今回は、児童書の男同士入れ替わりを10作品紹介していきます。
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もくじ
天才モーツァルト様の華麗なる日々
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『天才モーツァルト様の華麗なる日々』 著者:石川千穂子 | 男の子がモーツァルトと入れ替わる。 | 日本児童文芸家協会 児童文芸 2019年8・9月号 「特集:創作競作とんだ入れかわり!?」 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
モーツァルトの名誉を傷つけた罰として、音楽教師からモーツァルトの曲を弾けと言われた坂下ユウヤ。
音楽室で困り果てて、モーツァルトの肖像画に話しかけたら、中からモーツァルトが現れ、さらにユウヤと入れ替わってしまった。
モーツァルトは演奏旅行の予定があったので、ユウヤが代わりに参加することに…
1778年のパリの宮殿にテンションが上がるユウヤ(身体はモーツァルト)。
ピアノを弾けと言われ、頑張って弾くところが好きですね。
マリー・アントワネットとの絡みも良かったです。
一方、ユウヤになったモーツァルトの演奏会も大成功。
最後は、モーツァルト(身体はユウヤ)がユウヤの生活を気に入ってしまい、身体を返してくれなくなります(笑)
ピッタン・コイン
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ピッタン・コイン』 著者:西村友里 | 男の子が担任の先生と入れ替わる。 | 日本児童文芸家協会 児童文芸 2019年8・9月号 「特集:創作競作とんだ入れかわり!?」 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
小学6年生の山本は、母親からの期待が重く体調を崩しており、担任の相川が心配して何度も家庭訪問に来てくれていた。
ある日、山本は祖父から貰ったコインの力で、気がついたら相川と入れ替わっていた。
山本が相川のフリをして、クラスメイトと話すシーンが良かったです。
山本は相川のことを何もわかっていない先生だと思っていましたが、入れ替わりを通じて一番心配してくれていたと知るのでした。
父さんにVサイン
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『父さんにVサイン』 著者:こうまるみづほ | 男の子が病気の父親と入れ替わる。 | 日本児童文芸家協会 児童文芸 2019年8・9月号 「特集:創作競作とんだ入れかわり!?」 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
仕事ばかりで遊んでくれない父親を良く思っていない圭。
ある日、父親が急病になり、病院に運ばれる事態になった。
圭が病院で寝ている父親を見舞っていたら、突然二人は入れ替わってしまう。
圭(身体は父親)が声が低いことを訝しがるところが良かったです。
父親の身体は病気で、5年後の生存確率が50%なのは圭には酷すぎ…
圭(身体は父親)と父親(身体は圭)の会話がアツい。最後は元に戻ります。
オウマガドキ学園(入れかわった兄弟)
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『入れかわった兄弟』 著者:久保華誉 | 兄弟が幽体離脱して入れ替わる。 | 童心社 『怪談オウマガドキ学園16 保健室で見たこわい夢』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
しっかり者の兄とのんびり者の弟が、山仕事の休憩中に居眠りをしたら、鼻から虫が出てきて幽体離脱し、戻るときに別々の身体に入ったために入れ替わってしまった。
いつもと違う様子の二人に、周囲は困惑してしまう。
兄も弟も入れ替わったことを認識していません。
兄の妻に偉そうにする弟(中身は兄)に、弟の席で小さくなって座っている兄(中身は弟)が面白い。
二人は元に戻らなかったようです。
リトル・パパ
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『リトル・パパ』 著者:パット・ムーン 訳:もりうちすみこ 絵:タカタカヲリ | 父親と幼児の息子が入れ替わる。 | 文研出版 文研ブックランド 『リトル・パパ』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
三人兄弟の末っ子のベンジーは、いつも「小さいから」と我慢させられることが多かった。
