準備しなければと定時に起きる私だったが、目覚めた部屋の景色はいつもと異なり、今の私は片瀬浩司になっていることを思い出す。起き抜けにお手洗へ行こうとした私はまたもや違和感と遭遇する。何ら変なことを考えていた訳でもなかったが、ズボンがパンパンに張っているのだ。これが朝勃ちか… 昨晩二度も射精してしまった私は、朝からエッチなことは不健全だと考え、気にせず小便を済ませようとしたのだが、大きなアクシデントに見舞われる。便座へ腰掛けて用を足そうにも、おちんちんがいうことを聞かず、下を向いてくれない。手で無理やり先端を下へ向けて尿を出すもあっちこっちに飛び散ってしまう。私ったら、慣れてない身体とはいえ、お手洗ひとつ満足にできないのかとドンヨリした気持ちに陥る。だがそんなゆっくりしていられる時間もなく、片瀬さんの代わりに大学で授業を受けなければならない。手短に身支度を整えた私は“私”の家を出る。男になったことで顔を洗い、髪をサッと整えるだけで済む朝の支度はドンヨリしていた私を少し明るい気持ちへと変えてくれた。約十年ぶりの大学生活初日を無事何ごともなく終え、私は片瀬さんとの待ちあわせ場所へと急ぐ。今日の出来事を報告しあうためだ。その道中、ふと邪な気持ちが過る。片瀬さんって年齢的には社会人でもおかしくないんだけど、実際にはまだ大学生だし、仕送りで暮らしていてバイトもしないで済んでるのよね。久しぶりの学校生活も悪くなかったし、このままでも構わないかも。それにこの身体なら…

待ち合わせしていたお店に着くと個室へ通される。中へ入ると先に到着していた“堀越久美子”が優しい笑みで私を迎えてくれた。昨晩から今の暮らしについて彼の話を伺うと、夫との会話が最小限で済んでいるのがかえって良かったらしい。たしかにボロが出そうな場面は避けたいものだ。とはいえ、誰にも感謝されることのない家事をこなすだけの私の生活に対して不満のひとつすら出ないどころか、楽しめているという発言には驚きを隠せない。やはり片瀬さんは女性になりたかったのだろうか。やんわりとであるが私は思い切って聞いてみることにした。

「私みたいなしがない専業主婦になって楽しいって、片瀬さんってもしかして…」

小さい頃から男の子と遊んでいて、友情というより好きという気持ちがあったこと、クラスで着替えなければならないときに恥ずかしかったこと、体育で男友だちと密着するときにドキドキしていたこと、成長するにつれ身体がゴツゴツしていくことに幻滅していたこと、女子から告白されて断る度に罪悪感を持っていたこと… 私が軽い気持ちで聞いたことと比べ、とてつもない重さを彼は吐露してくれた。そして偶然にも女性の身体になれたことを嬉しく思う反面、この身体は私へ返さなければならないし、男の身体を押し付けるようなことを申し訳なく思うジレンマを抱えているという。彼の話にいつの間にか涙を溢していた私は、軽率にこのままでもいいかもなどと考えていたことを恥じ、真剣に彼へ告げる。

