人外との入れ替わり

小説の人外との入れ替わり②【1作品】

人外との入れ替わり2

今回は、小説の人外との入れ替わりを1作品紹介していきます。

 

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時間からの影

作品タイトル/著者 簡単なあらすじ 収録書籍/ソフト
『時間からの影』
著者:H・P・ラヴクラフト
男性は5年間、遠い過去の生物と入れ替えられていた。 東京創元社
創元推理文庫
『ラヴクラフト全集』
第3巻

※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。

 

大学教授のナサニエル・ウィンゲイト・ビースリーは、1908年から1913年までの間の記憶を失っていた。

実はその5年間、ナサニエルは1億5千年前の大いなる種族と入れ替えられていたのだ。

 

5年間の記憶を失っていたナサニエルが、その間の悪夢を見るようになり、その悪夢の内容や他人から聞いた自分の変化を語っているというストーリーです。

↓5年前の授業中に突然意識を失ったナサニエルは、人が変わったようになったようです。

ナサニエルの身体を乗っ取った大いなる種族は、入れ替わったことを隠してぎこちない振る舞いをします。

五月十五日の午前三時に、わたしは目を開けてしゃべりはじめたが、まもなく医者と家族の者たちは、わたしの顔つきと話す言葉におびえるようになた。明らかに、わたしは自分の素姓と過去の記憶をなくしていたのだが、どういうわけか、この記憶の欠如を隠したがっていたらしい。まわりの者を見つめるわたしの目はよそよそしく、顔の筋肉もまったく見慣れない動き方をしたという。
しゃべり方までがぎごちなく、外国人のようだった。わたしは発声器官を不器用に、まさぐるように使って発声し、書物から苦労して英語を学びとったかのように、言葉づかいは妙にかたくるしいところがあった。発生は耳ざわりなくらい異質で、独特のいいまわしには妙な古語の断片や、まったく理解できない表現がふくまれていたらしい。

 

本当は円錐型の奇怪な生物である大いなる種族(身体はナサニエル)が、人間の手足を動かすのに苦労するところが美味しいです。

大いなる種族(身体はナサニエル)は、知的好奇心が非常に旺盛で、ナサニエルのいる時代の知識を次々と吸収していきます。

ナサニエルが二重人格になったと怖がった妻子が、ナサニエルの知らない間に去っていってしまったのはかわいそうでしたね。

 

↓5年間にあったことを周囲から聞いたナサニエルは混乱しつつも、現在とは別の時間軸で生きている大いなる種族が過去や未来の生物と身体を入れ替えて知識を得ていると考えるようになります。

ナサニエルが大いなる種族として過ごした時の夢の描写はかなり奇妙でした。

未来の知識を入手する場合、その作業は簡単であり、また物質的でもあった。適当な機械の助けをかりて、精神は、待望の時代に近づくまで、ぼんやりとした超感覚的な道のりを感じながら、時間の先へと自らを投影する。そして予備的な吟味をおこなった後、その時代の生命体のなかで最も高度な種を代表する、見いだしうるかぎり最良の有機体を補える。有機体の脳に入りこみ、脳のなかで自己の精神波を生じさせる。一方、追いだされた精神は追いだした精神の時代へ移され、逆転処置がとられるまで追いだした精神の体内にそのままとどまることになる。
未来の有機体の体に投影された精神は、体つきを等しくする種族の一員となりすまし、選んだ時代から学びとれるもののすべてと、その時代に蓄積された情報と技術をできるだけ早く習得する。
その間、追いだした精神の時代と体内に投げこまれた追いだされた精神は、注意深く監視される。占有する体を傷つけないようにされ、熟練した尋問者によってすべての知識を奪いとられる。しばしばその精神の言語によって尋問されることもある。これができるのは、先におこなわれた未来の探求によって、その言語の記録がもち帰られている場合である。

 