一方、自宅で仕事をしている父親・ジョージは、子供たちが騒がしくて限界を迎えていた。
ある日、父親は「小さくなりたい」、ベンジーは「大きくなりたい」と叫んだところ、何故か二人は入れ替わってしまう。
↓念願が叶って大きくなれたベンジーは、父親の身体で暴れまくります。
家族の中で一番力が強い大人の身体を手に入れた赤ちゃんほどたちの悪いものはありません(笑)
「見て、見て、ベンジー、おーちい!」それから、そこらじゅうをピョンピョンはねまわった。まるで、ベンジーみたいに。
↓まさか本当に入れ替わるとは思っていなかった父親(身体はベンジー)は、当然大混乱…
困惑する母親・兄・姉もおいしいです。
「ベンジー、見て。パパったら、おかしいわね。」
でも、ベンジーはわらわなかった。
ぎょっとした顔でママを見上げ、それから、自分のぽっちゃりしたおなか、ちっちゃな手、手の中のうすよごれた「モーモー」を見つめた。
そして、ヒーッとのどをつまらせると、キーキー声で、しゃべりだした。
「いったいぜんたい、どうなってるんだ?なんで、おれは、こんなよだれまみれのタオルケットなんか、にぎりしめてるんだ?こんなとこで、おれはいったい何やってるんだ?」
↓オムツネタが多くて個人的に興奮しました。
父親(身体はベンジー)はおむつを恥ずかしがって脱ぎますが、結局おねしょしてしまいます。
息子と娘におねしょのフォローをされる父親(身体はベンジー)が最高ですね。
そういいながら、ベンジーは、ちっちゃな手でベビー服を引っぱった。
そして、おむつにはじめて気がついたように、大声を上げた。
「なんてこった!おむつまで!」
ホリーがしゃがんで、ベンジーにやさしくいいきかせた。
「ベンジー、おむつするの、あたりまえでしょ。だって、あなた、まだ2才なんだから。」
「やめろ!やめさせてくれ!おれの絵が!おれの作品が!!」
ちっちゃいパパが、ちっちゃなこぶしをふりたて、自分のつくえにむかってトコトコかけだした。一生けんめい速く走っているらしいけど、おむつをしているから、トコトコがせいいっぱいなのだ。
「早いとこ、このおむつをはずしてくれ!」
「ぼくが、はずしてあげる。さあ、パパ、ねころがって、両足を上げて」と、ぼくはもうしでた。
「気持ちはありがたいが、おまえじゃなくて、ママにやってもらおう。べつの部屋で。」
「でも、パパ、赤ちゃんなんだから、かまわないんじゃない?ぼく、ベンジーのおむつ、何度もかえたことあるから、上手だよ。」
「じょうず、へたの問題じゃない!自分の子どもにおむつをかえてもらうなんて、そんなことができるか!」
「もちろん、おねしょをするの、あたりまえよ、パパ。」とホリーがいった。
「そうさ。してもいいんだよ、パパ。」と、ぼくもいった。
パパは、顔を赤くしたまま、だまっていた。
↓その間にも、ベンジー(身体は父親)は好き放題。
兄と姉のコメントが辛辣で良かったです。
父親(身体はベンジー)は、赤ちゃんの身体なので、早く眠くなる様子。
そのあいだに、でっかいベンジーは、どんどん服をぬいでいる。最近、自分でぬげるようになったので、ぬぐのが楽しくてしかたがないのだ。
赤んぼうのベンジーが服をぬいで、はだかんぼうになるのは、かわいかった。
でも、今のベンジーは、パパのからだだ。おせじにも、かわいいとはいえない。
それなのに、もうランニングシャツすがたになっている。
「ぼくたち、おむつをしたちっちゃいパパをもつことになったわけか。」
「それと、赤んぼうのくせに、ぶしょうひげとすね毛の生えた身長2メートルの弟もね。」
↓ベンジー(身体は父親)は、父親(身体はベンジー)を赤ちゃん扱いしてご飯を食べさせます。
身体能力は身体準拠なのか、父親はベンジーの身体を上手に動かせないようです。
いつものイスにすわったパパは、一生けんめい首をのばしているけど、ちっちゃな頭のてっぺんが、テーブルからちょっぴり出ているだけだ。コーヒーを飲もうとしたが、カップがちゃんと持てないから、くちびるをやけどしてしまった。コーンフレークを食べようにも、スプーンをうまく口にはこべないので、こぼしてばっかりだ。
「ベンジー、赤ちゃんに、アムアムちてあげる。」
でっかいベンジーがそういって、ちっちゃいパパの口の中へ、コーンフレークをスプーンでどんどんつめこみはじめた。
他にも色々とおいしい場面がありすぎて、書ききれませんw
運転ネタや、病院でベンジー(身体は父親)が奇異の目で見られたり、家族総出で病院の先生に相談しても信じてもらえなかったり、ベンジー(身体は父親)は髭剃りができないので無精ひげが生えていたり…
↓個人的には、病院のシーンが特に良かったですね。
ぼくが読んでやろうとしているのは、赤ちゃん絵本だ。自分の父親に赤ちゃん絵本を読んであげる小学生っていうのも、かなりヘンじゃないか?