「もし片瀬さんがこのままがいいのなら、私なんかになってしまったことで喜んでくれるのなら………」

彼は表情を明るくして頷く。私ってあんなに可愛らしい顔をできたのか。きっと中身が伴っていなかったんだろうな。兎にも角にも彼と私は自然に元に戻ることがない限り、お互いに入れ替わったことを解消しようとしないという認識で一致した。若い男子としての暮らしを満喫できるなどという軽はずみな気持ちでそういう判断をしたのではない。彼の気持ちを、願いを成就させてあげられるならという想いと共に、彼の話を受けて私もある気持ちを思い起こしたのだ。
飯島綾菜、私の親友だ。中学時代に知り合ってから大学卒業までずっと一緒だった彼女とは社会人になってからも毎週のように遊んでいた。『久美子が男だったら絶対付き合うのに』が綾菜の口癖だった。対する私も『綾菜が男になったらお嫁さんにしてよね』と返していたほど私たちは仲が良かった。そんな言葉を意識していたかどうかは不明だが、綾菜も私と同じくなかなかいい人と巡り合うことなく今も独身である。綾菜との関係に少し高いずつ距離ができたのは私が結婚した頃だ。彼女が夫に遠慮してというのもあっただろうし、先に結婚してしまった私もバツが悪く、連絡の頻度も減っていった。かといって、少なくとも私は綾菜を嫌いになったのではないし、周りから聞く様子では彼女も私を嫌いになったわけではなさそうだ。つまり、綾菜がこの姿さえ受け入れてくれれば、かつての『男だったら〜』という戯言が実現するかもしれない。片瀬さんの想いと私の思惑が予想外にも利害一致したことで、私たちはそれぞれが歩むべき道を取り替え、二人きりで頻繁に会っていると周りに見つかる可能性が高いからと原則として月に一度の近況報告会を除いては、SNS上で仮名を用いてのやり取りを主な連絡経路と決めた。そこからはまるでジェットコースターのような展開の連続で、次月の近況報告会では早速片瀬さんから大きな相談ごとを持ちかけられた。私がずっと考えていた夫との離婚である。おおらかな彼でもあの夫や義父母は耐え難かったのかと思ったのだが、別にそこまで嫌だったわけではなく、付き合いたい男の人がいるから筋を通すためだという。夫が不倫していることを伝え、やり返してやればいいのよと言うと、彼は私を気遣う言葉に続けて、別れる前に自身も不義理をしては損をしかねないと冷静に語る。グズグズとまだ綾菜に会いにすら行っていない、且つ浮気し返してやれなどと浅はかな考えに私は自分を情けなく思う。身体ばかり男性になっても、中身は結局気の弱い堀越久美子のままだと痛感し、次の報告会では私も彼女ができたと報告したいと意気込む。
今の私は片瀬浩司になっているため、いきなり綾菜へ電話をかけることはできなかったが、新しい私と綾菜との出会いの場を設けるのは容易かった。というのも、綾菜の職業は某有名衣料品店での接客業、しかもメンズを中心に扱っている衣料品店であることも都合がよかった。私は彼女がフロアに立っているタイミングで店舗を訪れては、いろいろと服の相談を繰り返す。片瀬浩司の外見は女性ウケも良い。綾菜もご多分に漏れず、私が話しかけるのを好意的に受け止めてくれているようで、何度か店を訪ねた際にデートへ誘うと『ナイショですよ』といいながらも快く応じてくれる。男としての初デートはスムーズにコトを進めることもできた。いつもよりおめかしした綾菜はかわいいというよりも美しいという言葉が似合っており、彼女の仕草一つひとつにドキッとしてしまうほどだ。これは私の心までもが男になってきた顕れかとも思ったが、以前から綾菜のことが好きだったことを鑑みれば当たり前なのかもしれない。そんなデートを数回行っていたある日、彼女の口から“堀越久美子”の話題が出る。

「わたし、久美子っていう親友がいるんだけど、浩司くんってその子にどこか似てるんだよね〜。よく久美子が男だったら付き合いたいなんて言っててさ。わたしも久々に彼氏欲しいなぁ」

彼女からすれば何気ない一言なのだが、私にとっては嬉しさと怖さが共存した大きな言葉だった。姿かたちが異なるにも関わらず、私というアイデンティティを感じとってくれた喜び、もし片瀬浩司の中身が私であるとバレてしまい騙されたと思われる恐怖… 適当に話をぼやかし、その場をやり過ごせば私は片瀬浩司として綾菜と付き合えるはず… だが、もう一人の“私”の姿勢が頭によぎった私は彼女へ思い切って告白する。

「綾菜さん、ううん、綾菜… 僕、いや、私… 本当は片瀬浩司じゃなくて、久美子なの!」

「な、何言ってんの…? そんなことあるはず… どういうこと?!」

目の前にいる男性が突然自分は女で、しかも中身が別人だと言い出したのだ。綾菜の反応は至極普通である。だが彼女は冗談だと受け流すのではなく、興味を持って詳しく話を訊いてくれた。私がこれまでの経緯を真摯に語ると、信じ難い様子を完全に覆い返すまで至ったかはわからないが、私の話が嘘や冗談ではないと受け入れてくれるまでに至った。

「つまり、久美子と浩司くんはそのナントカ症で入れ替わったってことよね。ってことは、わたしが浩司くんと出会ったときには既に中身は久美子… もしかして、わたし久美子にときめいてたってこと?」