↓大いなる種族の身体もとても奇妙でした。

ナサニエル(身体は大いなる種族)は、大いなる種族の身体を観察し、慣れた後は大いなる種族の生態を調査します。

他にも、ナサニエルとは別の時代から大いなる種族と入れ替えられた人々もおり、意見交換をしたようです。

<大いなる種族>の体は、高さ十フィートにおよぶ皺の多い巨大な円錐体で、頭や他の器官は、円錐体の頂部からのびる厚さ一フィートの膨張可能な幾本もの肢の先に備わっていた。四本ある肢のうち、二本の先端についた巨大な鉤爪とも鋏ともつかぬものをかみあわせたり、こすったりして会話をおこない、十フィートある底部に備わる粘着層を伸縮させて歩行した。

やがて自分の体を見おろしてみたいという病的な欲求がしだいに高まり、ついにある夜、その欲求をおさえきれなくなった。最初は視線を下にむけても何も見えなかった。一瞬の後、これは途方もない長さをした、しなやかな首の先端に、自分の頭が位置しているためだということに気づいた。この首をひっこめ、注意深く見おろしてみると、鱗をもち、隆起があり、虹色に輝く、高さ十フィートの、巨大な円錐体が目に入った。わたしが半狂乱になって眠りの淵からはねおき、すさまじい絶叫をあげて、アーカムの住民の半数の眠りを破ったのはそのときだった。
恐怖を繰返し何週間にもわたって味わった後、わたしはようやく、奇怪な体をまとう自分の姿をなかばあきらめにも似た気持ちでうけいれるようになった。夢のなかのわたしは、いまや肉体を備えた存在として、他の未知の存在にたちまざって移動し、果てしなくつづく書棚から、恐ろしい書物をとりだして読んだり、卓をまえにして、頭部からたれさがる緑色の触手で尖筆を操りながら、何時間にもわたって筆記したりした。

 

↓基本的には入れ替わりは元に戻してもらえるようですが、死にそうな大いなる種族に入れ替えられた人物や、入れ替わっている間に元の身体が死んだ人物は、一生を大いなる種族として過ごさねばならないようです。

そういう捕われの精神は、死に直面して、精神の消滅を免れようとした<大いなる種族>の鋭敏な精神によって、未来における自分の体が奪われてしまい、死にむかいつつある<大いなる種族>の体内に、死ぬまで閉じこめられたままになっているのだ。

精神を交換している際に、どちらかの体が死んでしまった場合にのみ、この復帰は不可能になる。もちろんそんな場合には、探求に出かけた<大いなる種族>の精神は――死を免れた精神のように――異質な体のまま未来の世界で一生をおえるか、あるいは捕われの精神が――死に瀕した永遠の俘囚のように――<大いなる種族>の姿のまま、過去の世界で、天寿をまっとうしなければならない。

 

↓大いなる種族は知識と長寿を求めているので、より長寿の生物の身体を集団で奪うこともあるらしいです。

円錐型の生物も元々の大いなる種族の身体ではなく、入れ替えられた後の元の円錐型の生物は滅びたようです。無常で最高です。

後は、夢の内容に関して半信半疑だったナサニエルが、大いなる種族の遺跡を訪れ、「ナサニエルの筆跡で書かれた書物」を見つけて、夢ではなかったと思うようなストーリーでした。

窮極の秘密を知りつつ、滅びゆく旧世界に住む聡明な生物が、長い天命を享受できそうな新しい世界と種を未来に探し求め、自分たちが宿るのに最もふさわしい未来の種族――十億年まえの地球に生息していた円錐状生物――のなかに、一団となって精神を送りこんだのだ。
このようにして<大いなる種族>は到来したのだが、自らの体から追いだされた何万もの精神は、奇怪な体に宿って戦きながら死滅の一途をたどった。<大いなる種族>は、さらに後にふたたび死に直面することがあっても、また最良の精神を、長い肉体寿命をもつ未来生物の体に送りこむことで、生きながらえるだろう。

 

 

今回は、小説の人外との入れ替わりを1作品紹介しました。

読んでいただいてありがとうございました!

 

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