そのあいだに、でっかいベンジーは、部屋のすみにおいてあるおもちゃ箱のほうへ歩いていった。そこにあった幼児用の赤いプラスチックのイスに、むりやりすわろうとしている。
これって、ぼくさえわらっちゃうほど、こっけいだ。
となりのおじさんは、あやしいものでも見るように、広げた新聞ごしに、そのようすに見入っている。
↓徐々に父親(身体はベンジー)が現実逃避したのか幼児化していき、子供として遊び始めるところも熱かったです。
母親は精神崩壊したのか、いつもニコニコしているだけのようです(笑)
ぼくたちが仕事部屋に入っていくと、ちっちゃいパパは、ベンジーのプラスチックの三輪車に乗って、楽しそうにグルグルまわっていた。
「これが、こんなに快適だったとはな!こんなに気楽な気分になったのは、ちっちゃかったころ以来だなあ。」
「今も、ちっちゃいけどね。」とぼくはいってやった。
パパは知らん顔して、三輪車をこいで部屋を出ていった。
「サム、ちょっと見て、パパの絵。」と、ホリーが小声でよんだ。
パパのかいた絵は、幼稚園児の落書きみたいだった。
この後は、ベンジー(身体は父親)が大の大人の身体ではしゃぐおぞましい絵面を解決しようと、兄姉が奔走。
何とか、ベンジー(身体は父親)に「ちっちゃくなりたい」と言わせるように頑張ります。
今のベンジー(身体は父親)の力には勝てないので、仕方なく遊びに付き合う兄姉が良かったですね。
びっくりそっくりしゃっくりようかん
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『びっくりそっくりしゃっくりようかん』 著者:廣田衣世 | 小学生男子と校長先生が栗羊羹を食べて入れ替わる。 | 毎日新聞社 『びっくりそっくりしゃっくりようかん』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
老舗和菓子店の跡取りの太一は、校長先生の大森丸男と大の仲良し。
ある日、不思議な栗で作った新作栗羊羹を一緒に食べた二人は、身体が入れ替わってしまう。
↓変身で入れ替わっている?ようで、変身シーンがあります。
もにょ、もにょ、もにょ、もにょ。
とつぜん、だれかに体中をくすぐられたような、たくさんの手で全身をもみほぐされたような、不気味な感触におそわれた。
「うわっ、うわわっ、な、なんだ!?」
足のうらが、モコッともりあがったかと思うと、むくむくむくって背が伸びた。いきなりお腹がぱふんとふくれて、ほっぺたの肉がぼよんとたれた。目の前がじょじょに暗くなり、どこからともなく、甘い香りがただよってくる。それはさっきぼくらが食べた、栗ようかんのにおいにそっくりだった。
↓入れ替わった直後のリアクションが良かったです。
ぼくの目の前に、ぼくの服を着たぼくがいる!自分の目の前に、自分が立ってる!なんで?どうして?
これは鏡?大きい鏡を見てるのか?
いや、ちがう、鏡なんかじゃない!ぼくが今着てるのは、校長先生の紺色の背広だよ!
あれっ?アレッ??
あれれーっ???