片瀬浩司のことが好きという気持ちをちょこちょこ匂わせていた綾菜はガッカリしている雰囲気も多少醸し出していたが、満更でもない様子のほうが強くみえる。私はここぞと勢いで彼女へ告げる。

「私は今も昔も綾菜がずっと好きだった。こんな私だけど、良かったら付き合ってください!」

私から自発的に幸せを掴みにいくなんて三十年ほど生きてきて初めてだ。生まれて初めての彼女ができ、心から愛する人と結ばれるまでにそう時間はかからなかった。年下のイケメンということで少し遠慮があった綾菜も、中身が親友だと知ってからは以前と同じような絡み方をしてくれるようになり『男ってどんな感じなの?』などと綾菜側から誂う場面もチラホラとみられるほど、私たちは仲睦まじいカップルとなることができた。

数ヶ月経ったある月の状況報告会にて彼女ができた旨を片瀬さんへ話すと、彼はとても喜んでくれた。彼のほうも夫との離婚が成立し、新たなパートナーとの生活をまもなく始めるという。彼は満面の笑みで私の知らない男性に抱きしめられた写真を見せてくれた。見知らぬ男性に抱きしめられた自分の姿を見るのは恥ずかしかったがお互い様だと思うと、赤らめた頬はすぐに熱を下げる。意外だったのは、彼の、もう一人の“私”の彼氏は片瀬さんの旧友ではなく、あの夫の知人だということだ。私は面識のない方だが、夫の知人とくっつくことを選んだのは不倫への復讐という側面を持っているのかなど踏み込んだ話を聞きたいとも思ったが、私には関係のないことだと言葉を飲み込む。どこまで本気かはわからないが私と綾菜、片瀬さんとパートナーの男性でダブルデートや同じタイミングで結婚式をするなんかの話も出始めるくらいに、私も片瀬さんも幸せを手にしたようである。もう私は片瀬浩司であり、彼は吉川久美子なのだ。だが、私たちは二人で会うときにお互いの名前、お互いの口調で話をしようと決めていた。それぞれのパートナーの前でどう呼ばれているかは私も話していないし、彼からも聞いていない。彼がパートナーへ入れ替わりをカミングアウトしているかどうかもしらない。だからこそ、私だけは彼を元・片瀬浩司として扱おうと思う。彼は自分が男性であったことを黒歴史だと考えたいかもしれない。しかし今、吉川久美子となっている片瀬浩司を消し去る必要はない。なにしろ“カノジョ”は私が久美子だったときよりも魅力的な女性なのだ。

◆◇◆◇◆

木もれ陽が躍る昼なか、車窓から子どもたちが遊ぶ公園のベンチにて二人の女性が談笑を交わしている姿を見かけた。一人は私の妻、もう一人はかつての私である。あれから三年半ほど経った。風の噂では元夫は“久美子さん”に愛想を尽かされるとは思いもしなかったようで、離婚には大きなショックを受けたらしい。私のぶんまでフってくれたと聞いたとカノジョから聞いた際には胸のつかえがとれたような気がした。
程なくして私は綾菜と、“久美子さん”はカノジョのパートナーと結ばれ、それぞれ新たな生命にも恵まれた。我が家ーーつまり片瀬家では私が綾菜の尻に敷かれながらも仲良くやっている。“久美子”さんによるとカノジョは良妻賢母、夫を立てるような家庭を築いているとのことだ。人生の交錯という運命の悪戯に遭った私たちは次の世代でも運命を共にするかの如く、同時期の妊娠・出産を迎えた。誕生日こそズレたため、学年は奇跡的に同じにはならなかったものの、僅か数日違いで産まれた二人の男女にも運命的なものを感じずにはいられない。私と“久美子さん”が状況報告し合う頻度も最近では月イチから数ヶ月に一度まで減った。それぞれの人生へ干渉したくないというのが大きな理由である。決して仲が悪くなったなどということはない。むしろ“久美子さん”と私が男女の関係になるのではと綾菜が時折疑うほどの間柄だ。表裏一体の私たちは異なる道を歩みながら、同じ道を生きる。私は浩司に、カノジョは久美子になれて本当に良かったのだと思う。今が自分らしく在るのだから……

KPさん
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