「ぼ、ぼ、ぼく、校長先生になってる!」
「わ、わ、わたしは太一君になっとるぞ!」
二人が慌てていると、「校長先生」宛てに職員会議の校内放送が…
仕方なく、教頭先生に呼ばれて太一(身体は校長先生)が校長先生として職員会議に出席することに。
太一(身体は校長先生)は、権力のある校長先生の身体で給食や授業について無理難題を話し始めて周囲は唖然w
窓から覗いていた校長先生(身体は太一)が頭を抱えるところが良かったですね。
↓年齢差のある入れ替わりなので、身体能力の違いもおいしいです。
走って走って、学校から三百メートルほどにげたところで、ぼくは早くも息があがってしまった。そりゃ、むりもない。しゃっくりがとまらない上に、丸ちゃん先生のまんまるな体で、ドスドスふぅふぅ必死に走ってるんだから。
「ちょっと待って、タイム、タイム!」
転がるようにぼくがたおれこむと、校長先生も、やっとこさで立ちどまった。
「校長先生、この体、重すぎてこまるよ」
「しかし、なんだね。太一君の体はものすごく軽くて、おどろいちゃったよ。こんなに速く走れたのって、何十年ぶりだろう。何だか胸がドキドキしてるよ」
だけど自分の方は、逆立ちやエビぞりのポーズが、いともカンタンにできるのがうれしいらしく、何回もくり返しては、キャッキャとはしゃぎ回っている。
「太一君、見て見て!逆立ちも側転も、ほら、倒立前転まで軽々できちゃうよ!」
元に戻る方法がわからないので、仕方なく二人はお互いの生活を交換することに。
太一の祖父に入れ替わりを話したら、元に戻る方法を探してくれることになりました。
太一(身体は校長先生)が、校長先生の財布を使って、玩具を大人買いするところがかわいくて好きですね。
玩具について詳しい校長先生(中身は太一)に、クラスメイト達は唖然w
↓食事ネタも良かったです。
食事制限をしている校長先生(身体は太一)は、子供向けの夕食が食べられず…
「あのう、すみませんが、わたし、油物はひかえておりまして、できれば焼き魚か野菜の煮物などがありましたら……」
おずおずしたその言葉に、家族中がそろって「はぁ?」とかぶりをねじった。
↓太一(身体は校長先生)は、校長先生向けの健康食が食べられず…
校長先生の家に帰り、校長先生の奥さんと絡む太一(身体は校長先生)が最高でした。
大人になったからと喜んでビールを飲みますが、苦くてマズかった…という場面も良かったですw
「あら。あなた、それなぁに?」
奥さんは、さっと袋をひったくった。
「まぁ、何ですか!こんなにいっぱいポテトチップスなんか買ってきて!お菓子は週に一回、それも低カロリーの和菓子だけって、お医者様にも言われてるでしょう?これは全部没収します!」
「ええっ!?」
ぼくはわが耳を疑った。大好きなお菓子が週一回しか、しかも和菓子しか食べられないなんて、そんなせっしょうな!
翌朝、太一(身体は校長先生)は校長先生の身体でおねしょw
太一(身体は校長先生)は根が良い子で、校長先生のお金を勝手に使ってしまったことを校長先生(身体は太一)に泣きながら謝ります。
校長先生(身体は太一)も優しい(笑)
元に戻るには、ずっと止まらないしゃっくりを止めれば良いらしいですが、色々試しても元に戻れず、今日も入れ替わった状態で学校へ行くことに。
太一が密かに好きな隣の席の愛美と仲良くしている校長先生(身体は太一)を見て、嫉妬する太一(身体は校長先生)がかわいいです。
勉強を教えたお礼に愛美がキスしてあげると言い始め、照れる校長先生(身体は太一)もピュアでかわいいです。
この後は、幼少期にいじめっ子に命令されて好きな女の子の運動靴を木の節穴に隠してしまったことをずっと悔やんでいた校長先生が、太一の身体で木登りをする展開。
運動靴を手にした瞬間、校長先生(身体は太一)は足を滑らせて転落してしまい、下にいた太一(身体は校長先生)とぶつかって元に戻ります。
身がわりをのみこむ池
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『身がわりをのみこむ池』 著者:橋詰貴世子 | 入れ替わり体質の池で小学生男子が入れ替わる。 | 偕成社 『みんなこわい話4 図工室・うわさのミステリー』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
小学生のゆうたの隣に住む一つ年上のとしおは、一年前の自然体験塾をきっかけに人が変わったように強くなっていた。
今回、ゆうたも友達のたかしと一緒に渋々自然体験塾に参加することになった。
自然体験塾の三日目、光っている池を覗きこんだゆうたは、池に引きずり込まれ、代わりにゆうたそっくりの人間が出てきた。
↓としおの人が変わった描写が良かったですね。入れ替わりフラグですw
ぼくんちのとなりのとしおちゃんは、ぼくよりひとつ年上だ。ぼくと同じで、やせっぽち。話しやすくて、すきだった。
それが、去年、この塾でいろいろ体験してきたら、たくしくて強くなった。だけど、なんだか、性格がかわったみたいだ。
母さんは、としおちゃんみたいになっておいでっていうし、たかしなんか、すごく乗り気だった。
↓ゆうたが池を覗き込んだら、中からゆうたそっくりの人間が…
なにかが池の上に立ちあがった。人、人間だ。体のまわりからは、ポタポタとしずくがおちて……。
そんな、まさか、でも、あれはぼく?たしかに、ぼくそっくり。
そいつが口をひらいた。
「よかったよ、きみがきてくれて。さあ、こうたいだ。こんどは、きみが池に入る番だ。」
ぼくの体が、池のほうにひっぱられる。強い力だ。
↓ゆうたの身体を奪ったとしおのダークなセリフが最高。
としおも去年、池にいた何者かに身体を奪われていたらしい。
ゆうたは池の底で、次に誰かが池を覗くまで待つことに…
そいつは池の外にでた。もう、体からは水が落ちていない。そして、にっこりわらった。
「ありがとう、きてくれて。ぼく、ほんとはとしおなんだ。でも、これからは、ゆうちゃんになるんだ。よかった。ゆうちゃんのことだったら、なんでも知ってるもん。」
「ゆうちゃん、さがしたぞ。」
「だめじゃないか、うごいちゃ。」
たかしと先生だ。
「うん、ごめん。」
天井裏の木箱
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『天井裏の木箱』 著者:山口理 | 小学生男子が木箱を開けたら寝たきりの祖父と入れ替わった。 | いかだ社 『心霊スポットへようこそ Mの叫び』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
夏休みに寝たきりの祖父を見舞いに来た小学生のまさし。
雨漏りを珍しがったまさしが天井裏を探検していたら、謎の木箱を見つけた。
祖父の必死の制止も聞かずに木箱を開けてしまったまさしは、煙に巻かれて祖父と入れ替わってしまう。
↓若くて健康なまさしの身体を手に入れた祖父は、喜んで外に遊びに行ってしまいました。
謝りつつも、入れ替わったのはまさしの自業自得という祖父が黒くて好きですね。
「だから言ったじゃろう。開けちゃいかんと。うーん、それにしてもやっぱり若い体はいいのう。元気に満ちあふれとる。すまんなあ、まさし。でもこれは自業自得というもんじゃ。どれ、久しぶりに外へ遊びにでも行ってくるか。」
そう言ってぼくは……いや、ぼくの体ははずむようにして玄関へ向かった。
↓寝たきりで動けず、声を出すこともままならない祖父の身体になったまさしは、母親に何も伝えることができず悲惨です。
元に戻らないまま終わります。
【声が出ない。ああ、体中が痛い。息が苦しい】
【違う。ぼくはおじいちゃんじゃない!まさしだよ、おかあさん!】
「それにしてもまさしはどこへ行ったのかしら。まあいいわ。それよりおじいちゃん、お薬の時間よ。はい、口を開けて……」
いれかわったたましい
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『いれかわったたましい』 著者:神戸淳吉、高橋宏幸 | 旅人と村人が幽体離脱して入れ替わる。 | ポプラ社 『こわさ120%超怪談!!⑦ ユーレイがよんでいるの巻』 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
旅人と村人の与平が伊勢の国の長源寺で居眠りをしたところ、魂が飛び出して別々の身体に入り、入れ替わってしまった。
二人は入れ替わったことに気がつかず、周囲の人は大混乱してしまう。
周囲が入れ替わったことを指摘しても、二人は怒り出すだけです。
二人はもう一度寝て元に戻りますが、入れ替わっていた間の記憶はないようでした。
↑おまけの絵が好きですねw
ぼくの体をかえせ
作品タイトル/著者 | 簡単なあらすじ | 収録書籍/ソフト |
『ぼくの体をかえせ』 著者:千葉幹夫 | 交通事故に遭った小学生の男の子同士が幽体離脱して入れ替わる。 | 講談社 講談社KK文庫 『わたしは幽霊をみた』 第2巻 |
※本項目の画像は、全て上記作品からの出典です。
交通事故に遭って幽体離脱した11歳の武は、死にたくなくて他人の身体に入り込んで生きることを思いついた。
武は、近くに同じように交通事故を起こして瀕死だった同じくらいの年齢の俊男に憑依して、俊男として生活を始めるが…
↓俊男も幽体離脱していて、武は無理やり俊男の身体に入り込みます(笑)
「きみも、ひどい目にあったんだなあ。とにかく、きみの体をかりるよ。時間がないんだ。」
ぼくはあわてて男の子の口から体の中に入りこんだ。
「まて!」
という、低い声がきこえたが、かまっているひまはない。
俊男は、武よりも体格が良いようです。
↓武(身体は俊男)が、俊男の魂に申し訳ないとは全く思わず、すっかり俊男として生きていく気満々なところが最高w
で、どうなったかというと、男の子の体はぶじにこの世にとどまった。ということは、ぼくの魂がこの世にとどまったということだ。やったあ、といいたいところなんだけど……。
まず、ぼくは二か月ほど入院した。ぼくの名まえは俊男。父母の顔とか、兄がひとりいることなんかがわかった。
武(身体は俊男)は、入院中に俊男の情報を集めます。
↓俊男は、武よりも顔が悪く、さらにやんちゃで評判が悪いようです。
まてよ、そういうぼく、つまり俊男の顔ときたら、とても人のことをどうのこうのといえる顔ではない。ほんと、さいしょに鏡を見たとき、
「これがおれの顔?」
と、おどろいた。この顔から見れば、いままで不満だった自分の顔がどれほどいい男に見えたことか。
↓記憶力は身体準拠のようで、俊男本人ができない勉強は武(身体は俊男)もできません。
まあ、それから、あれこれといって、算数の授業になったんだけど、これがさっぱりわからない。ぼくは塾にいっていたから、二か月くらいのおくれはなんでもないはずなんだ。教科書なんかとっくにおわっていたから。そこでわかった。魂はかわったけど、脳みそは俊男のものなんだ、きっと。俊男はやはり勉強なんてしてなかったんだ。
↓俊男としての生活にも慣れてきたある日、武(身体は俊男)は元の自分の家族に会いたくなって家を見に行くと、そこには俊男(身体は武)が…!
武の身体はまだ死んでおらず、俊男は武の身体に入って生活していたようです。
ふりかえったぼくは、ほんとうにとびあがった。
だって、だって、ぼくがそこにいたんだ。目をむいて、口もきけないでいるぼくを見て、もうひとりのぼくはいった。
「いつかくると思っていたぜ。あんがいはやかったな。」
そういって、にやっとわらった。
「おまえの命はおわってなかったのさ。それなのに、おれの体に入りやがって。おれはしかたねえから、おまえの体に入りこんだってわけだ。」
↓俊男(身体は武)は、案外武の生活を気に入っているようです。
「おまえの家はけっこう気に入ってるんだがなあ。成績もわるくねえし。それにしても、体が小せえから、きゅうくつでしかたがねえ。さあ、その体をかえしてもらおうか。」
ぼくは地面にしゃがみこんだ。頭の血がなくなったような感じだ。
「ほらほら、俊男っていうのは、そんなだらしのねえかっこうは死んでもしねえんだ。立ちな。」
おもいっきり、おしりをけられた。
「いけねえ、自分の体をけっている気分だ。さあ、交換しようぜ、この体はかえしてやろうじゃねえか。」
↓元に戻りたがった二人が、元に戻る方法を考えるシーンが好きですね。
結局、心霊師に頼んであっさりと元に戻ります。
「方法がわからないよ。」
「ばか、おまえのせいだろう、おまえがかんがえるんだ。ほら、さっさとしろ。」
「そういったって、この頭はきみの頭なんだ。どうつかっていいか、まだわからないよ。」
「そうか、その頭じゃ、わかるわけがねえ。おまえのこの頭をつかっておれがかんがえるわけか。といってもなあ、だれかにいって交換してもらえるものでもなさそうだしなあ。」
俊男はぼくの頭をつかって、一生懸命にかんがえだした。ぼくもかんがえたけど、なんにもでてこない。
今回は、児童書の男同士入れ替わりを10作品紹介しました。
読んでいただいてありがとうございました!